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新婚旅行(前日)
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今夜も結城はやってくる。
最近は愛し合う行為が終わった後、美優の元いた世界の話を聞きたがる。
特に結婚してからのことを聞きたがる。
どうしてかはわからないが彼は知りたがっていた。
あの指輪を買って身につけて以来興味が出たらしい。
こっちでの”お披露目の儀”は美優の元いた世界では結婚式にあたることや、結婚すると指輪をお互いにつけることや、今度は新婚旅行に興味があるらしい。
しかし、新婚旅行に行くにしても一国の主がおいそれと旅行に行けるはずもない・・・。
美優はそう思っていた。
新婚旅行の話をして数日が経ったある日、結城はこう言った。
「美優!!公務を大体終わらせてきた!2日なら時間が取れそうだ」
「・・・?」
美優は小首をかしげた。
(結城様は何を言っているのだろう)
「新婚旅行に行くぞ」
「!?」
美優は驚いた。
「悠里、旅行の支度をしてくれ」
「・・・あの、結城王。美優様が固まっておられますが・・・」
美優の様子を察して悠里が結城を制した。
「ああ、説明が必要か?美優」
「・・・国の主が旅行に出ていいんですか?」
美優はようやく聞きたかったことが聞けた。
「うっ・・・それは・・・」
そこに口をはさんだのは紀藤だった。
「駄目に決まってますよねぇ。結城様?」
振り返るとそこに立っていたのはこめかみに青筋を立てた紀藤だった。
紀藤は最近結城が休む暇もなく真面目に仕事に打ち込んでいる姿を見て感動した。しかし、すべて2日間の休暇の為だったと知ると正直落胆した。
そして、城を開けて旅行に行くととんでもないことを言い出した主に怒りすら覚えた。
「では、国内ならいいのか?」
「そういう問題ではありません。そもそも新婚旅行って何ですか?」
この国にはそういった習慣が無いらしい。
「結婚した者同士が一緒に旅行に行く儀式だそうだ」
「うーん。ちょっと違います」
美優はおしいと思った。
「皆さんちょっと落ち着かれてはいかがですか?」
そう言ったのは悠里だった。
旅支度を命じられた悠里はまだ何も準備をしていない。
・・・ということは旅行に反対しているという事だった。
「美優、こいつらに何か言ってくれ。旅行に反対しているらしい」
「私も反対です!何かあったらどうするんですか!?」
美優にそう言われ一瞬結城はたじろいだ。
「どうしてだ。行きたくないのか?」
「いいえ、結城様と新婚旅行に行きたいです。でもこの国にはそういう習慣はないのでしょう?」
そこで紀藤と悠里が口をはさんだ。
「はい、美優様。ありません」
「ええ、ありません」
結城はとても残念そうな表情を浮かべている。
「・・・では、行かなくてもいいと思います」
「!」
「俺はこの数日2日間の休暇の為に頑張ったのに・・・美優は俺の気持ちを無下にする気か」
結城は美優を責めてきた。
「・・・」
(こうなると結城様がだっだ子に見える)
美優は心の中で笑った。
はぁー・・・と重たいため息を紀藤が吐いた。
「旅行には行かせてあげられませんが、城の離宮でお二人でお過ごしになられてはいかがですか?」
「そうですね。それくらいなら大丈夫でしょう」
紀藤と悠里が妥協案を出してきた。
「離宮?」
「この城にはいくつかの宮で構成されている場所がある。そこの・・・お前の元いた世界で言うと別荘のようなところだ。そこで2日間過ごせという事だ」
「離宮に行ってみたいです」
この場を収めるために美優がそう言った。
「では、新婚旅行は離宮をお使いください」
「ええ、それが良いでしょう」
「・・・」
皆がそう決めると結城は少し不満そうな表情をした。
「本当に美優は離宮で良いのか?」
「はい、結城様と一緒ならどこでもいいです」
その言葉を聞くと結城は急に上機嫌になった。
そして明日から離宮で2日間過ごすことになったのだった。
最近は愛し合う行為が終わった後、美優の元いた世界の話を聞きたがる。
特に結婚してからのことを聞きたがる。
どうしてかはわからないが彼は知りたがっていた。
あの指輪を買って身につけて以来興味が出たらしい。
こっちでの”お披露目の儀”は美優の元いた世界では結婚式にあたることや、結婚すると指輪をお互いにつけることや、今度は新婚旅行に興味があるらしい。
しかし、新婚旅行に行くにしても一国の主がおいそれと旅行に行けるはずもない・・・。
美優はそう思っていた。
新婚旅行の話をして数日が経ったある日、結城はこう言った。
「美優!!公務を大体終わらせてきた!2日なら時間が取れそうだ」
「・・・?」
美優は小首をかしげた。
(結城様は何を言っているのだろう)
「新婚旅行に行くぞ」
「!?」
美優は驚いた。
「悠里、旅行の支度をしてくれ」
「・・・あの、結城王。美優様が固まっておられますが・・・」
美優の様子を察して悠里が結城を制した。
「ああ、説明が必要か?美優」
「・・・国の主が旅行に出ていいんですか?」
美優はようやく聞きたかったことが聞けた。
「うっ・・・それは・・・」
そこに口をはさんだのは紀藤だった。
「駄目に決まってますよねぇ。結城様?」
振り返るとそこに立っていたのはこめかみに青筋を立てた紀藤だった。
紀藤は最近結城が休む暇もなく真面目に仕事に打ち込んでいる姿を見て感動した。しかし、すべて2日間の休暇の為だったと知ると正直落胆した。
そして、城を開けて旅行に行くととんでもないことを言い出した主に怒りすら覚えた。
「では、国内ならいいのか?」
「そういう問題ではありません。そもそも新婚旅行って何ですか?」
この国にはそういった習慣が無いらしい。
「結婚した者同士が一緒に旅行に行く儀式だそうだ」
「うーん。ちょっと違います」
美優はおしいと思った。
「皆さんちょっと落ち着かれてはいかがですか?」
そう言ったのは悠里だった。
旅支度を命じられた悠里はまだ何も準備をしていない。
・・・ということは旅行に反対しているという事だった。
「美優、こいつらに何か言ってくれ。旅行に反対しているらしい」
「私も反対です!何かあったらどうするんですか!?」
美優にそう言われ一瞬結城はたじろいだ。
「どうしてだ。行きたくないのか?」
「いいえ、結城様と新婚旅行に行きたいです。でもこの国にはそういう習慣はないのでしょう?」
そこで紀藤と悠里が口をはさんだ。
「はい、美優様。ありません」
「ええ、ありません」
結城はとても残念そうな表情を浮かべている。
「・・・では、行かなくてもいいと思います」
「!」
「俺はこの数日2日間の休暇の為に頑張ったのに・・・美優は俺の気持ちを無下にする気か」
結城は美優を責めてきた。
「・・・」
(こうなると結城様がだっだ子に見える)
美優は心の中で笑った。
はぁー・・・と重たいため息を紀藤が吐いた。
「旅行には行かせてあげられませんが、城の離宮でお二人でお過ごしになられてはいかがですか?」
「そうですね。それくらいなら大丈夫でしょう」
紀藤と悠里が妥協案を出してきた。
「離宮?」
「この城にはいくつかの宮で構成されている場所がある。そこの・・・お前の元いた世界で言うと別荘のようなところだ。そこで2日間過ごせという事だ」
「離宮に行ってみたいです」
この場を収めるために美優がそう言った。
「では、新婚旅行は離宮をお使いください」
「ええ、それが良いでしょう」
「・・・」
皆がそう決めると結城は少し不満そうな表情をした。
「本当に美優は離宮で良いのか?」
「はい、結城様と一緒ならどこでもいいです」
その言葉を聞くと結城は急に上機嫌になった。
そして明日から離宮で2日間過ごすことになったのだった。
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