合コンに行ったら異世界の王に見初められました

えりー

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美優の妊娠(後編)

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妊娠2ヶ月・・・そう思い美優は自身のお腹を触ってみた。
しかし、今までと変わらない。
まだお腹は目立たない。
(大体何ヶ月目から目立つようになるんだっけ?)
保健の授業で習ったはずなのだが思い出せない。
(本当にいるんだよね・・・なんだか不思議)
トントンっと戸を叩く音がした。
「美優、起きているか?入るぞ?」
「おはようございます。結城様」
美優は少しでも心配をかけないようにっこり微笑んだ。
「体は辛くないか?」
「はい、少しだるいくらいです。特に変わりはありません」
「心細いか?」
「・・・はい」
「そうか。俺は出来るだけ美優の傍にいたいと思っている。お前の負担になるか?」
「いいえ!嬉しいです!」
美優は本当に嬉しそうにそう言った。
その姿を見て結城は少し安心した。
「また昼に来るからな」
「でも公務は・・・」
「下らん心配するな。そのくらいすぐ片付けてくる」
そう言うと結城は美優に軽くキスをした。
「結城様ありがとうございます」
「・・・ゆっくり休んでおけよ」
「はい」
戸が閉まり結城が見えなくなった。
そうすると少しだけ不安になってきた。
(さっきも離れがたくて思わず引き止めたくなってしまった)
「おはようございます、美優様。お目覚めですか?」
「はい」
「朝食をお持ちしましたが召し上がれますか?」
「はい、少しなら食べれそうです」
悠里も美優の心配をしてくれている。
(いつまでもうじうじしてちゃ駄目だよね)
皆に心配かけないように頑張ろう。
美優はそう思った。
「美優様、食事のあと体調がもしよろしければ一緒にお散歩しませんか?結が喜びますよ」
「散歩しても大丈夫なんですか?」
「少し体は動かしても大丈夫だそうです」
「そうなんですね。結の散歩行きたいです」
美優は朝食を食べると少し気分が良くなったので少し散歩に行くことにした。
外の新鮮な空気を吸うと胸のつっかえが少しとれたような気がした。
「結、また大きくなたね」
そう言い結に近づくと結は美優にすり寄ってきた。
美優は屈んで結を撫でた。
結は気持ちよさそうにしている。
「結、お散歩行きましょう」
「わん」
結は尻尾がちぎれんばかりに振って喜んで見せた。
そんな美優の様子を嬉しそうに悠里が見守る。
悠里と結と3人で散歩を楽しんだ。
その帰り少しふらついてしまった。
ちょうど通りかかった紀藤が走ってきて美優を支えた。
「大丈夫ですか、美優様」
「このくらい大丈夫ですよ。少し立ちくらみがしただけです」
美優の顔色はあまり良くなかった。
紀藤の手を借り自室まで付き添ってもらった。
悠里と紀藤は二人とも顔を見合わせた。

昼になると結城が美優の所へ来てくれた。
「美優、お前朝倒れかけたって本当か?」
(情報速いなぁ)
「はい。でも、ただの立ちくらみですよ」
「・・・俺がずっとついておければいいんだが・・・」
「もう、結城様まで大げさですよ!」
「だが・・・」
「本当に大丈夫ですからそんなに心配しないでください」
美優は明るい声で言う。
そんな美優の姿を見ていると結城の胸が痛む。
結城はそんな美優が愛おしくて思わず抱きしめてキスをした。
次の瞬間、結城はしまったっと言う顔をした。
「?」
「・・・」
(どうしたんだろういつもと様子が違う)
「今まで無理させてすまなかった。本当はだいぶ前から体がきつかったんじゃないのか?」
「!」
確かに夜のあの行為の後、異様に体がきつかった。
でも、大したことないと思っていた。
「結城様、本当に大丈夫ですから!!そんな顔されないでください」
結城は美優の肩に頭を置いて黙ってしまった。
(どうしよう)
美優は結城を元気づけることにした。
「結城様はもうすぐ父親になるんですからもっとしっかりしてください!」
そう言いながら結城の両肩に手を置いた。
結城は美優を見つめ、もう一度軽くキスをした。
「そうだな、子供の為にも良い国にしておかないとな」
「はい」
「そろそろ戻る。何かあったらすぐ呼べよ」
「はい、いってらっしゃいませ」
美優は結城を励まして送り出した。

幸いつわりは軽い方だった。
美優は、大きくなってきたお腹を撫でた。
するとぽこんっとおなかの内側から動きがあった。
胎動が始まったようだ。
(確か20週目以降から胎動が始まるんだっけ・・・?)
あれ?どうだったかな・・・。
何はともあれ子供は元気に育っているようだ。
美優は安心した。
定期的に検診もしている。今のところ何の問題もないそうだ。
「美優。どうした?にこにこしているが・・・」
ベッドに腰かけて美優は結城に手招きした。
結城はすぐに来てくれた。
「今ね、子供が動いたの」
「え!?」
結城は驚きながら美優のお腹に耳を当ててみた。
お腹の中でぽこんぽこんと子供が動いているのを感じると結城はとても嬉しそうな顔をした。
「もうすぐ、産まれそうだな・・・」
「ふふふふ、まだですよ」
そう言いながら見つめあい二人は抱き合った。
二人はとても幸せだった。

それから、ついに出産の時を迎えた。
陣痛が始まり、美優は自室のベッドに横たわった。
悠里はずっと腰を撫でてくれている。
美優は結城は入らないで欲しいとお願いして、部屋の外で待機してもらっている。
心配性な彼に苦しみながら産む姿を見せたくなかったのだ。
医師団が到着し、本格的にお産の準備が始まった。
美優は壮絶な痛みに必死に耐えていた。
難産で16時間かかり、ようやく無事に出産できた。
そうして、悠里が外で待っていた結城を呼び寄せ、部屋に入れた。
二人の子供は元気に動いていた。
布に包まれた我が子を抱き、結城は泣きそうになった。
子供は結城に手を伸ばしてきた。結城はその手にそっと触れた。
その小さくてか弱い存在を守ってやりたくなった。
結城は美優の元へ行き声をかけた。
「美優?ほら、子供は元気だぞ!よくやった」
「・・・良かった。無事に産まれたんですね」
美優は泣いて喜んだ。
美優は難産だった為、気力体力が限界だった。
そのまま意識を失ってしまった。
「美優!!」
「結城王、今は休ませてあげてくだされ。王妃様はお疲れです」
「本当に疲れているだけなのか?」
「はい。数日もすれば元気になられますから」
そう言い残し医師団は帰って行った。






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