椿の令嬢は再会した令息とささやかな仕返しをする

黒狐

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5.自業自得な結末 レリック

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 噂が広がって以降レリックやベルヴェに近づこうとする貴族はいなくなった。中には『ノイズィー子爵家唯一の汚点』『心身共に愚かな男爵令嬢』等と彼らを揶揄する言葉も増えていき、次第に孤立していった。



「なぜ…どうしてこんなことになってしまったんだ…!」

 レリックは、ノイズィー家の自室で一人頭を抱え嘆いていた。

 両親の話によると、僕がカメリアとの婚約を勝手に破棄してしまった影響で、ルージュ伯爵家とノイズィー家の縁は切れる寸前まで悪化していたというのだ。
 このままでは名産品の共同開発や資金援助の話も立ち消えとなってしまい、僕のせいでノイズィー家までもが窮地に立たされることになる…。
 両親はルージュ伯爵家に対して必死に謝罪をした後、なんとか怒りを収めたルージュ伯爵と再度話し合いを重ねた。
 その結果、ノイズィー家は通常より多い慰謝料をカメリアに対して払うことを条件に、名産品の共同開発やそれにかかる資金の援助も婚約時と同じように継続していく事が決まった。
 そしてもう一つ、ノイズィー家の醜聞であるレリックを生涯屋敷の敷地から出さないことを条件に提示され、僕は屋敷に軟禁されることになった。

 始めのうちは、屋敷の敷地から外に出られないだけで、それ以外は自由に出来るのだから楽勝だと軽く考えていた。
 しかし、ノイズィー家の醜聞に対する両親の嘆きや、屋敷で働く使用人達の恨みがましい視線に晒され続けた僕は次第に自室から出られなくなってしまった。
 敵意を持つ者の視線があんなに恐ろしいものだったなんて知らなかった。
 周りの様子や空気を把握しないことが、どれだけ愚かな事なのか知ろうともしなかった。
 もしかしたらカメリアも、こんな目にあっていたのかもしれないと思うと申し訳ない気持ちがジワジワと押し寄せて来た。

(カメリア、本当に申し訳なかった…。そして家族やここで働く人達にも沢山迷惑をかけてしまった…。僕は一体、どうすれば良かったんだろう……)

 僕はもう、屋敷から出ることは出来ないし、彼女も二度と僕のもとここにはやって来ないだろう。
 謝ることすら出来ないまま、一生罪悪感と後悔を抱えて生きていく事が、僕に対する罰なんだとこの時思い知った。


 ──僕は今日も、家族や使用人の会話や視線に怯えながら、自室でひっそりと暮らしている。
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