椿の令嬢は再会した令息とささやかな仕返しをする

黒狐

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6.自業自得な結末 ベルヴェ

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「……あぁ、もう!本当に、腹が立つわっ!!」

 ベルヴェは不機嫌な表情浮かべながら、ドスドスと音を立てて家中を歩き回っていた。

「あのままいけば、今よりもいい暮らしが出来る予定だったのに!!」

 全てが順調な筈だった。
 私の家サンバー男爵家よりも上の位であるルージュ伯爵令嬢、カメリアからノイズィー子爵令息…レリックを略奪するまでは良かった。
 公爵家主催のパーティーで、レリックがカメリアとの婚約を破棄すると宣言した時は、嬉しさと同時に彼女に勝ったという優越感から、思わず口元に笑みを浮かべてしまった。
 彼の隣まで歩いて行ってカメリア負け犬の顔をよく観察してみると、レリックに振られたのがよほどショックだったのか、悲し気に顔を俯かせている。
 彼女のその姿に、更に気分を良くした私は、早速レリックと一緒に婚約パーティーや新しいドレス、スーツのことばかりを考えいた。

 周りが向けてくる冷たい目線に、気付かないまま。



 それから少しして、私宛に1通のお茶会への招待状が届いた。主催はあのルージュ伯爵で、爵位の高い令嬢達も多く参加すると記されている。
 私の事をアピールする絶好の機会、早速参加する旨を返信しその日が来るのを待ち侘びた。

 そしてお茶会当日…高級なお菓子や美味しいお茶に気を良くした私は、カメリアに向かって失礼な言葉を、何度も彼女に投げかけてしまった。
 その時の発言を令嬢達に聞かれ、噂が広がっていくのはあっという間のことだった。

 後日…
 公爵家主催のパーティーでの婚約破棄騒ぎや、お茶会での噂がサンバー家にも届いた。
 噂を聞いた母は真っ青な顔をしてその場に座り込んでしまい、それを慌てて支える父は怒りとも蔑みとも言える表情をして私を睨みつけて来た。

「ベルヴェ…貴女、なんてことをしてくれたの…!このままでは、私達は……。」
「あぁ…このままではサンバー家は終わってしまう。とにかく両家に謝罪に行かなければならない。我が家に対する罰もじきに決まるだろう…。全く、とんでもないことをしてくれたな。この愚か者が。」

 子爵令息レリックとの婚約なら喜んでくれると思っていたのに、両親が予想外の反応したから私は思わず怯んでしまった。
 おかしいな、こんなに両親が同様や怒りを露わにすることは今まで無かったのに…。
 呆然と佇む私のことが見えていないのか、両親は使用人に指示をしながらあたふたと身支度を整え、あっという間に家から飛び出して行ってしまった。
 私は不機嫌な表情をした使用人に無理矢理自室に押し込められて、軟禁されてしまった。

「ねぇ!私にこんなことしてどういうつもり!?解雇でもされたいの!?」

 扉の向こうにいるであろう、使用人にドアを叩きながら怒鳴りつけると呆れた果てたような声が聞こえてきた。

「旦那様から貴女を部屋に閉じ込めるよう指示されています。これから旦那様達がこの屋敷に帰られるまで、部屋の外に出るのを一切禁じます。貴女の罪は旦那様が戻られた時、分かるでしょう。」



 その後、日が沈みかけた頃にようやく屋敷に戻って来た両親から、男爵家存続の条件としてベルヴェを男爵家から追放し、平民落ちさせることに了承したと告げられた。
 流石に夜が迫るこの時間に、屋敷から追放するのは気の毒だと今晩だけは屋敷にいていい事になった。
 ベッドに座ってぼんやりしていると、使用人が私用の鞄に、飾り気の少ない服や日用品、幾らかのお金を詰めて明日の準備をしているのが目に入った。

「…もう、パーティーもお茶会もこりごりよっ!」

 誰にも聞こえないくらい小さな声で、私はポツリと憎まれ口を叩いた。
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