師匠と森を出た天才魔法使いの私、実力差がありすぎて毎日が退屈です

王家編

7 身長の話

私は追加で来た料理に手を出していた。
すると、私の机を挟んで目の前の席に父は座った。

「シズクいいか？」

「うん」

私は食べながら言った。すると、レミが近づいてくるのだが…

「レミいいんだ。下がりなさい」

「申し訳ございません」

そういいレミは下がって言った。私は一瞬レミのほうを見たがしょんぼりしていた。
父は机に肘をつけながら言った。

「君に来てもらった本当の理由わかるかな？」

私は一度食べるのをやめて考えた。そして、口に着いたソースをふき取って言った。

「うーん…常識をつけてもらうため？」

「それもあるんだがな…」

そう言うと父は立ち上がり窓の近くに歩き外の街の景色を見ながら言った。

「お前には、国の魔法使いの兵たちを育成してもらいんだ」

「それはどうして？」

私は問うと父はこちらを向いて言った。

「うちの街の兵力は貧しい。そして、実力のない一般人が兵になっているんだ。だから、万が一にも備えて今から育成をしようかと…」

「そうですか…こんな私で務まるんですか？」

「わからないが…逆に常識のない奴が教官になったらどんな兵士ができるかと思ってな」

父は笑顔で言ってやがて席に座った。

「シズク…お前できるか？」

私は、俯いて考えた。こんな私で務まるのかと…まぁいつものように師匠が教えてくれたことをほかの人に教えるだけか…

「やります…」

私は控えめに言った。すると父は嬉しそうに立ち上がり…

「明日からお願いね？」

「あ、あの最後に！」

そう言うと、父は振り返って不思議そうな顔をしていた。私は真剣な顔で言った。

「育成が終わったら…冒険者になっていいですか？」

言うと、父は少しやんだ顔をして言った。もしかして…やっぱり、こんなに冒険者なんてやらせてくれないか…そんなマイナスなことを考えていたら父は近づいてきて言う。

「君の師匠は許さないと思うが…黙っているからいいよ…けど、しっかりと育成してね？」

「はい！」

私は笑顔で返事をした。すると、父も微笑み立ち去って言った。残ったのは私とレミのみ。私はレミのほうを見て言う。

「帰りましょうか」

「承知いたしました」

そう言い、レミは部屋のドアを開けて私を通してくれた。私はレミの裏について歩いていると…

「あなた誰？」

私より少し大きな少年だった。私が怯えているとレミが言った。

「リュウ様、この方は今日から招待された例の方です」

「へぇー」

そう言いながら私のことを見下してくる。私より…年上か？と考えているとリュウは言った。

「何歳なの？」

急に聞かれて私は戸惑いながらも言った。

「18歳です…」

そう言うと、リュウは興味なさそうな顔をして横を通って行った。
私はレミの顔を見て言った。

「あの人大きくないですか？」

「まぁ…バサ様より大きいですね…身長は１７０くらいですかね？」

「身長？」

私は思わず声に出して繰り返してしまった。すると、レミは私の頭をなでながら言った。

「身長は、シズク様の大きさを数値にあらわしたものですよ」

そういわれて、私の頭についていたゴミを取って言った。

「シズク様は身長いくつ何ですか？」

「わからない…」

少し恥ずかしがりながらも言った。すると、レミは一瞬驚いた顔をしたが次の瞬間私の腕を引っ張った。

「何！？」

「静かにしてください！」

そう言いながらレミが連れてきてくれた場所は…色々なものが置いてある場所だった。
レミに誘導されて私に長い棒が立っている場所に立たされて…

「シズク様の身長は…１５５ですね」

「１５５って…大きいほう？」

「成人されている女性よりは小さいですね」

そういわれて私は少ししょんぼりした。普通の人とは違うのか…
悲しんでいるとレミは私の頭に手を置いて言った。

「シズク様が落ち込むことはありませんよ…あなたはかわいいんですから」

言われて私は目から涙が出てきた。なんで出てきたかはわからない。私は涙を抑えながらレミの顔を見ていると…
レミは手で私の涙を拭い…

「泣かないでください…さぁ帰りますよ？」

そういわれて私はレミと手をつなぎながら部屋に戻った。
私はなんでか心がさみしい。この感情は何だろうか…

レミが部屋を出ようとしているので…

「レミ待って！！」

「どうかなさいました？」

「私が寝るまで見守ってて！」

レミは開けていたドアを静かに元に戻して…私のベットの傍の椅子に座って…

「私はシズク様のお近くにいますからご安心を…」

私はそれを最後に目を瞑った。なんだか、人がいると安心する。
そう。まだ私が体も心も成人していない証拠だった。