師匠と森を出た天才魔法使いの私、実力差がありすぎて毎日が退屈です

mikadozero

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国の危機

24 壁の意味

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生徒たちを見送り、私は育成場の床に座り込んでいた。
すると、師匠がこちらに来て言った。

「どうだった?」

「みんな、成長していたよ」

「それはよかった」

師匠は安心したのか、表情が和らいだ。私はそんな師匠に言った。

「今日戦った生徒、あの子もっと伸びると思うよ」

「それはわかっとる」

師匠は少し怒りながら言った。
私はあの子と戦って少し覚えたものがあった。

それは、あの時の戦いの彼の距離の詰め方。あの詰め方は綺麗だった。
けれども、私は反射的に避けてしまったが彼は全く想像していたものとは違うのだろう。

そんなことを考えていると師匠は私の方に背を向けて言った。

「まぁ、これからも頑張るから~」

師匠はそう言いながら歩いて行った。私も後を追おうとしたが、やめておいた。

しばらく床に座り込んでいたが起き上がり帰ろうとしていると…

「シズク~」

甘い声が私の耳に聞こえていた。ルナだった。

前までは様付けだったが、私が様をつけるのやめてと言ったらすぐにやめてくれた。

私はルナの頭を撫で撫でしながら言った。

「どうしたの?」

「あのね…お父様が呼んでおられるの」

「えっ?」

私は思わず声を出して反応してしまったが、私が呼ばれると言うことは大事なことなのだろう。
私はルナに対して言った。

「そうか…わかったわ行きます」

そう言い急いで育成場を出た。
城に急いで向かっていると、私は今更気づいた。

ーあの壁ってなんだろう?ー

そんなことを思ってしまった。いつもの風景すぎて気づかなかったが、あの壁はなんの意味があるのだろうか…

そんなことを考えていると、城についた。
父の部屋に勢いよく向かった。そして、そのままの勢いでドアを開けた。

「父!」

父はびっくりとした様子で私の方を見てくる。すると、父は立ち上がっていった。

「もう少し静かに入ってこないかね?」

「すみません」

私は、謝りながらも父の部屋の椅子に座った。
父は深刻そうな顔をしていった。

「どうかね?育成の方は」

「順調です」

「そうか…それはよかった」

父は一安心していた。まだ育成途中だから、完全とは言えないが…

「どうしたのですか?」

私が聞くと、父は立ち上がり窓付近に行って言った。

「最近…壁の外に魔物が現れていると言う噂が立っていてな」

「魔物ですか…」

私は思わず、声に出して言ってしまった。
すると、父は続けていった。

「しかも、量も多いらしい…ざっと500ほどいるらしい…」

「どこにですか?」

私が聞くと、父はこちらを向いた。父の顔をわからないと言う顔をしていた。
私は、俯いてしまった。

そんな父は、椅子の方に近づいて来ていった。

「お前は、あの壁の意味がわかるか?」

「わかりません」

「あぁ…」

父は少しため息をしながら座った。真剣な顔つきになっていった。

「あの壁は…昔魔物が来ないようにと作られた壁なんだ」

「魔物の脅威を少しでもなくすために?」

「あぁ、それはいいんだが最近壁が少しずつ壊れていると言う報告があったんだ」

「やばくないですか、それは」

「そうなんだ…壁は時々補修していたのだが今となってはできる人がいない」

「できる人がいないとは?」

「これを補修していた人たちがいたんだが、みんなもう衰退して死んでしまった。その人たちにしか壁の修理はできないんだ…彼らなりの特殊なやり方だったから…」

「そうですか…」

私は俯きながら言った。これはどうにかするしかないなと思った。
だが、今の私にできることなんてある気がしない。

そんなことを考えていると、父は言った。

「そこでだ」

「お前に壁の修復を頼みたい」

「えっ!?」

私は思わず驚いてしまった。私に特殊な壁を修復しろと言ってきた父に少し困惑していると父は私の肩をポンポンと叩いて言った。

「できるよな?」

父の顔は迫力があった。少し圧を感じて私は頷くしかできななかった。
父は嬉しそうな顔をしていった。

「やった…これで壁が…」

父は涙が出てきそうになっていた。私はそんな父を横目に部屋を出た。

部屋を出て、私は廊下で考えながら歩いていると…

「シズク~」

そう言いながら抱きついてくるにはルナだった。そして、ルナの裏に女性がいた。
私はその女性に目を向けると…綺麗な人だった。

私はその女性に対して言った。

「うちのルナに何か用ですか?」

聞くと女性は微笑みながら言った。

「あなたのその子私に抱きついてきたから撫で撫でしたらあなたの名前を出してきたものだからね~」

「それはすみませんでした」

女性は笑顔のまま私の隣を通っていく。
すると、女性は私の横を通る瞬間耳元で言った。

「あなたは…怖い子ね」

言われてなんのことだかわからなく、振り向くと…そこには女性がいなかったのだった。
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