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勘違いジェラシ―2
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「これはこれは!鳳条グループのご子息、煌人くんではないですか!」
「……どうも」
どうも――たった3文字の言葉なのに、煌人の口から出るそれらは、かなり冷え切っていて。煌人の顔に、一瞬にして暗い影が落ちたのが分かった。
「今日はどうしてこちらに?」
「学校帰りですよ、特に理由もなく集まってるだけです。杷木屋(はきや)社長こそ、どうしてこちらのお店に?」
「はは、なに。視察ですよ。お店が上手く回っているかの確認です」
ハンカチを額に当てながら話す、杷木屋さん。
煌人と会えて本当に嬉しそうな顔をしているのに、煌人ときたら「愛想笑い」という言葉がぴったりな笑みを浮かべ、会話を進める。
「ははは、そうなんですね。社長も大変ですね」
「(煌人……うさんくさい笑顔)」
今の煌人を見ていると、なんだか胸の辺りが苦しくなってくるような。そんな気持ちになった。
だけど杷木屋さんは、構わず立ち話を続ける。
「今のうちにご学友と自由を楽しむのがいいでしょうな。中学卒業後に留学をするやもしれませんし、高校卒業後は跡取りとして会社に貢献されるでしょうし。いやはや、ご活躍が楽しみだ」
「……ご期待に添えられるよう頑張ります」
ニコッと、愛想笑いで返す煌人。そんな煌人に、杷木屋さんは近くの店員を呼んだ。
「おい、ここの卓の会計はしなくていいからな。大事な取引先のご子息がいらっしゃるんだ」
「え、あの!」
店員が「分かりました」と頭を下げる横で、煌人がガタリと席を立つ。その顔には「焦り」や「驚き」が浮かんでいる。だけど、その瞳の奥に「怒り」も含んでいるように見えた。
「ご配慮には感謝しますが、お断りさせていただきます」
「遠慮なさらず。私と鳳条グループの仲ではないですか」
「――いえ、」
ピリッと糸を張ったような煌人の鋭い声が、静かに響く。
「俺は父の息子、というだけです。その功績に、俺が胡坐(あぐら)をかくつもりはありません」
「えっ……あ、あはは。そうですか」
「それに、特別待遇を受けると父に怒られるので、ここは一つ。俺を助けると思って、他のお客様方と同じように接して頂けると嬉しいです」
さっきとは打って変わって、パッと明るい笑みを見せた煌人。杷木屋さんは「ははは」と、ハンカチで汗を拭いながら答えた。
「そこまで言われると、いやはや。そうですな。出過ぎた真似をしました」
「いえ、とんでもない。お気遣い感謝します」
すると、ベストタイミングで杷木屋さんのスマホが鳴る。どうやら電話なようで「それでは失礼します」と、杷木屋さんは浅く礼をして去って行った。
「……はぁ~」
完璧に姿が見えなくなった途端、煌人が、それはそれは深いため息をついた。
「なんかスゴイ人だったね」
「どっと疲れた……」
椅子からズリリとずり落ちそうな、空気の抜けた煌人を見て、私は眉を顰める。
「中学生と思えない、あの言動は何なの? 日ごろと全く違って、すっごく腹が立つんだけど」
「え」
思った事をそのまま口にすると、煌人は黙った。しかも驚いた目で、私を見ている。
「腹立った?さっきの俺が?」
「腹立ったよ。なんかムカついたもん」
「ふーん」と返事をする煌人。今度は、先輩に目を向ける。
「騒々しくてすみませんでした。嫌なモノを見せちゃって」
煌人がヘコッと頭を下げると、先輩は目をキラキラさせて「とんでもない!」と興奮気味に答える。
「あの人は社長なんだよね? その人と対等に話しが出来るだけ、君はすごいよ! 痺れたなぁ、お金持ち同士の会話!」
「いや俺はお金持ちなんかじゃ、」
「カッコイイなぁ、憧れるよ!」
その言葉を聞いて、煌人は笑ったまま固まる。そして三秒後に私を見つめ直し、
「これがおおよその反応だと思うけど?」
と私に聞いてきた。もちろん、華麗にスルーしたけど。
「気取ってる煌人は嫌い」
「嫌いって、お前なぁ」
その時、チラリと煌人を盗み見る。
煌人は口では怒った事を言っていても、なぜか顔が笑っていた。さっき杷木屋さんと話していた時と違って、なんだか嬉しそう。口では怒り、顔で笑い……なんて。煌人って変。
「煌人ってまともな表情がないよね」
「お?新手のいじり方か?まぁいいや。さっきオーダーし損ねたろ。トイレ行くついでに、注文してくる。先輩は炭酸ですよね?」
「うん。ありがとうね」
そうして煌人はトイレに向かった。
煌人がいなくなり、この場には私と先輩の二人だけになる。煌人が帰ってくるのを待つ間、先輩は「すごいよねぇ」とまだ興奮冷めやらぬ様子で口を開いた。
「さっきの会話、とても中学生とは思えない。さすが社長の息子だよね」
「あれを凄いって言うんですか?ただ猫を被っているだけに見えて……。普段の煌人を知っているだけに、寒気がしました」
「はは、言うね凛ちゃん」
だけど――と先輩。
「今はファミレスでこうやって仲良くしてるけどさ。やっぱり社長の息子って、住む世界が違うよね。憧れる」
「憧れ、ですか?」
「凛ちゃんは違うの?憧れない?」
「(煌人に、憧れ……?)」
残念ながら先輩と共感出来なかったため無言でいると、先輩が「そっか」と苦笑した。
「まぁ、憧れなんて抱かないのが正解だよね。憧れたって、俺は鳳条くんみたいな生活が出来るわけじゃないし。凛ちゃんも、鳳条くんと恋人同士になって付き合えるわけじゃないしね」
「え……?」
意味が分からなくて先輩を見つめると、先輩は「ん?」と首を傾げた。
「だって、釣り合わないでしょ?
御曹司の鳳条くんと、一般人の凛ちゃん」
「……」
釣り合わない――
その言葉は、なぜか私の心に引っかかった。
「(煌人は私のライバルで、宿敵で……。あ、そう言えば、煌人に告白されたんだっけ)」
あれ?
でも、煌人は……
私なんかに告白していいの?
――鳳条くんと恋人同士になって付き合えるわけじゃないしね
――だって、釣り合わないでしょ?
――御曹司の鳳条くんと、一般人の凛ちゃん
「……」
先輩に何か返事をしないといけないのに、出来なくて。思わず黙ってしまう。
そんな時に、トイレから戻った煌人が、私の背後から声を掛けた。
「……どうも」
どうも――たった3文字の言葉なのに、煌人の口から出るそれらは、かなり冷え切っていて。煌人の顔に、一瞬にして暗い影が落ちたのが分かった。
「今日はどうしてこちらに?」
「学校帰りですよ、特に理由もなく集まってるだけです。杷木屋(はきや)社長こそ、どうしてこちらのお店に?」
「はは、なに。視察ですよ。お店が上手く回っているかの確認です」
ハンカチを額に当てながら話す、杷木屋さん。
煌人と会えて本当に嬉しそうな顔をしているのに、煌人ときたら「愛想笑い」という言葉がぴったりな笑みを浮かべ、会話を進める。
「ははは、そうなんですね。社長も大変ですね」
「(煌人……うさんくさい笑顔)」
今の煌人を見ていると、なんだか胸の辺りが苦しくなってくるような。そんな気持ちになった。
だけど杷木屋さんは、構わず立ち話を続ける。
「今のうちにご学友と自由を楽しむのがいいでしょうな。中学卒業後に留学をするやもしれませんし、高校卒業後は跡取りとして会社に貢献されるでしょうし。いやはや、ご活躍が楽しみだ」
「……ご期待に添えられるよう頑張ります」
ニコッと、愛想笑いで返す煌人。そんな煌人に、杷木屋さんは近くの店員を呼んだ。
「おい、ここの卓の会計はしなくていいからな。大事な取引先のご子息がいらっしゃるんだ」
「え、あの!」
店員が「分かりました」と頭を下げる横で、煌人がガタリと席を立つ。その顔には「焦り」や「驚き」が浮かんでいる。だけど、その瞳の奥に「怒り」も含んでいるように見えた。
「ご配慮には感謝しますが、お断りさせていただきます」
「遠慮なさらず。私と鳳条グループの仲ではないですか」
「――いえ、」
ピリッと糸を張ったような煌人の鋭い声が、静かに響く。
「俺は父の息子、というだけです。その功績に、俺が胡坐(あぐら)をかくつもりはありません」
「えっ……あ、あはは。そうですか」
「それに、特別待遇を受けると父に怒られるので、ここは一つ。俺を助けると思って、他のお客様方と同じように接して頂けると嬉しいです」
さっきとは打って変わって、パッと明るい笑みを見せた煌人。杷木屋さんは「ははは」と、ハンカチで汗を拭いながら答えた。
「そこまで言われると、いやはや。そうですな。出過ぎた真似をしました」
「いえ、とんでもない。お気遣い感謝します」
すると、ベストタイミングで杷木屋さんのスマホが鳴る。どうやら電話なようで「それでは失礼します」と、杷木屋さんは浅く礼をして去って行った。
「……はぁ~」
完璧に姿が見えなくなった途端、煌人が、それはそれは深いため息をついた。
「なんかスゴイ人だったね」
「どっと疲れた……」
椅子からズリリとずり落ちそうな、空気の抜けた煌人を見て、私は眉を顰める。
「中学生と思えない、あの言動は何なの? 日ごろと全く違って、すっごく腹が立つんだけど」
「え」
思った事をそのまま口にすると、煌人は黙った。しかも驚いた目で、私を見ている。
「腹立った?さっきの俺が?」
「腹立ったよ。なんかムカついたもん」
「ふーん」と返事をする煌人。今度は、先輩に目を向ける。
「騒々しくてすみませんでした。嫌なモノを見せちゃって」
煌人がヘコッと頭を下げると、先輩は目をキラキラさせて「とんでもない!」と興奮気味に答える。
「あの人は社長なんだよね? その人と対等に話しが出来るだけ、君はすごいよ! 痺れたなぁ、お金持ち同士の会話!」
「いや俺はお金持ちなんかじゃ、」
「カッコイイなぁ、憧れるよ!」
その言葉を聞いて、煌人は笑ったまま固まる。そして三秒後に私を見つめ直し、
「これがおおよその反応だと思うけど?」
と私に聞いてきた。もちろん、華麗にスルーしたけど。
「気取ってる煌人は嫌い」
「嫌いって、お前なぁ」
その時、チラリと煌人を盗み見る。
煌人は口では怒った事を言っていても、なぜか顔が笑っていた。さっき杷木屋さんと話していた時と違って、なんだか嬉しそう。口では怒り、顔で笑い……なんて。煌人って変。
「煌人ってまともな表情がないよね」
「お?新手のいじり方か?まぁいいや。さっきオーダーし損ねたろ。トイレ行くついでに、注文してくる。先輩は炭酸ですよね?」
「うん。ありがとうね」
そうして煌人はトイレに向かった。
煌人がいなくなり、この場には私と先輩の二人だけになる。煌人が帰ってくるのを待つ間、先輩は「すごいよねぇ」とまだ興奮冷めやらぬ様子で口を開いた。
「さっきの会話、とても中学生とは思えない。さすが社長の息子だよね」
「あれを凄いって言うんですか?ただ猫を被っているだけに見えて……。普段の煌人を知っているだけに、寒気がしました」
「はは、言うね凛ちゃん」
だけど――と先輩。
「今はファミレスでこうやって仲良くしてるけどさ。やっぱり社長の息子って、住む世界が違うよね。憧れる」
「憧れ、ですか?」
「凛ちゃんは違うの?憧れない?」
「(煌人に、憧れ……?)」
残念ながら先輩と共感出来なかったため無言でいると、先輩が「そっか」と苦笑した。
「まぁ、憧れなんて抱かないのが正解だよね。憧れたって、俺は鳳条くんみたいな生活が出来るわけじゃないし。凛ちゃんも、鳳条くんと恋人同士になって付き合えるわけじゃないしね」
「え……?」
意味が分からなくて先輩を見つめると、先輩は「ん?」と首を傾げた。
「だって、釣り合わないでしょ?
御曹司の鳳条くんと、一般人の凛ちゃん」
「……」
釣り合わない――
その言葉は、なぜか私の心に引っかかった。
「(煌人は私のライバルで、宿敵で……。あ、そう言えば、煌人に告白されたんだっけ)」
あれ?
でも、煌人は……
私なんかに告白していいの?
――鳳条くんと恋人同士になって付き合えるわけじゃないしね
――だって、釣り合わないでしょ?
――御曹司の鳳条くんと、一般人の凛ちゃん
「……」
先輩に何か返事をしないといけないのに、出来なくて。思わず黙ってしまう。
そんな時に、トイレから戻った煌人が、私の背後から声を掛けた。
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