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No.1 あの世ですか?
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ーーハァハァハァ。
耳元で、荒い息遣いの様な音が聞こえる。
(んっ、コタロウ…?)
飼い犬の柴犬コタロウは、毎朝莉緒の耳元に荒い息遣いを聞かせて起こして来る。人見知りのする莉緒にとって家族兼友人であるコタロウは、大切な存在だ。とても可愛がる莉緒を、コタロウも家族の誰よりも慕っていた。
ーーしかし、そんな可愛い愛犬の息遣いにしてはどうにも様子がおかしい。
(………なんか、いつも寄り息遣いが荒い?)
そう思った瞬間、莉緒は唐突に思い出した。
(わ、私、車に轢かれた……よね?)
身体に走った、あの強い衝撃を覚えている。
だが、現在莉緒の身体の何処にも痛みは無い。
(びょ、病院じゃ……ない、よね?)
うつ伏せの状態の莉緒。
下の方を向いている身体の部分に感じる少しチクチクとした感覚と、濃厚な土の匂い。そして、耳元で聞こえる生き物の荒い息遣い。
(ーーーーっ!?)
その瞬間、莉緒は自身の置かれている状況を瞬時に理解してしまった。
(嘘っ!?わ、私一体何処にいるの!?)
事故に遭ったのは、住宅街の側。周りは建物とコンクリートだらけだ。
(も、もしかして、何処かの山の中に捨てられたの…?)
一瞬、死体遺棄の文字が頭を過ぎる。
それよりも、耳元で聞こえる生き物の息遣いだ。
(こ、怖い…っ!)
もしも何処かの山に捨てられたのだとしたら、今聞こえる息遣いの持ち主は野生動物だ。しかも、コタロウの様な小型の生き物では無く大型の。
その瞬間、莉緒は生き物が山に住む熊だと思った。
(ど、どうしようっ!こ、怖いよ…!)
逃げたくても、熊だと思うと恐怖で身体が動かない。仮に逃げられたとしても、一般人より更に鈍臭い莉緒が野生の熊から逃げられる可能性はゼロに近い。莉緒は、ぎゅっと目を瞑りひたすら気配を消した。
(お願いっ!どっかに行って…!)
本来、莉緒は怖がりな性格だ。
ちょっとした物音にもビクビクと怯えてしまい身体が震える。あの時、妊婦の女性を助ける為に莉緒が動けたのは奇跡と言ってもいい。ーーまぁ、莉緒が鈍臭かった為に女性だけ突き飛ばして自分が轢かれてしまった訳だが。
奇跡は二度は続かない。
そんな訳で、莉緒は恐怖に震えながらひたすらに生き物が何処かへ行くのを待ったのだった。
********
体感的には、1時間は経っただろうか?
荒い息遣いをしていた生き物は、漸く莉緒の側を離れていった。
(い、行った……よね?)
その後も、十分ほど動かずに生き物が戻って来ないか警戒した。だが、生き物は戻ってくる気配は無い。そこで漸く莉緒は目を開け身体を起こした。
「………ここ、何処?」
最初に目に飛び込んで来たのは、見渡す限りの木、木、木。そうして、青空には大小二つの輝く太陽。
(太陽が二つの…?)
その瞬間、莉緒は此処が日本どころか地球でも無いことを嫌でも理解した。
「………あの世?」
車に轢かれて、目覚めたら太陽が二つある場所に居た。そうなれば、そう考えるのが普通である。
(ど、どうしよう…。こ、こういう時って、案内の人とかいる筈……だよね?)
誰も居ない見知らぬ場所で一人。
死んだとは言え、ジワジワと恐怖が込み上げてくる。
(だ、誰かいないかな?さっきの生き物が戻って来るかも…)
そう思った莉緒は、小さな声で辺りに向かって声を出した。
「だ、誰か…いませんか…?」
殆ど期待しないで出した莉緒の声に、突然背後から返事が返って来た。
「何でこんな所にガキが居るんだ?」
「キャーー!!で、で、で、でたーー!!」
いきなり聞こえて来た男性の声に、莉緒は悲鳴を上げる。そうして、恐怖が限界に達した莉緒はそのまま意識を失ったのだった。
耳元で、荒い息遣いの様な音が聞こえる。
(んっ、コタロウ…?)
飼い犬の柴犬コタロウは、毎朝莉緒の耳元に荒い息遣いを聞かせて起こして来る。人見知りのする莉緒にとって家族兼友人であるコタロウは、大切な存在だ。とても可愛がる莉緒を、コタロウも家族の誰よりも慕っていた。
ーーしかし、そんな可愛い愛犬の息遣いにしてはどうにも様子がおかしい。
(………なんか、いつも寄り息遣いが荒い?)
そう思った瞬間、莉緒は唐突に思い出した。
(わ、私、車に轢かれた……よね?)
身体に走った、あの強い衝撃を覚えている。
だが、現在莉緒の身体の何処にも痛みは無い。
(びょ、病院じゃ……ない、よね?)
うつ伏せの状態の莉緒。
下の方を向いている身体の部分に感じる少しチクチクとした感覚と、濃厚な土の匂い。そして、耳元で聞こえる生き物の荒い息遣い。
(ーーーーっ!?)
その瞬間、莉緒は自身の置かれている状況を瞬時に理解してしまった。
(嘘っ!?わ、私一体何処にいるの!?)
事故に遭ったのは、住宅街の側。周りは建物とコンクリートだらけだ。
(も、もしかして、何処かの山の中に捨てられたの…?)
一瞬、死体遺棄の文字が頭を過ぎる。
それよりも、耳元で聞こえる生き物の息遣いだ。
(こ、怖い…っ!)
もしも何処かの山に捨てられたのだとしたら、今聞こえる息遣いの持ち主は野生動物だ。しかも、コタロウの様な小型の生き物では無く大型の。
その瞬間、莉緒は生き物が山に住む熊だと思った。
(ど、どうしようっ!こ、怖いよ…!)
逃げたくても、熊だと思うと恐怖で身体が動かない。仮に逃げられたとしても、一般人より更に鈍臭い莉緒が野生の熊から逃げられる可能性はゼロに近い。莉緒は、ぎゅっと目を瞑りひたすら気配を消した。
(お願いっ!どっかに行って…!)
本来、莉緒は怖がりな性格だ。
ちょっとした物音にもビクビクと怯えてしまい身体が震える。あの時、妊婦の女性を助ける為に莉緒が動けたのは奇跡と言ってもいい。ーーまぁ、莉緒が鈍臭かった為に女性だけ突き飛ばして自分が轢かれてしまった訳だが。
奇跡は二度は続かない。
そんな訳で、莉緒は恐怖に震えながらひたすらに生き物が何処かへ行くのを待ったのだった。
********
体感的には、1時間は経っただろうか?
荒い息遣いをしていた生き物は、漸く莉緒の側を離れていった。
(い、行った……よね?)
その後も、十分ほど動かずに生き物が戻って来ないか警戒した。だが、生き物は戻ってくる気配は無い。そこで漸く莉緒は目を開け身体を起こした。
「………ここ、何処?」
最初に目に飛び込んで来たのは、見渡す限りの木、木、木。そうして、青空には大小二つの輝く太陽。
(太陽が二つの…?)
その瞬間、莉緒は此処が日本どころか地球でも無いことを嫌でも理解した。
「………あの世?」
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(ど、どうしよう…。こ、こういう時って、案内の人とかいる筈……だよね?)
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