魔女転生〜転生したらご主人様になりました!?〜

ハルン

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No.25 許せない

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※此処からは23話の続き、回想になります。

******

「お願いがあるのですがーー」

そう言って、ダグラスはダンテに自分とティナをここで働かせてくれないかと頼み込んだ。それに対して、ダンテよりも先にアルスが答える。

「無理、駄目、帰れ」
「おいおい、何でオレじゃなくてお前が決めるんだよ」

呆れた様にアルスを見てから、ダンテはダグラスに目を向ける。

「……まぁ、アルスほどじゃ無いがオレも似た様な意見だ。何より、そこの綺麗な顔のねーちゃんは不満みたいだしな」

その言葉に、莉緒はティナを見る。
ダンテの言う通り、ティナはダグラスの横で不満そうな表情をしていた。

「何だ、不満なのかティナ」
「当たり前でしょ!何で私が、こんなチンケな宿屋で働かなくちゃいけないのよ!私達は、アルス様を連れ戻しに来たのよ!?こんな宿屋で働く為じゃ無いわ!」

その言葉に、莉緒はムッとした。
確かに、この宿屋は王都などの大きな街の宿屋に比べたら質素で古く、お世辞にも綺麗とは言い難いだろう。しかし、ダンテやミラ達従業員やお客を含め、皆が得体の知れない莉緒にとても親切にしてくれた。人見知りの為に人と上手く付き合う事の出来ない莉緒は、それがどれだけ有難い事か知っていた。だから、ダンテやミラが大事に思っている宿を馬鹿にされて頭に血が上った。

「そもそも、従業員を増やすほど儲かってるとは思えなーー」
「………て、ください」

自分の言葉を遮る声に、ティナは言葉を止める。周囲も、驚いた様に莉緒を見る。まさか、あの人見知りの莉緒が誰かの言葉を遮るなど、誰も予想していなかった。

ーーだがそんな周囲の驚愕の視線も、今の莉緒には認識出来なかった。

(許せない…)

頭の中は、その言葉で埋め尽くされていた。
この世界の常識すら何も知らない莉緒を、優しく受け入れて居場所をくれた人々や場所を馬鹿にされて、生まれて初めてと言っても良いほどに莉緒は怒っていた。

「謝ってください」
「は?何を言って…」
「ダンテさん達や、宿を馬鹿にした事を謝ってください」
「………リオちゃん?」

心配そうなアルスの声すら、今の莉緒には聞こえていなかった。

(……何だろう。自分の中に、もう一人の自分がいるみたい)

自分自身、こんなにはっきりと相手に物を言える事に驚いていた。まるで、別の自分が話している様な感覚だった。

「はぁ?何で私が謝んないといけないのよ!」
「ティナ、流石に言い過ぎだ」

謝る気配の無いティナと、そんな彼女を嗜めるダグラス。だが…ティナのその言葉を聞いた瞬間、何処かぼんやりしていた別の自分が覚醒したのが莉緒には分かった。

「『謝れ』」
「えっ?……っ!?」
「『聞こえなかったのか?謝れと言ってーー』」
「ご主人様っ!」

突如横からアルスの声が聞こえたかと思うと、莉緒はアルスに抱きしめられていた。

「っ…!ア、アルスさん…!?」

その瞬間、別の自分と本来の莉緒の意識が切り替わった。だが、莉緒はそれには気付かずに自分を抱きしめるアルスに赤面する。

「アルスさんっ!は、離してください!」
「ん~、もう大丈夫みたいだね」
「えっ?」
「駄目だよ、ご主人様。俺以外にご主人様の力を使っちゃ。何より、人がそれなりに居るんだから」
「え、っと…」

アルスが何を言っているのか莉緒はよく分からなかった。そんな二人を、何処か強張った表情で此方を見るダグラスとティナがいたのだった。

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