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第1章
そうして現在に至る
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『おいおい、今からでも遅く無いぞ?』
『そうよ。考え直して?』
『今やっと、あの野菜が上手く育ったんだよ』
『此処を出て、何処に行くつもりなんだ?』
協会を出て行く日。
目の前には、教会の皆んなが見送りに来てくれた。
だが、それよりも更に大勢の『彼等』がマリオンの周りを取り囲む。
「マリオン、身体には気を付けてね」
『大丈夫だって。この子、腹出して寝ても風邪引かないしな』
マリオンの隣の部屋の女性がそう言うと、赤髪の男前インキュバスが答える。
「いいかい、マリオン。復習は、毎日欠かさず行うんだよ」
『そうだぞ?美味しい野菜を育てるのも日々の怠る事ない努力の積み重ねが大事なんじゃ』
勉強を教えてくれている歳をとった神官の老人がそう言うと、膝丈ほどのとんがり帽子を被った初老の小人が同意する。
「寂しくなったら、何時でも戻って来るのよ?」
『そうだぞ。お前が居なくなったら、教会に住めなくなる。………クソッ!もう少しで、この女に俺のテクニックをお披露目する筈だったのにっ!』
姉の様に慕う女性ーーミレニアが心配そうに言うと、黒髪カールの色気ムンムン先輩インキュバスが悔しそうに言う。
皆んなの別れの挨拶を聞き終えると、ダフネスがタイミングを見てマリオンに声をかける。
「マリオン、そろそろ行きますよ」
「はい。ーー皆んな、元気で」
ーーと言っても、週に一回は教会に勉強しに来るが。
『いやぁ~ん、行かないで~!貴女が居ないと私、此処に住めないの!そうしたら、あの人と離れ離れになっちゃう~』
キンキラキンのオジ様とイチャイチャしていた茶髪の色気ムンムンサキュバスが、マリオンに抱き付く。しかし、『彼等』に触られても感触は無い。マリオンは、何事も無い様にダフネスと共に教会を後にする。
(これで、一先ずは教会の皆んなに迷惑はかけない筈…)
マリオンがこれから行く孤児院は、アルミス孤児院。ダフネスの古い知り合いが院長をしている孤児院だ。
「院長のガス様は、とても優しい人です。孤児院の子供達もとても元気な子達です。きっと、マリオンにとって過ごしやすい場所になりますよ」
「はやく馴染める様に頑張ります」
そう言ってダフネスに手を引かれてやって来た孤児院は、一言で言うとマリオンにとって最高の場所だった。
見える事は変わらない。
だが、何故だかその孤児院には『彼等』は入って来れなかったのだ。
マリオンは、歓喜した。
一定の場所には住めず、各孤児院を転々とする事を覚悟していた。だが、この孤児院にならずっと住める。その事実は、マリオンを大いに喜ばせた。
(此処なら、『彼等』も入れない。誰にも迷惑をかける事が無い……!)
それからは、とても充実した11年間だった。
週一で教会に通いながら、孤児院の皆んなと過ごして来た。時には孤児院の皆んなと喧嘩し、時には街で皆んなと悪戯して院長に怒られたり。
そんな日々を過ごして来たマリオンは、先日16歳になった。
孤児院の子供は、16歳の成人を迎えると孤児院を出て行かねばならない。
「………ねぇ、マリオン。マリオンも、そろそろ孤児院出てくんだろ?」
背中に乗せたテイルが小さな声で話しかけて来る。その声は、何処と無く寂しそうだ。弟分のそんな声に、マリオンは小さく笑いながら話す。
「そうだよ。でも手のかかる弟分が居るから、ちょくちょく様子見に戻らないとな~」
「別にオレは一人でも大丈夫だし!………でも、マリオンがどうしてもって言うなら様子見に戻ってこいよ!」
(素直じゃ無いな~)
素直に寂しいと言わない弟分に、心の中で笑いながら皆んなと孤児院に戻ったのだった。
『そうよ。考え直して?』
『今やっと、あの野菜が上手く育ったんだよ』
『此処を出て、何処に行くつもりなんだ?』
協会を出て行く日。
目の前には、教会の皆んなが見送りに来てくれた。
だが、それよりも更に大勢の『彼等』がマリオンの周りを取り囲む。
「マリオン、身体には気を付けてね」
『大丈夫だって。この子、腹出して寝ても風邪引かないしな』
マリオンの隣の部屋の女性がそう言うと、赤髪の男前インキュバスが答える。
「いいかい、マリオン。復習は、毎日欠かさず行うんだよ」
『そうだぞ?美味しい野菜を育てるのも日々の怠る事ない努力の積み重ねが大事なんじゃ』
勉強を教えてくれている歳をとった神官の老人がそう言うと、膝丈ほどのとんがり帽子を被った初老の小人が同意する。
「寂しくなったら、何時でも戻って来るのよ?」
『そうだぞ。お前が居なくなったら、教会に住めなくなる。………クソッ!もう少しで、この女に俺のテクニックをお披露目する筈だったのにっ!』
姉の様に慕う女性ーーミレニアが心配そうに言うと、黒髪カールの色気ムンムン先輩インキュバスが悔しそうに言う。
皆んなの別れの挨拶を聞き終えると、ダフネスがタイミングを見てマリオンに声をかける。
「マリオン、そろそろ行きますよ」
「はい。ーー皆んな、元気で」
ーーと言っても、週に一回は教会に勉強しに来るが。
『いやぁ~ん、行かないで~!貴女が居ないと私、此処に住めないの!そうしたら、あの人と離れ離れになっちゃう~』
キンキラキンのオジ様とイチャイチャしていた茶髪の色気ムンムンサキュバスが、マリオンに抱き付く。しかし、『彼等』に触られても感触は無い。マリオンは、何事も無い様にダフネスと共に教会を後にする。
(これで、一先ずは教会の皆んなに迷惑はかけない筈…)
マリオンがこれから行く孤児院は、アルミス孤児院。ダフネスの古い知り合いが院長をしている孤児院だ。
「院長のガス様は、とても優しい人です。孤児院の子供達もとても元気な子達です。きっと、マリオンにとって過ごしやすい場所になりますよ」
「はやく馴染める様に頑張ります」
そう言ってダフネスに手を引かれてやって来た孤児院は、一言で言うとマリオンにとって最高の場所だった。
見える事は変わらない。
だが、何故だかその孤児院には『彼等』は入って来れなかったのだ。
マリオンは、歓喜した。
一定の場所には住めず、各孤児院を転々とする事を覚悟していた。だが、この孤児院にならずっと住める。その事実は、マリオンを大いに喜ばせた。
(此処なら、『彼等』も入れない。誰にも迷惑をかける事が無い……!)
それからは、とても充実した11年間だった。
週一で教会に通いながら、孤児院の皆んなと過ごして来た。時には孤児院の皆んなと喧嘩し、時には街で皆んなと悪戯して院長に怒られたり。
そんな日々を過ごして来たマリオンは、先日16歳になった。
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「………ねぇ、マリオン。マリオンも、そろそろ孤児院出てくんだろ?」
背中に乗せたテイルが小さな声で話しかけて来る。その声は、何処と無く寂しそうだ。弟分のそんな声に、マリオンは小さく笑いながら話す。
「そうだよ。でも手のかかる弟分が居るから、ちょくちょく様子見に戻らないとな~」
「別にオレは一人でも大丈夫だし!………でも、マリオンがどうしてもって言うなら様子見に戻ってこいよ!」
(素直じゃ無いな~)
素直に寂しいと言わない弟分に、心の中で笑いながら皆んなと孤児院に戻ったのだった。
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