見えるんです!!〜私の世界は少し複雑です!〜

ハルン

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第1章

来客があるようです

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「お~い、マリオン!何一人でブツブツ話してんだよ!」

そう言って、トックが籠いっぱいに入ったシーツを持って走り寄って来た。

「あれ?これって、来客用のシーツだよな?」
「うん。院長先生が、これも干しといてって」
「ふ~ん。わかった」

(近いうちに、誰か来客があるのかな?)

「じゃあ、よろしくな!オレは、食堂の掃除があるから!」

そう言って、シーツの入った籠をマリオンの側に置いてトックは孤児院に戻って行く。

「よし、やるか」
『頑張れよ』

戦神の声援を受けながら、マリオンは来客用のシーツを干して行く。

「………よしっ、終わり」

青空の下、干した白いシーツが風に靡く様はとても気持ちの良い光景だった。その光景を暫く眺めてから、空になった籠を持ち孤児院に戻る。その後ろをガンダルが付いて来る。

「………何で、オレの後を着いてくるんだよ」
『だってよ、俺の話し相手はお前しか居ないんだから着いてくのは突然だろ?』
「いや、他の知り合いの所に行けばいいだろ」
『そんなつれない事言うなよ。そんなんじゃ、男にモテないぞ?』

「なぁなぁ」と、マリオンの周りを飛び回るガンダルを無視しながらガスの元へ向かった。ガスは、孤児院の前を掃除していた。

「院長先生」
「おや、マリオン。洗濯は終わったんですか?」
「はい。追加のシーツも全部干し終わりました」
「ありがとうございます」
「来客用のシーツって、この前洗ったばかりですよね。それなのに、今日も洗ったって事は誰か来るんですか?」
「えぇ。先程連絡がありまして、明後日のお昼頃に大切なお客様が来るんですよ」
「何人ですか?それに、泊まりですか?」

泊まりならば、来客用の部屋を掃除しなければ。来客用の二人部屋が一つしかなく、二人以上だった場合は街の宿に泊まって貰わなければならない。

「来客は五人ですが、二人はこちらに泊まり残りの三人は宿に泊まるそうですよ」
「わかりました」
「食事はこちらで食べるそうです。食材は彼方の方が大量に用意してくれるそうですよ」
「本当ですか!」

ガスの言葉に、マリオンは喜びの声を上げる。孤児院には食べ盛りの子供がいる為、食材がタダで大量に貰えるのは凄く嬉しい。

(皆んなに、色んな料理を食べさせてあげられるな)

何より、子供達を優先してあまり食べないガスに沢山食べさせる事が出来る。

「栄養のある美味しい物を、腕に寄りをかけて沢山作りますね!」
「本当ですか?それは、とても嬉しいです。マリオンの作るご飯は美味しいですからね。一体、何処で学んだのやら。やっぱり、マリオンもしっかりと女の子ですね」

(まぁ、中身は前世と合わせて40前の女ですからね)

元々、前世でも一人暮らしで自炊はしていた。だから、料理の腕には少し自信があるのだ。

「何の食材が貰えるんだろう?アレがあったら、アレを作って…」

まだ見ぬ食材を夢見ながら、料理を考え出したマリオンをガスは微笑ましげに眺めていた。

(良かった、元気になりましたね)

この三日間、何処か疲れたように宙を見つめるマリオンの楽しげな様子にガスはホッと安心したのだった。



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