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第1章

No.42

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朝、目が覚めた真琴は機嫌が悪かった。

(なんか苛つくなぁ…)

ーートントン

ベットの上で上半身だけ起こしてそんな事を思っていると、扉を叩く音が聞こえて来た。

「はい」
「失礼します。マコ様、おはようございます。よく眠れましたか?」

そう言って入って来たのは、いつもの様に綺麗なリディアさん。

「………」
「あの…マコ様?」

リディアさんが、戸惑った声を上げる。

それはそうだろう。私が、リディアさんの胸を無言でガン見しているのだから。

(なんだろう?何故か、あの豊満な胸が憎い…)

いつもなら、そんな事を思わない。
だが、今日は何故か無性に目が行く。

「ポヨンポヨン…」
「マコ様?」

頭に浮かんだ言葉を小さく呟く。

「まさか、何処か体調がよろしくないんですか?」

遂には、リディアさんに体調を心配されてしまう。
其処で、ようやくハッと我に帰り慌てて話す。

「ち、違います!ほら!こんなに元気です!」

そう言って、ベットから飛び降り腕をグルグルと回して見せる。

「それなら、良かったです。ですが、気分が優れなかったら直ぐに言ってくださいね?」
「わかりました」

しっかりと頷いて返事をする。
そうして、リディアさんの用意した緑のワンピース寄りのドレスを着る。最近は、1人で服を着れる様になった。だが、髪だけは未だにリディアさん任せだ。

「マコ様の髪は、とても綺麗ですね」

そう言って、優しく髪をとかす。
短いから簡単に終わらせていいと言っているのだがリディアさんは、香油を塗り込んだりと手入れをしてくれる。

「例え、髪が短くても女性は身なりを綺麗にしなければいけません。マコ様は、髪が綺麗なんですからしっかりと手入れをしないと」

そう言って、今日はバラの香りのする香油を塗り込こむ。

(いい匂い…)

キツ過ぎないその香りに、目を閉じて香りを楽しむ。

「この香油は、リラックス効果のある王都で今人気の香りなんですよ?」
「そうなんですか」

「出来ました」という言葉と共に、朝食を食べる為食堂に向かう。

食堂には、丁度食べ終わったのであろうアルフォンスさんが居た。

「アルフォンスさん、おはようございます」
「おはよう。これから朝食か?」
「はい」

話をしながら、アルフォンスさんの左の席に座る。

「そうだ、今日から暫くの間だけ街に出ないでもらえないか?」
「え?…はい、わかりました」

そんな事を言われたのは、この屋敷でお世話になってから初めての事だった。アルフォンスさんは、私のやりたい事を否定しない。寧ろ、応援して自身も協力してくれる。

(そのアルフォンスさんがこんなこと言うんだから、何か意味があるよね)

「本当にすまない。詳しくは話せないんだ」
「大丈夫ですよ。今日は、屋敷で本を読んでます」
「ありがとう」

眉を下げ、申し訳無さそうな顔をしながらアルフォンスさんは仕事に向かった。

(何か事件でもあったのかな?)

そんな事を思いながら、運ばれて来た美味しそうな朝食を食べ始めた。



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