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第2章

No.217

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帰りの馬車の中で、いつもとは様子の違ったアルフォンス。真琴は、そんな彼を心配したが馬車が公爵家へ着く頃には何時ものアルフォンスに戻っていた。

「真琴」

先に馬車から降りたアルフォンスは、降りやすい様にと真琴へ手を差し出す。

「ありがとうございます」

日本ではあり得なかった男性からのエスコートにも、真琴はすっかりと慣れていた。

(最初の頃は、あんなに恥ずかしかったのに今は当たり前みたいに受ける事が出来るなんて…)

この世界に来た頃の真琴に言っても、絶対に信じなかっただろう。そんな事を思いながら、クスッと笑う。

「どうしたんだ?」
「いえ。………ただ、アルフォンスさんからのエスコートにも随分慣れたなぁ~って思って」

その言葉に、アルフォンスは甘い笑みを浮かべる。

「随分では困るな。真琴には、これからずっと俺の側で、妻として居てもらうんだ。エスコートなんて当たり前になって貰わないとな」
「は、はい…」

「妻」と言う言葉に、真琴は顔を赤くする。アルフォンスの口から当たり前の様に出た「妻」と言う言葉に、心から喜びが溢れてくるのが分かる。

(嬉しい)

そんな気持ちのままに、真琴はアルフォンスに向かって言った。

「わ、私も!私も、アルフォンスさんの妻としてずっと側に居たいです…!」
「っ!?」

顔を赤くしながらも、必死に想いを伝える真琴にアルフォンスは息を呑んだ。そうして、直ぐに真剣な表情で真琴に話しかける。

「真琴、その気持ちは本当か?」
「はい。私、アルフォンスさんとずっと一緒に居たいです」
「初めて会った時、俺は真琴と約束したな。『君が元の世界に帰れる様に協力しよう』と」
「………はい」

勿論、覚えている。
やっと出会えた運命の番なのに、そんな真琴の願いを叶える為に、この世界では無い別の世界に帰る方法を探す協力をした事に驚いたものだ。

「俺は、未だ帰る方法を見つける事が出来ていない。………それでも、いいのか?」

その言葉に、真琴は目を伏せる。
脳裏には、大切な両親や弟や妹達の姿が浮かぶ。

(今でも、皆んなに会いたいと思う。ふとした瞬間に、皆んなに会いたくて泣きたくなる)


ーーだが、それよりも強い気持ち想いが出来てしまった。


真琴は、静かに目を開けると目の前の美しい恋人を見つめる。

「……はい。私は、貴方の妻になりたいです」

それは、色々な悩みや葛藤を削ぎ落として残った真琴の純粋な気持ちだった。

「っ………!真琴っ!!」

感極まったアルフォンスは、真琴を力強く抱き締める。

「絶対に幸せにするっ!真琴が悲しむ暇がない程に、真琴を一生愛し抜く!!俺なしでは居られないくらいに幸せにする!」
「程々にして下さいね?」

アルフォンスの言葉に、笑いながら答える真琴は幸せに満ちた顔をしていた。
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