前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン

文字の大きさ
6 / 47
過去の記憶

彼の親友

しおりを挟む
カランカラン

「いらっしゃいませ!」
「よっ!レムちゃん、今日も可愛いね。いつもの肉料理頼むよ」
「ギアンさん!こんにちは。直ぐに用意しますから空いてる席に座っていて下さい」

店に入って来たのはリュシュオンの親友で同期のギアン・ガイファード。22歳の彼は金の髪に青い瞳の王子様の様な顔をしている。リュシュオンが騎士団に入ってからの親友で彼同様、騎士団トップクラスの実力者だ。

「お待たせしました。鶏肉のオニオン焼きです」
「おっ美味そう!いただきま~す」

口一杯に肉を頬張り美味しそうに食べる彼を見ながら扉に視線をチラチラと送る。

「リュシュオン」
「っ!」
「来ないか気にしてるんでしょ~。全く何でアイツはこんな可愛い子放ったらかしにしとくんだか…」

ギアンさんが呆れた様に呟く。

「レムちゃんはいいの?知ってるだろ?アイツの噂」
「…はい」

リュシュオンの噂。それは彼が色んな女の人と遊んでいると言う噂。彼は将来有望な騎士でしかもとってもカッコいい。そんな彼に女の人が寄り付かないはずが無く、近付いてきた女の人と付き合い別れを幾度となく繰り返している。

「ほんっと馬鹿だよなアイツ。こんなに好きでいてくれる子がいるのによ。他の女と軽い気持ちで付き合うんだから」
「リュシュオンが誰と付き合うかは彼の自由ですよ。私は彼が付き合うに値しないってだけで…」

ルールを守り告白は1日一度だけ、彼の邪魔をしない。それを守って来た。どんなに辛く悲しくても彼の女性関係に口を出さない。8年前から彼の態度は変わらない。冷たく私を突き放す。

「彼には私の気持ちは迷惑ってわかってる…」

(それでも好きなの)

「ん?なんか言った?」
「ギアンさんは一途ですね~って言ったんです」
「なっ!」
「聞きましたよ?ソフィーさんに告白したって」

その途端、ギアンさんの顔が一気に赤くなる。ソフィーさんとは私の2歳上の洋服店で働く女性のことだ。彼女は昔、私が押し倒した時の女性だ。あの後、彼女とは仲直りし今では姉の様に慕っている。

「それでどうだったんですか?」

(結果はわかってるけど)

「あー。なんだ?その…ソフィーと付き合う事になった」

襟足を触りながら照れ臭そうに告げる。

「おめでとうございます!」
「ありがとな。レムちゃんが機会を作ってくれなかったらソフィーに告白すら出来なかった」
「大したことしてないですよ。ギアンさんが勇気を出したから」

ギアンさんがソフィーさんを好きな様にソフィーさんもギアンさんが好きだった。接点のない2人のために私の知り合いとして紹介しただけだ。その後2人は順調に関係を築いていったのだ。

「俺もレムちゃんに協力したいんだが…」

ギアンさんもリュシュオンの私に対する態度を知っているため困っていた。

「大丈夫ですよ!私は今まで通りリュシュオンに好きになって貰える様に努力し続けるだけですから!」

食べ終わった彼の背中を押す。

「今からソフィーさんの所に寄るんですよね?時間が無くなっちゃいますから早く行ってください!」
「…分かったよ。これ代金。美味しかったよ」
「また来て下さい!」

彼女の元に嬉しそうに向かう彼を笑顔で見送る。

「レムちゃん~。こっちの注文お願いするわ」
「はーい!」

それから私は店の中を忙しなく駆け回った。
しおりを挟む
感想 80

あなたにおすすめの小説

恋心を封印したら、なぜか幼馴染みがヤンデレになりました?

夕立悠理
恋愛
 ずっと、幼馴染みのマカリのことが好きだったヴィオラ。  けれど、マカリはちっとも振り向いてくれない。  このまま勝手に好きで居続けるのも迷惑だろうと、ヴィオラは育った町をでる。  なんとか、王都での仕事も見つけ、新しい生活は順風満帆──かと思いきや。  なんと、王都だけは死んでもいかないといっていたマカリが、ヴィオラを追ってきて……。

【完結】そう、番だったら別れなさい

堀 和三盆
恋愛
 ラシーヌは狼獣人でライフェ侯爵家の一人娘。番である両親に憧れていて、番との婚姻を完全に諦めるまでは異性との交際は控えようと思っていた。  しかし、ある日を境に母親から異性との交際をしつこく勧められるようになり、仕方なく幼馴染で猫獣人のファンゲンに恋人のふりを頼むことに。彼の方にも事情があり、お互いの利害が一致したことから二人の嘘の交際が始まった。  そして二人が成長すると、なんと偽の恋人役を頼んだ幼馴染のファンゲンから番の気配を感じるようになり、幼馴染が大好きだったラシーヌは大喜び。早速母親に、 『お付き合いしている幼馴染のファンゲンが私の番かもしれない』――と報告するのだが。 「そう、番だったら別れなさい」  母親からの返答はラシーヌには受け入れ難いものだった。  お母様どうして!?  何で運命の番と別れなくてはいけないの!?

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!

高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。 7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。 だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。 成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。 そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る 【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】

勇者様がお望みなのはどうやら王女様ではないようです

ララ
恋愛
大好きな幼馴染で恋人のアレン。 彼は5年ほど前に神託によって勇者に選ばれた。 先日、ようやく魔王討伐を終えて帰ってきた。 帰還を祝うパーティーで見た彼は以前よりもさらにかっこよく、魅力的になっていた。 ずっと待ってた。 帰ってくるって言った言葉を信じて。 あの日のプロポーズを信じて。 でも帰ってきた彼からはなんの連絡もない。 それどころか街中勇者と王女の密やかな恋の話で大盛り上がり。 なんで‥‥どうして?

番を辞めますさようなら

京佳
恋愛
番である婚約者に冷遇され続けた私は彼の裏切りを目撃した。心が壊れた私は彼の番で居続ける事を放棄した。私ではなく別の人と幸せになって下さい。さようなら… 愛されなかった番。後悔ざまぁ。すれ違いエンド。ゆるゆる設定。 ※沢山のお気に入り&いいねをありがとうございます。感謝感謝♡

初恋の呪縛

緑谷めい
恋愛
「エミリ。すまないが、これから暫くの間、俺の同僚のアーダの家に食事を作りに行ってくれないだろうか?」  王国騎士団の騎士である夫デニスにそう頼まれたエミリは、もちろん二つ返事で引き受けた。女性騎士のアーダは夫と同期だと聞いている。半年前にエミリとデニスが結婚した際に結婚パーティーの席で他の同僚達と共にデニスから紹介され、面識もある。  ※ 全6話完結予定

どうせ運命の番に出会う婚約者に捨てられる運命なら、最高に良い男に育ててから捨てられてやろうってお話

下菊みこと
恋愛
運命の番に出会って自分を捨てるだろう婚約者を、とびきりの良い男に育てて捨てられに行く気満々の悪役令嬢のお話。 御都合主義のハッピーエンド。 小説家になろう様でも投稿しています。

処理中です...