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セレスタ 波乱の婚約式編
誕生日の贈り物 4
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通信機を興味深そうに見ていたヴォルフがマリナに顔を向けて厳しい顔を作る。
「で、これを作るために夜更かしをしていたんだな」
いきなり話が変わって言い訳する台詞が浮かばない。
「えっと……、ごめんなさい」
ちょっと考えて素直に謝ることにした。
心配しているのがわかっていて夜更かしをしていたのは悪かったと思う。
「ちょっと興が乗ったというか、止められなくて」
カチッと嵌るように理論が形になっていくおもしろさは他に代えがたい。
考えていたことと手元の動き、そして完成した時の性能が一致したときの感動が魔道具作りの醍醐味だ。
今回の魔道具は作ってきた中でも渾身の作品だった。
作った期間を思うと我ながらすごいと思う。
こつこつ作るのが苦手なのもあって集中したら手を止められない。
途中でヴォルフに入って来られた時は焦ったけれど、作業していたのが奥の部屋だったので見られずに済んで良かった。
殊勝に言葉を待っているとぽふっと頭に手が乗せられる。
「ありがとな」
優しく撫でられて口元が緩む。
「良かった、喜んでもらえて」
夜更かしした甲斐があった。もうしないけど。
眠るまで見張られるのは落ち着かなかった。
「どこに入れて持ち歩くかな」
通信機は小さい魔道具なのでそれほど場所を選ばない。
鎖が付いているので首にかけてもいいけれど、指輪もあるので邪魔になりそう。
丁度騎士服を着ていたので胸元の合わせに手を伸ばす。
寛げてあった襟の隙間に指を掛けボタンを外していく。
上部から何個目かのボタンを外すと丁度心臓の上くらいに隠しがある。
マリナとしてはここが一番取り出しやすいと思う。
「取り出して見ることを考えたらこことか」
騎士服の内側にある隠しに指を掛けて考えを述べる。
「後は普通にズボンのポケットでもいいと思うけど、チェーンが目立つからおすすめはしないかな」
チェーンには留め具があり、衣服に留められるようになっている。
通信機が落ちないように留めておけば気兼ねなく走れると思う。
隠しは結構深いから落ちないかもしれないけど、万が一があったら困る。
「……?」
返事がないので顔を上げると眉間に皺を寄せたヴォルフと目が合う。
なんでそんな顔をしているのかわからなくて一瞬首を傾げ、はっと気づく。
これは身を乗り出してヴォルフの服の合わせを(勝手に)開き内側に指を指し込んでいる状態、と。
襟を掴んでいた左手をぱっと離す。
マリナの顔が赤くなっていくと同時にヴォルフの顔が険しくなっていく。
「ゴメン!! わざとじゃないの!」
意識してたら絶対できない。無意識だからやってしまったことに酷く慌てる。
「…………。 その方がたちが悪いだろ……」
ヴォルフが何か呟いたけど小さすぎて聞こえない。
あわあわしてるとヴォルフの手がマリナの手を掴む。
引っ張られて抱き止められる。
「……!」
どうやって怒りを鎮めようか焦っていると耳元で低い声が聞こえた。
「あの酒に続いて二度目だ」
思い出したくない恥ずかしすぎる記憶を出されて身悶えする。
(あれは悪かったと思ってるけど! 仕方ないじゃない?!)
ヴォルフの忍耐を試すようなことになるとは思わなかったし。
結果、ヴォルフはとても忍耐強かった。
額に優しいキスをくれただけでそれ以上のことは何もしなかった。
……けれど、何も感じなかったわけではなく根に持っていたらしい。
「覚えてろよ、今度お前が素面の時にやり返すからな」
「えっ!?」
とんでもないことを言われた。
顔を引きつらせるマリナを見てヴォルフが口元を吊り上げる。
「楽しみだな」
言葉の通り楽しそうに笑うのを見て、マリナはかつてない危機感を募らせた。
「で、これを作るために夜更かしをしていたんだな」
いきなり話が変わって言い訳する台詞が浮かばない。
「えっと……、ごめんなさい」
ちょっと考えて素直に謝ることにした。
心配しているのがわかっていて夜更かしをしていたのは悪かったと思う。
「ちょっと興が乗ったというか、止められなくて」
カチッと嵌るように理論が形になっていくおもしろさは他に代えがたい。
考えていたことと手元の動き、そして完成した時の性能が一致したときの感動が魔道具作りの醍醐味だ。
今回の魔道具は作ってきた中でも渾身の作品だった。
作った期間を思うと我ながらすごいと思う。
こつこつ作るのが苦手なのもあって集中したら手を止められない。
途中でヴォルフに入って来られた時は焦ったけれど、作業していたのが奥の部屋だったので見られずに済んで良かった。
殊勝に言葉を待っているとぽふっと頭に手が乗せられる。
「ありがとな」
優しく撫でられて口元が緩む。
「良かった、喜んでもらえて」
夜更かしした甲斐があった。もうしないけど。
眠るまで見張られるのは落ち着かなかった。
「どこに入れて持ち歩くかな」
通信機は小さい魔道具なのでそれほど場所を選ばない。
鎖が付いているので首にかけてもいいけれど、指輪もあるので邪魔になりそう。
丁度騎士服を着ていたので胸元の合わせに手を伸ばす。
寛げてあった襟の隙間に指を掛けボタンを外していく。
上部から何個目かのボタンを外すと丁度心臓の上くらいに隠しがある。
マリナとしてはここが一番取り出しやすいと思う。
「取り出して見ることを考えたらこことか」
騎士服の内側にある隠しに指を掛けて考えを述べる。
「後は普通にズボンのポケットでもいいと思うけど、チェーンが目立つからおすすめはしないかな」
チェーンには留め具があり、衣服に留められるようになっている。
通信機が落ちないように留めておけば気兼ねなく走れると思う。
隠しは結構深いから落ちないかもしれないけど、万が一があったら困る。
「……?」
返事がないので顔を上げると眉間に皺を寄せたヴォルフと目が合う。
なんでそんな顔をしているのかわからなくて一瞬首を傾げ、はっと気づく。
これは身を乗り出してヴォルフの服の合わせを(勝手に)開き内側に指を指し込んでいる状態、と。
襟を掴んでいた左手をぱっと離す。
マリナの顔が赤くなっていくと同時にヴォルフの顔が険しくなっていく。
「ゴメン!! わざとじゃないの!」
意識してたら絶対できない。無意識だからやってしまったことに酷く慌てる。
「…………。 その方がたちが悪いだろ……」
ヴォルフが何か呟いたけど小さすぎて聞こえない。
あわあわしてるとヴォルフの手がマリナの手を掴む。
引っ張られて抱き止められる。
「……!」
どうやって怒りを鎮めようか焦っていると耳元で低い声が聞こえた。
「あの酒に続いて二度目だ」
思い出したくない恥ずかしすぎる記憶を出されて身悶えする。
(あれは悪かったと思ってるけど! 仕方ないじゃない?!)
ヴォルフの忍耐を試すようなことになるとは思わなかったし。
結果、ヴォルフはとても忍耐強かった。
額に優しいキスをくれただけでそれ以上のことは何もしなかった。
……けれど、何も感じなかったわけではなく根に持っていたらしい。
「覚えてろよ、今度お前が素面の時にやり返すからな」
「えっ!?」
とんでもないことを言われた。
顔を引きつらせるマリナを見てヴォルフが口元を吊り上げる。
「楽しみだな」
言葉の通り楽しそうに笑うのを見て、マリナはかつてない危機感を募らせた。
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