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第1話 婚約破棄
しおりを挟むグラデリア王国公爵家の長女であるわたくし、シャーリー・フェルディナン・ダルトワは今、馬車に揺られて王国の端にあるタリム領の領主である男爵家へと嫁ぐ事となった。
そもそも何故わたくしが男爵家へと嫁ぐ事になったのかというと、先週の学園卒業パーティーにて元婚約者であったラインハルト陛下の長男であるシュバルツ殿下から証拠の無い悪行をでっち上げられ、それをパーティーの最中にてまるで見世物のようにわたくしに告げた後にそのまま婚約破棄を言い渡されたのである。
初めは身に覚えがなくシュバルツ殿下が何を言っているのか分からなかったのだが、話が進んでいくにつれてどうやら、その時シュバルツ殿下の後ろに隠れていた伯爵令嬢であるアイリスにたぶらかされ、その令嬢が言ったあることないこと全てを裏取りもせずに信じたのであろう。
前々からシュバルツ殿下があの令嬢に熱を上げている事は知っていたが、多少の火遊びくらい気にしていてはこれから先王国の妃としてやっていけないと我慢してきた結果がこれである。
その結果わたくしはシュバルツ殿下との婚約が破棄され、罰として別の男性と新たに婚約をする羽目になったというわけである。
当初は婚約破棄だけであったのだが件の伯爵令嬢による『それだけではこの悪女には生ぬるいでしょう。 自ら犯した罪を悔い改めさせるには、そうですね……シノミヤ男爵へ嫁がせるべきかと思います』という鶴の一声によってわたくしは反論すら出来ずにソウイチロウ・シノミヤという男爵の元へと婚約をすっ飛んで嫁ぐ破目になったのであった。
当然王族であるシュバルツ殿下から直接婚約破棄を言い渡されたわたくしは、家に帰るなりお父様には勘当を言い渡され、メイド達からは陰で悪口を投げかけられてしまう。
それでも、極刑とならずにこうして命があるだけでも運が良かったのだと、無理やり自分を納得させる。
婚約者を奪われ、婚約者からは罵倒され、メイド達からは蔑まれ、お父様からは見限られ、住む家を追い出され、運が良かったなど笑い話にもならない事くらい分かっているのだが、そう思わずには生きる気力も湧かない。
そして更にわたくしに追い打ちをかけるのが嫁ぎ先である『ソウイチロウ・シノミヤ』という男性である。
この男の名前はわたくしの耳にも届いており、その逸話のインパクトに忘れず今も覚えている。
ソウイチロウ・シノミヤの髪と目は黒く悪魔の申し子である。
ソウイチロウ・シノミヤは若い女性の血肉を貪り不老の身体を手に入れている。
ソウイチロウ・シノミヤは変人のそれである。
ソウイチロウ・シノミヤは裏で人身売買をしている。
ソウイチロウ・シノミヤはetc、etc、etc。
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