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第14話 何もできない箱入り娘ではない
しおりを挟むそう何度も説明するのだけれども、ミヤーコもアンナも一向に首を縦に振ってくれず、むしろわたくしが一人でお風呂に入れる事すら信用してくれないではないか。
流石にそこまで言われてはむしろ逆にわたくしが一人でもお風呂に入ることができる娘であると、何もできない箱入り娘ではないという事を見せつけてやろうではないか。
そう思いわたくしは意気揚々と、アンナと共にお風呂場へと向かう事にする。
結果から言うと、わたくしは間違いなくアンナがいなければお風呂へ入る事は出来なかっただろう。
説明されれば髪用の石鹸やオイルに身体用の石鹸がある事や、捻ればお湯が出て来る上に自分好みの温度に設定できる魔道具等、何てことないのだけれども説明も何もなしで扱う事ができるかと言われれば、まずできないだろう。
そしてアンナはそんなわたくしの心情を察したのか『だから言ったでしょう?』というような表情で見つめて来るではないか。
しかしながら事実は事実なのでわたくしは今日の事をしっかりと受け止めながら湯舟へと浸かると、少ししてアンナまで一緒に浸かってくるではないか。
アンナも裸であった事からもしかしたらアンナも一緒に湯船に浸かってくるのでは? と思っていたのだが、どうやらこの件に関してはわたくしの勘が当たったようで、今まで使用人が一緒に湯船に浸かってくるという事が無かった為多少驚きはすれど予想はしていたので何とか今回に関しては冷静さを保つことができた。
「私が湯船に浸かると驚くと思っていたのにっ!! まさか読まれていたとはっ!?」
「残念でしたわね。流石に、わたくしに使用方法を教える為とは言え隣で身体を洗っているのですし、この一人ではあまりにも大きすぎる湯舟など鑑みてもアンナは恐らくわたくしが入っている湯船に入ってくるとは思っておりましたもの」
そんなわたくしにアンナは少し悔しそうにしていたので、そんなアンナの表情を見る事ができたのならば今回に関しては引き分けという事にしておいてやろう。
そして身体も心も十分に解れ、温まったので湯船から出て更衣室に向かい、そこで温風がでる魔道具の使い方を教わったり、瓶に入ったフルーツ牛乳という飲み物に舌鼓を打ったりしながらわたくしの自室として割り当てられた部屋へと戻り、ベッドの上で横になる。
振り返ってみればこの一週間近くは怒涛の勢いで過ぎ去ったな…………と、今までの事を振り返った所でわたくしの記憶は途切れるのであった。
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