よわよわ魔王がレベチ勇者にロックオンされました~コマンド「にげる」はどこですか~

サノツキ

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#1:入学前夜~出会い

#1-余談2.わたしがいちばんのおひめさまでしょ?

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<ヒロイン視点>
────────────────────



 私、ヒイロ、16歳。
 入ることが激ムズだと有名なアカデミー『ロープレ学院』に入学することが決定しました。
 わーぱちぱち!!

 私の望みは唯一つ「玉の輿」!
 それはもう、物心ついたときから「大きくなったらお姫様になってお城に住むの~」が口癖だったほどに。

 田舎の貧乏男爵家に育った私は、平凡な両親からどうやって出来たのか謎なほど、それはそれは見目麗しく可愛らしく生まれ育ちました。
 ピンク色のゆるふわ髪に明るいオレンジ色のぱっちり大きな瞳、薔薇色の頬、ピンク色の口唇。
 これはもう紛うことなき美少女でしょ!!
 鏡を見るたびうっとりするわぁ~。

 でも、いくら美しく可愛らしく生まれたところで、所詮は田舎育ち。
 10歳を迎える頃には「大きくなったらお姫様になってお城に住むの~」なんて夢は、所詮夢物語に過ぎないと気付く。
 そこまで脳内お花畑のバカじゃない。
 このまま金も有力なコネもない貧乏貴族では、同じ地方の豪族か家格の釣り合う貴族家に嫁ぐしか道はない。

 そんなの、いーーーーやーーーーーー!!!!
 私は、この可愛らしく美しい見た目で、お金持ちでイケメンの旦那様をゲットして、幸せなを結婚するの!
 お姫様になってお城に住むの!
 夢は叶えるためにあるって誰かが言ってた。
 こんなド田舎おさらばするのよーーーー!!!

 ってことで、「賢い妻になるためにお勉強してくるから、お願い♪」と町一番の金持ちドラ息子を籠絡……じゃない、お願いしてアカデミーへ3年間通う学費も収めさせたし、こうして無事入学することとなった。
 私と離れることで散々泣かれたが、可愛い私が一生分のあはんでうふんなご奉仕してやったし、これでチャラでしょ。
 2度とあんな田舎なんかには帰るもんですか!

 ちなみに、入学試験は学院長?理事長?との面談で「君……合格♪」で決まった。
 ふふん、世の中ってちょろいのね♪
 やっぱり私の可愛さは世界共通なんだわ。

  ▶ ▶ ▶ ▶

 さて、いよいよ入学式がやってきたわ。
 私に相応しい王子様はどこかしら?
 こういうのは先手必勝、何事も情報が大事。
 早めに来て、離れたところからオペラグラスでやってくる新入生の様子を窺う。

 ふんふん、さすがアカデミーに通うだけあってそこそこ小洒落た風ね。
 田舎のガキどもとは大違いだわ。
 うーん、でもこれと言って私のお眼鏡にかなうほどの男はいないわね。
 さすがに早すぎたかしら、あまり人がいないわ。

 あら、あの人たちは……新入生じゃないわね。タイの色が違うもの。
 一人は、短髪の赤い髪に空色の瞳、背は高くがっしりと鍛え上げた筋肉がついた身体をしているわ。
 もう一人は、肩にかかるぐらいの銀髪で黄緑の瞳をした……男の人よね?とても綺麗な人。
 あら、もう一人、薄紫のくるくる巻き毛で、長めの前髪から覗く赤瞳と泣きぼくろが色っぽい人。
 先輩方かしら。揃いも揃ってイケメンね。

 もう一人……あとから来たのは、むむ、何だかオーラがすごいわ。
 それに、さらさらの金髪を耳の上で切りそろえ、髪と同じ金の睫毛に縁取られた綺麗な二重の切れ長の目、瞳はオーロラのように所々翠が入った深い蒼。
 薄い口唇にシャープな顎のライン、すっと通った高い鼻梁。
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 王子様よ、王子様がいたわ!
 まあああ、彼こそかんっぺきな私の王子様!
 彼に決めたわ、私の旦那様マイダーリン

 お相手ターゲットも見つかったことだし、私も入学式に行かなくちゃ。
 前を歩く……あ、あの子もなかなかいい感じね。
 今日見た新入生の中ではダントツだわ。
 薄い茶髪で薄い翠の瞳、背もそこそこ高くていいじゃない。
 王子様ダーリンほどじゃないけど。
 隣の女が邪魔ね、どういう関係かしら。

 少し離れて歩いていると、門のところで二人立ち止まってるわ。
 何してるのかしら、追い付いちゃうじゃない。邪魔なんだけど。
 ……と思ってたら女を残してさっさと行っちゃった。
 関係ないのかしらね、だったらどうでもいいわ。

 ふふん、どんな顔してるのかしら。
 後ろ姿はスラリと背が高くてなかなかのスタイルだけど。
 まあ超絶可愛い私には足元も及ばないでしょうけど……。

「おはようー」

 新入生同士だし、気軽な挨拶でいいよね。
 私は後ろから門のところで佇む黒髪の女に声をかけた。

「お……はようございます」

 急に声をかけたからか、びっくりしたように返事してくれたけど……。

 な……に?
 ウェーブの掛かった黒髪はしっかりお金と時間を掛けて手入れされたようなツヤツヤした輝きを放っていて、こちらを見る少し驚いてぱっちり開いた薄紫の神秘的な瞳は、バサバサと音を立てそうな長い睫毛に縁取られている。
 白く小さな顔にキュッと結ばれた紅い口唇。朱を刷いたように仄かに赤く染まった頬。
 後ろ姿を見て思ったとおり背が高くスラリと伸びた長い脚、リボンが結ばれた腰の位置は驚くほど上にあり、それでいて出るところも出ていてモデルばりの抜群のスタイル。
 背の低い自分の格好が、酷くちんちくりんに思えてくる。

 う…………。
 ダメだ、この人といると私は霞む。
 出来るだけ離れておかないと、私が食われてしまう。

 一瞬にして敗北を悟り、そう判断した私は、不審に思われない程度に笑顔を返し、とっととその場を離れることにした。
 そっと振り返ったら、彼女はまだ門のところで立っていて、私は追いつかれないように慌てて会場へ入り席へ着いた。

 はあーーーびっくりした。
 いくら国内外から貴族・平民の如何を問わず入学してくるアカデミーて言ったって、あのレベルの人がうじゃうじゃいたらどうしよう。
 田舎者の私なんか目立たないかもしれない……早くも存在意義を無くしそうになった。

「君、一人?隣、座ってもいい?」
「え?あ、うん、いいよー♪」

 鬱々と考えていると、横から明るい声で話しかけられ、反射的に笑顔を向けて応えてしまった。

「ありがとう、さっき見かけて可愛いなって思ってたんだ。よかったら友達になってくれない?」
「ふふ、ありがと。もちろんよ、よろしくね」

 頭の天辺から爪先まで舐めるように見てくる視線を感じながら、いかにもなれてないという仕草で挨拶を交わす。
 相手が私を見ている間、私も存分に相手を検分する。
 うん、この制服の仕立てはオーダーメイド、最高級品とは行かないけど。
 付けてるボタンやアクセサリーもまあまあね。
 はい、貴族決定、お友達認定ね♪

「あ、俺も隣いい?へへ、こんな可愛い子とお近付きになれてラッキーだな」
「ありがとー」
「じゃあ、俺後ろ。ホント、君可愛いよね」

 なんだ、大丈夫じゃない私。
 次から次へと話しかけられ、あっという間に私の周りの空席は埋まってしまった。
 それでも私に話しかけてくる男子は引きも切らない。
 ちらりとあの女を見れば、後ろの方の離れた席にぽつんと一人所在無げに座っていた。

 なるほど、あのレベルが特別なのであって、私はちゃんと可愛い。
 あの女がこの中から浮いていて、誰も近寄れないんだ。
 だったら、私のほうが勝ちじゃない?
 いくら高嶺の花だって枯れてしまったらおしまいだもんね。
 さあ、周りの男子たち、せいぜい私にお水を下さいな。
 私を可愛らしく咲かせてちょうだい♪

 ・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・

 入学式が無事終わり、教室へと来て自分の席を探すとなんとあの女の前の席だった。

「あ、朝も会ったね。私、ヒイロ。よろしくね」

 声をかけると、マッチ棒が乗りそうなほど長い睫毛から覗く紫の瞳と目が合い、一瞬平伏しそうになった。
 な、なんなのよ、その威圧感。
 負けちゃダメだと叱咤し、引きつりそうな笑顔を浮かべ手を差し出す。

「わたしはマリネッテ。よろしくおねがいします」

 女はレースの手袋をした手で柔らかく握り返して「マリネッテ」と名乗った。
 あれ、気のせい?
 それにしても、アカデミーでは名前しか名乗らないって変な感じ。
 おかげで「『インベスター』?どこの田舎者?」なんて笑われることなくていいわ。

 ここでは振る舞いが全て。
 田舎者なんて言わせないわ。

「マリナちゃんね、私のこともヒイロって呼んでね」

 敵は作らないに越したことはない。
 棲み分け大事、あくまで「友達」程度の付き合いを心がけ、彼女のテリトリーには近付かない。
 これが、この一瞬で判断を下した私とこの女との付き合い方だ。
 今までも、私のこの可愛らしさと処世術で上手くやってきたじゃない。
 正式なファーストネームじゃなくて愛称で呼んじゃえば、距離もぐっと縮まるんじゃない?

「あ、ここでも隣だね。奇遇だなあ」
「ホント?嬉しい♪」

 入学式でどっち側だか忘れたけど隣りに座ってた男子が、ここでも隣になったようだ。
 なんて名前だっけ、どうでもいいんだけど。
 何やらずっと話しかけてくるので、適当な相槌を打っておく。

 そう言えば、朝見かけた私の王子様マイダーリン……入学式でも壇上に上がり新入生歓迎の挨拶をされていた、何とアカデミーの生徒会長様だった。
 さすが、私が目を付けただけのことはある!

 お名前は、ユーリウス様。
 アカデミーの3年生。
 家名はわからないけど、あの雰囲気はきっと大貴族だと思うの。
 私の勘がそう言ってるわ。

 さて、どうやってお知り合いになって結婚まで漕ぎ着ければいいのかしら。
 3年生ということは残り1年しか在学しないわけだし……。
 私がユーリウス様との将来をつらつらと考えていると、いつの間にかオリエンテーションも終わり、解散となっていた。

 取り敢えずダメ元で3年生のフロアか、生徒会室の近くを通ってみようか。
 偶然を装ってお近付きになれる可能性を狙ってそう算段していると、前の方から何やらざわざわと聞こえだし、それがだんだんと近づいてくるのを感じた。

「ユーリウス様?」

 まだまだひよっ子の新入生とは比べるでもない、頭一つ出たあの背の高い金髪のお方は、私の王子様マイダーリンじゃないの。
 ユーリウス様は誰かを探すような素振りをした後、こちらに向かってゆっくりと歩いてくるところだった。

(もしかして、私の可愛らしさが目に留まって迎えに来てくださったとか!?)

 いつになくドキドキと胸を高鳴らせその動向を見守っていると、徐々に近付いてきて……あと少しで私のところ……を通り過ぎて、後ろのドアの前で立ち止まった。
 そこには、朝ちょっといいなと思った新入生───確か首席入学のマルセイラって言ったかしら───がいた。

 ユーリウス様はマルセイラに用があったみたいで何やら話している。
 周りの人集りが凄くてよく見えないんだけど!
 そこへ、ユーリウス様と同じく朝見かけた赤髪の人と銀髪の人もやってきた。
 ちょ、ちょっと通しなさいよ。私にも見せなさい、その素敵空間!
 身体が小さいことをいいことに、するりと人混みをかき分け、出来上がった素敵空間を間近で見る。

 なんで……なんであの女もその中にいるの。
 偶然なんかじゃない、意図してユーリウス様はマリネッテの手を掴んで、教室を出ようとしているところだった。
 そんな!その立ち位置は私のものよ!
 なぜユーリウス様はそんな女の隣に立ってるの?
 どうして私じゃないの?

 ユーリウス様を先頭にした完成されたそのきらびやかな集団に、周りの人集りも恐れ多くて近寄れない。

「さ、行こうか」

 低く甘く響くユーリウス様の声がして、きらびやかな一行は教室から姿を消した。
 残ったクラスメイトたちは、嵐が過ぎ去ったとばかりに静まり返っている。
 はっと我に返った私は、あとを追いかけようとして……思い留まった。
 何の策もなしに追いかけたところで、素気無く追い返されるのがオチだ。

「よかったらお昼でも一緒に……」
「あ、俺が誘おうと思ってたのに」

 静かだったのは思ったより短く、すぐに教室内は生徒たちの喧騒が戻ってきた。

「何言ってるんだ、俺のほうが先だろう」

(あんたたち、外野は黙ってて!)

 何か良い手は……何か……。
 王子様ダーリンを落とすのは思ったより難しそうだが、苦労する分手に入れる価値はある。
 私は彼を落とすための手立てを考えながら、数人の男子に囲まれて教室を出ようとした。

「……気を付けなさいよ」

 ドンッと突然衝撃を受け、通りすがりに誰かにぶつかられたのだと蹌踉めきながら気付く。
 隣に立っていた人に支えられて倒れることはなかったけれど、一体なんなのよもう。

 誰がぶつかったのかとそちらを見れば、一つ上の学年のリボンタイをした女が私のことを睨んでいた。

(あーヤダヤダ、またこの視線かー)

 見に覚えがないのに、私が可愛すぎるから「彼氏を取ったー」だの「誘惑したー」だの言いがかりをつけて嫌がらせされるのよね。
 入ったばかりだってのにそんなの日常茶飯事過ぎて今更よ。

「君、彼女にぶつかっておいてその態度はなんだ」

 そうそう、それそれ。
 せいぜい私の盾になってちょうだい。
 私は薄っすらと涙を浮かべて可愛く震えておくわ。

「…………」

 女は文句を言った男子のことをじっと見つめると、それ以上何も言わずスタスタと行ってしまった。
 長い茶色の髪で朱色の目の、取り立てて美人でもない平凡な女。

「庇ってくれてありがとう♪」

 私は男子の腕を取り上目遣いで可愛らしく見えるよう礼を言った。

「あ、ああ……」

 ん?反応悪くない?
 男子は何処かぼんやりとした目で去った女の方を見ていた。

「ねえってば!」
「あ、ああ!君に怪我がなくて良かった。ランチは何処へ行こうか」

 もう一度声を掛けるとぱっと嬉しそうにこっちを見たから、思った通りの反応に一安心する。



 一体さっきのは何だったのかしら。
 嫌な感じがするけど……気の所為よね。
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