よわよわ魔王がレベチ勇者にロックオンされました~コマンド「にげる」はどこですか~

サノツキ

文字の大きさ
28 / 78
#2:邂逅~それぞれの思い

#2-余談3.C3H5N3O9の重要性と、C6H12O6の正しい使用方法について

しおりを挟む
<ケンドール視点>
────────────────────



 私は……オレは、今でこそ「賢者」なんて大仰な存在であるが、もとはただのガキ大将だった。
 父さんは根っからの遊び人で、朝から飲んだくれて管を巻き、外に出れば喧嘩して帰ってくるダメ人間で。
 そんなダメ親父を支える母さんは、今は薬師として自宅で薬局を営んでいるが、元は教会の神官だったという。
 出会いも、怪我をして教会の前で倒れていた父さんを、母さんが治療した縁だったというのだから、オレが生まれたのはほんの些細で偶然の産物なのだろう。
 どうして働きもしないダメ親父と結婚したのかと聞いたら「あの人は、私がいないとダメなのよ」と言っていた。

 オレはダメ人間を支える献身的な母さんの背中を見て……育たず、どちらかと言うと父さん寄りで、薬草で腹下しを調合して飲ませたり、マズくて気絶する茶を作ったりして遊んでいた。
 不思議なことに、母さんはそんなオレを叱りもせず、自由にのびのびと育ててくれた。
 ただ、薬棚からくすねて何かを作ったときだけは、何をどうして何を作ってどうなったかは詳細に報告させられた。
 それが面倒で、次第に独自で野原や山から採ってきた物を加工して作るようになった。
 母さんの部屋にある沢山の本には、いろんな植物や鉱物の事が書かれていて面白く、採ってきたものが食べられるのか食べられないのか、薬なのか毒なのか、調べるのに便利だった。

 ・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・

 近くの孤児院は、専らオレの遊び場だった。
 大人たちはいつも忙しそうに働いているし、よく言うことを聞く子供たちもオレのいい遊び相手だった。
 甘い飴玉に見せかけて苦かったり辛かったりとんでもなくマズかったり色んな味のする飴を食べさせたり、最近じゃ、母さんの薬棚からくすねた黒い粉に混ぜものをして薄紙に包んで軽く火を付けるとパンっと大きく音のなる小さな爆弾───癇癪玉が小さい子らには大ウケだ。

 その日も、10個程用意しておいた癇癪玉を指先に灯した火で点火して大きな音を鳴らし、驚いた子どもたちがひっくりかえる様子にケラケラ笑っていた。

 誰かがこちらへ来る気配に、柱の陰に隠れタイミングを見計らって火を付けた癇癪玉を放り投げる。
 すぐにパンっと大きな音がして誰か……大きな人が倒れる……音?

 顔を出してそうっと覗けば、簡素だけど質の良い上等な服を着た貴族っぽい女性が倒れていた。
 そんな事故が起こって漸く、オレは誰が来るかを確認せずに癇癪玉を爆ぜさせることが危険だと知ることになる。
 自分が子供だからと、悪戯ぐらいで怒られるわけがないと、調子に乗っていた罰が当たったのだ。

「お母様?お母様、どうしたの!?」

 少し離れたところから女の子が走ってくる。

「お嬢様、どうされました?」
「わからないの、お母様が倒れていて」

 女の子の側にいた執事らしき人が女性に近付き、女の子は倒れている多分母親にすがりついている。
 やがて騒ぎを聞きつけた院長もやってきた。

「お母様、お母様大丈夫?院長様、ねえ治癒師は?」
「ここは孤児院ですので治癒師はおりません。手伝いの神官が簡単な治療魔法を扱える程度で……」
「お母様、お母様!ねえ苦しいの?どうしよう……」

 駆けつけた神官が治癒魔法を唱えるそばで、大きな瞳を潤ませながら女の子が必死に声を掛けている。
 オレは、自分がしでかしてしまったことにカタカタ震えながら、その様子を柱の陰に隠れて見ていた。

「ねえ、この匂い……近くで爆発でもあったのかしら?」

 おろおろしていた少女が、顔を上げくんくんと匂いを嗅ぐような仕草をする。
 これってさっきの癇癪玉の……火薬の匂いがまだかすかに漂っていた。
 ああ、これでオレがしたことがバレる。
 バレて叱られるだけならまだいい、あの貴族の女性がこのまま死んでしまったりしたら……。

「ああ、この匂いは……癇癪玉でも爆ぜたのでしょうな」
「かんしゃくだま?……それは火薬を使ったものなのかしら?」
「それは……私どもではわかりかねますが、恐らく」
「あの!それ作ったのオレで……」

 オレは、いよいよ隠れていることが我慢できなくなって姿を表す。
 叱られるのは覚悟の上だ。
 後始末はきちんと付けなければならない。

「そうなの!?ねえ、『かんしゃくだま』って火薬を使って出来るものではない?」

 いきなり出てきた俺に、その女の子は驚くでもなく癇癪玉の材料を聞いてきた。

「あ、ああ、そうだ」
「なら、お母様の薬になるかもしれないわ。お母様の心臓の薬は火薬で出来ているらしいの」

 ああ、それなら前に母さんから聞いたことがある。
 その時は、止まりかけの心臓でも火薬で驚いて再び動き出すのかと、漠然と思ったものだ。

「それなら多分母さんが……」
「あなたのお母様って何をされている方なの?」
「街の薬師で……前は神官をやってたって……」
「ドール、お母さんを呼んできなさい」

 オレと女の子のやり取りを黙って見ていた院長にそう言われ、俺は家へ向かって全速力で駆け出した。



「母さん!あの……なんてったっけ、爆弾にもなる心臓の薬。あれある?」
「あるけど……どうしたの?」
「そこの孤児院で人が倒れて……心臓が悪いって……オレ……知らなくって……」
「わかったわ、用意するから案内してちょうだい」

 はあはあと息を切らしながら帰ってきたオレの言わんとする事を察したのか、母さんは何も聞かず直ぐに支度を済ませ一緒に孤児院へと向かった。



 急いで孤児院へ戻ると、神官に治癒魔法をかけられている女性は、さっきまで青白かった顔色が紙のように白くなり、今にも死にそうに見える。
 母さんは断りを入れて女性に近付き、手を取って脈を見たり、胸元の音を聴いたりした。
 それから、家から持ってきた薬の薬包を開け、取り出した小さい塊を女性の口元に当てる。

「奥さま、これを舌の下に……そのまま……」

 母さんは女性に薬を含ませ、胸の上に手をかざし治癒魔法をかける。
 しばらくして、ほんのり頬に赤みがさし女性は意識を取り戻した。

「ああ、お母様!良かった!」
「ごめんなさいね、マリナ……。心配をかけて」
「さあ、お嬢様。奥さまの意識も戻られましたし、馬車の方へ」
「はい……」

 目を覚ました女性は、執事に抱きかかえられ、女の子とともに孤児院をあとにした。
 それから、女性を馬車に乗せた執事が戻ってきて、深々と母さんに頭を下げる。

「この度は奥さまが大変お世話になりました。お礼の方は後ほど届けさせていただきます」
「いえ……お大事になさって下さい」

 執事がそう告げ、では急ぎますので、とその貴族一行は馬車に乗って行ってしまった。
 その後オレは、結局誰にも何も言えず、母さんと一緒に家へと帰った。

 ・‥…‥・◇・‥…‥・◇・‥…‥・

「その節は母を助けていただいてありがとうございます」

 それから暫く、死神が鎌を持ってオレを殺しにくる夢を飽きるほど見、漸く追い掛けられる程度の内容に落ち着いた頃、彼女はあの日と同じ執事を連れて我が家へとやってきた。
 しがない長屋の端っこのウチに応接間なんて大層なものはなく、リビングの毛羽立ってスプリングの硬いソファに案内する。
 珍しく母さんが緊張しながらハーブティーを出し、一口飲むやいなや彼女はカップを置いて立ち上がって「マリネッテ・オージェ」と名乗り、貴族の子供なのにそう礼を言って丁寧に頭を下げた。

「あなたも、お母様を呼んできてくださってありがとう」

 それからオレにも。
 オレに礼なんて言わないでくれ。
 元はと言えば、お前の母親が死にそうになった原因はオレなんだ。

「もう少し処置が遅ければ手遅れだったと医師に言われました。本当にありがとう」

 彼女は少し涙目で笑いながらもう一度頭を下げる。
 「処置が遅かったら手遅れだった」と改めてそう言われ、オレは握った手が先から感覚がなくなり表情が凍りつく。
 オレが母さんを呼んでくるのが遅かったら、母さんの処置が手遅れだったら、あの人は死んでいた?
 オレが……もしかしたら殺していたかもしれない!?

「オレは……なにも……オレが……」

 感謝される謂れなんてない。
 お前のせいだと罵られ叱られる覚悟をすべきだ。
 決して忘れちゃいけない自分がしでかしてしまったことを思い出す。

 あれからオレは、孤児院には行かず、なんとなく母さんの手伝いのようなことをしていた。
 と言っても、山に入って薬草を取ってきたり、選別して乾燥させたり、擦り潰したりするだけの簡単な仕事だ。
 自然と見様見真似で薬の調合を覚えた。
 母さんはあの日のことを何も聞かない、言わない。
 言わなくちゃと思うのに、情けないオレは今の今までついぞ言い出すことが出来なかった。

「それでね、良ければウチの管轄の研究所の薬師として貴女を雇いたいのだけれど如何かしら」
「私がですか?」
「もちろん、住む所と支度金を用意するから、ここを引き払ってご家族で研究所に入ればいいわ。給金ははずむし好きな研究をしたっていいのよ」

 世間話をしていたはずの二人が、いつの間にか母さんをスカウトする話になっている。
 何の話がどうしてこうなったのか、突然の申し出に母が目を丸くする。
 そりゃそうだろう、相手は普通に生きていれば一生出会うことないような大貴族様だ。
 大貴族がどんなもんかわかんねえけど、大通りに停まった馬車のきらびやかさと大きさを見れば程度がわかる。

「大変ありがたいお申し出なのですが……」

 しかし、母さんはその破格の申し出を断った。

「私は今の生活に満足しております。この街で多くの人に助けられ、主人とこの子と3人で生きてきました。今度はその恩をお返ししていかねばと、薬師としてこの街の助けにならねばと思っております」

 今度は母さんが立ち上がり深々と頭を下げる様子に、彼女は眉尻を下げる。

「そう……残念だわ」
「その代わり、この子を」

 オレの手を引いて彼女の前に立たせる。

「この子を連れて行ってやってはくれませんか。今はまだ何も出来ませんが、きっと将来役に立つはずです」

 母さんは、どこから出したのか、オレが悪戯する度に欠かされた報告書レポートの綴を彼女に渡す。
 渡された紙の束をぺらぺらと捲りさっと読んだ彼女は、顎に手を当て少しの間目を瞑り、それから大きく頷いた。

「わかりました。わたしが責任を持って彼をお預かりします。安心してください」
「ありがとうございます」

 母さんはにっこりと笑って再び頭を下げた。
 ちょ、ちょっと待ってくれよ。
 なんでオレが?
 大貴族様の研究所に?

「ドール、遊びの時間は終わりよ。これからはしっかり勉強して人様のお役に立てるようになるのよ」
「えっ、いや、あの……オレ……」

 もしかしてこのままこの家を出ていく感じ?

「持っていくものも、当面の着替えだけあればいいでしょ」
「はい、こちらですべてご用意させていただきます」

 母さんの問いかけに、執事が胸に手を当て、お任せくださいと言わんばかりに頷いている。
 嘘でしょ。



 本当にその日そのまま、彼女らとは別の馬車に乗せられたオレは、3日3晩かかって研究所に辿り着いた。
 馬車に乗って数日は故郷を寂しく思うこともあったが、着いてからは目にするもの全てが物珍しく興味深く、嘗てないほどオレの心を踊らせた。

 そう言えば、マリネッテという名の彼女との別れ際にもらった飴玉を食べてみたら、死ぬほど激辛で火を吹くかというシロモノだった。
 あの日のオレのしでかしたことは、とうにバレてるんだと思い知った。
 バレた上で、オレを研究所へと送り生き方の道筋を示し、マズい飴玉一つで仕返しをされたんだ。
 ああ、もう。



 あの子マリネッテとは二度と会えないかもしれない。
 なんてったって大貴族のご令嬢だ。

 けど、もし会えたら。
 もう一度、あの薄紫の綺麗な瞳を見ることが出来たら。

 今度はちゃんと謝りたい。
 誠心誠意、心を込めて。
 感謝とともに。
 貴女のために、この身を捧ぐと、誓って。


 ◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆・‥…‥・◆


 二度と会えないと思っていた彼女と再会するのは、それから10年も先の話。

 研究の成果と自身の研鑽が認められ、治癒と攻撃両方を兼ね備えた名門ジャバリ家の養子に入ったオレが、家名に沿って名前も変え賢者として認められ、アカデミーへ入学して丸2年が過ぎて最終学年になった頃だった。

 思いを馳せるばかりで全く消息の掴めない彼女への想いを込めて、ご令嬢方の一助になればと最近始めた趣味と研究で育てているハーブを使った茶葉や化粧品は、流通する量は少ないながらも上質なものとしてそこそこ名が売れてきた。
 世間に出回るようになって彼女へ届くかどうか可能性は万に一つもないかもしれないが、間接的にでも関わることができれば御の字だ。
 
 そうして学院外の仕事で忙しくしている中で迎えた入学式の日、研究所からの束になった報告書を読みつつ、式次第を浚っていた時だった。
 ユーリとケントが何やら話しながら窓の外を見ていた視線の先、唐突に彼女は現れ一瞬で目を奪われる。



 きっと彼女はオレに、私に、気付くことはないだろう。
 名前も家名も変わった。
 見た目も雰囲気もあの頃に比べれば随分変わっただろう。
 そもそも、悪戯で母親を殺しそうになった忌々しいガキのことなんて忘れてしまいたいはず。

 それでも、もし、覚えていてくれたなら。
 いや、覚えてくれてなどいなくても、私は、貴女に今度はちゃんと謝りたい。
 誠心誠意、心を込めて。
 感謝とともに。
 貴女のために、この身を捧ぐと、誓うから。

 貴女の側に、私を、いさせて。



────────────────────
C3H5N3O9:ニトログリセリン(心臓病の薬として書いています)
C6H12O6:ブドウ糖(一般的な甘味料)
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

次期騎士団長の秘密を知ってしまったら、迫られ捕まってしまいました

Karamimi
恋愛
侯爵令嬢で貴族学院2年のルミナスは、元騎士団長だった父親を8歳の時に魔物討伐で亡くした。一家の大黒柱だった父を亡くしたことで、次期騎士団長と期待されていた兄は騎士団を辞め、12歳という若さで侯爵を継いだ。 そんな兄を支えていたルミナスは、ある日貴族学院3年、公爵令息カルロスの意外な姿を見てしまった。学院卒院後は騎士団長になる事も決まっているうえ、容姿端麗で勉学、武術も優れているまさに完璧公爵令息の彼とはあまりにも違う姿に、笑いが止まらない。 お兄様の夢だった騎士団長の座を奪ったと、一方的にカルロスを嫌っていたルミナスだが、さすがにこの秘密は墓場まで持って行こう。そう決めていたのだが、翌日カルロスに捕まり、鼻息荒く迫って来る姿にドン引きのルミナス。 挙句の果てに“ルミタン”だなんて呼ぶ始末。もうあの男に関わるのはやめよう、そう思っていたのに… 意地っ張りで素直になれない令嬢、ルミナスと、ちょっと気持ち悪いがルミナスを誰よりも愛している次期騎士団長、カルロスが幸せになるまでのお話しです。 よろしくお願いしますm(__)m

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。

あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。 宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。 対極のような二人は姉妹。母親の違う。 お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。 そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。 天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。 生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。 両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。 だが……。運命とは残酷である。 ルビアの元に死神から知らせが届く。 十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。 美しい愛しているルビア。 失いたくない。殺されてなるものか。 それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。 生まれてくる価値のない、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。 これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。

猫なので、もう働きません。

具なっしー
恋愛
不老不死が実現した日本。600歳まで社畜として働き続けた私、佐々木ひまり。 やっと安楽死できると思ったら――普通に苦しいし、目が覚めたら猫になっていた!? しかもここは女性が極端に少ない世界。 イケオジ貴族に拾われ、猫幼女として溺愛される日々が始まる。 「もう頑張らない」って決めたのに、また頑張っちゃう私……。 これは、社畜上がりの猫幼女が“だらだらしながら溺愛される”物語。 ※表紙はAI画像です

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜

具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」 居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。 幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。 そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。 しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。 そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。 盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。 ※表紙はAIです

幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない

ラム猫
恋愛
 幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。  その後、十年以上彼と再会することはなかった。  三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。  しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。  それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。 「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」 「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」 ※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。 ※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

処理中です...