不揃いの七勇者〜七人目の勇者は、かつて帝国を裏切った婚約者でした〜

水先 冬菜

文字の大きさ
6 / 19
人間嫌いの勇者

理不尽な現実

しおりを挟む
「あのクソ女神!!」

 俺は起きて早々、頭を抱えた。

 目を覚ますと、俺の身体に夢と同じ異変が起きていた。

 盛り過ぎだと思われるくらいの豊かな胸の膨らみから察するに、恐らくは俺の容姿も夢の通りなのだろう。

 あの駄女神の話を信じるなら、俺がクラウス王国に出向いて、魔王軍を撃退しない限り、このままなのだろう。

 また、面倒な事を…………。

 そう思って、色々と策を練ろうとして、ふと、気付いた。


「別にこのままでも良いんじゃねえ……?」

 容姿も大分変わったし、あの鬱陶しい《世界勇者評議会》の連中にも、付き纏われなくなるかもしれない。

 性別が変わった事により、色々と苦労すると思うが…………。

 今までの出来事に比べれば、

 寧ろ、これは好都合なのでは……?

「試してみるか…………」

------------------------------------------

「うん。これはこれでありだな…………」

 俺は試しとばかりに、女の姿でも似合いそうな男物の服装で町へ出てみた。

 今のところ、俺の事に気付いた者はいない。

 まあ、何人か、ナンパして来た奴らもいたが…………。

 そこは力ずくで排除しておいた。


 服の方は、ちょっと、、運良く手に入れた物だったが…………。

 売らずに残しておいて、正解だったようだ。

 特に、この防刃コートはそれなりに使える。

 魔法の動力源である魔力を流せば、所有者の身体にフィットするように、伸縮自在に変化する。

 その下に着込んだ戦闘防護服も、このコートの影響を受けて、同様の変化をもたらすので非常に便利だ。

 これなら、元の姿に戻った時、服装の心配をする必要もない。

 後は、あの駄女神の言い付けをボイコットして、元に戻して貰うのを待つだけだ。

 と思っていたら…………。

「《世界勇者評議会》です。申し訳ありませんが、あなたの身柄を拘束させて貰います」

「……………………」

 何か、いつもの面倒なあいつらに囲まれていた。

 しかも、何故かフル装備の証である黒い甲冑を着込んで…………。

「理由を聞かせて貰っても……?」

 顔を引きつらせつつ、出来るだけ、女性っぽく振る舞って尋ねてみると--------

「こちらにも守秘義務がありますので、申し訳ありませんが、お答えする事は出来かねます」

 淡々とした返答が返って来やがった。

 十中八九、あの駄女神の仕業だな…………。

「お答えして頂けないのでしたら、お断り致しますね」

 俺は自然な動作でコートの袖の内から、煙玉を地面に落とすと、周辺が煙幕に包まれたのを見計らって、その場から素早く脱出。

 とりあえず、手近な建物の屋上に登って、慌てふためくあいつらを隠れて眺めた。

 いい気味だ。

 しばらく、眺めた後、あいつらがいなくなったのを確認した俺は、コートのフードを深く被った。

 そして、路地から何食わぬ顔をして、あいつらと対峙した場所を堂々と歩いていく。

 こういう時、下手に隠れようとすると逆に目立ち易くなるからな…………。

 せっかく、美味しそうなリンゴも手に入った事だ--------

「動かないで…………」

 --------し…………?

 背後から聞き覚えのある声がする。

 感覚からして、背にナイフのような何かを突き付けているな…………。

「黙って私に付いて来て…………」

「ちなみに、お断りしたら……?」

「聞く必要があるの……?」

「……………………」

 やれやれだ。

 呆れてものが言えない。

 昨日、あれだけ痛め付けたのに、よく懲りない事で…………。


「なら--------」

「っ!?」

「これが答えよ…………」

 俺はで、誰かさんの背後を取ると、首筋にチョップを叩き込んで、その場を去った。

 その結果、騒ぎを聞き付けたあいつらが戻って来て、逃げ回る羽目になった。

 その様子を、遠くから見ていた者がいたとも知らず…………。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

どうやら俺は、魔王を倒した英雄の両親より強いらしい。~オリハルコンを斬ってくっつけたら試験無しで王立学園に入学、いろいろやらかすハメに

試運転中
ファンタジー
山を割るほどに剣を極めたおとん「ケン」と、ケガなど何でも治してしまうおかん「セイ」。 そんな二人に山で育てられた息子「ケイ」は、15歳の大人の仲間入りを機に、王都の学園へと入学する。 両親の素性すらも知らず、その血を受け継いだ自分が、どれほど常軌を逸しているかもわからず。 気心の知れた仲間と、困ったり楽しんだりする学園生活のはずが…… 主人公最強だけど、何かがおかしい!? ちょっぴり異色な異世界学園ファンタジー。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。

樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。 ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。 国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。 「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」

処理中です...