【下地版】ハズレ勇者の鬼畜スキル 〜ハズレだからと問答無用で追い出されたが、実は規格外の歴代最強勇者だった?〜

水先 冬菜

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脅威

好きにしろ

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「こいつも駄目だな…………」

 要塞の復旧作業の合間、自室で休息を取りながら、俺は次々と案をこの世界の用紙に書き込み、何度も、丸めて捨てるという行為を繰り返していた。

「今日も荒れているんですね?」

「あぁ…………?」

 不機嫌そうに背後を振り返ると、サンドイッチなどの軽い軽食をトレイに乗せた聖女様の姿があった。

 テーブルの上に置かれた簡易的な時計には、既に針が夕方の時刻を指し示していた。

 もうこんな時間だったのか。

「こちらをどうぞ」

 聖女様が俺の隣に立つと、テーブルの空いたスペースに食器などを丁寧に置いて、ティーカップに紅茶を注いで来る。

 ここ最近は、よく飯を食い損ねる俺に、聖女様が差し入れをして来る事が多くなった。

 その理由は、何となく、察せられるが-------------

「……………………」

「どうか致しましたか?」

 何でもないかのように、自然と尋ねて来る聖女を見て、何でもないと、ティーカップを手に取り、口に含む。

「…………ここの生活には、慣れたのか…………?」

 そして、俺はふと、思い付いた事を聖女に向けて、訊いてみた。

「はい。

 最初は不慣れな事も多くて、大変でしたが、今ではすっかり慣れました。

 ミハエルさんやシスターズの方々も良くしてくださいますので」

「…………そうか…………」

 受け答えは普通だ。

 不自然な点はない。

 だが、あんな話をされちゃ、警戒はしておかないといけない訳で-------------

「まぁ、それなら、良いんだが…………。

 実は少々、聞き捨てならない報告があってな…………」

「…………何でしょうか?」

 俺が胡乱な目で、聖女の方へと静かな殺気を向けると、一瞬だが、聖女の指先がピクリと動くのを、俺は見逃さなかった。

「聖女様-------------あんた、俺に何か、言う事はないか…………?」

 腰掛けていた椅子を回転させ、聖女の方へと向き直って、問い掛ける。

 その時の俺は、きっと真剣な面持ちで、聖女へと向き合っていたと思う。

 しばらく、聖女は何も言わず、無言で答えようとはしなかったが、観念したのか。

 大きなため息を吐いて、両の手を挙げた。

「やっぱり、バレちゃいましたか?」

 悪びれた様子もなく、イタズラが見つかった子供のように笑う聖女。

 やっぱり、こいつ、な…………。

「ちなみに、いつ気付かれたんですか?」

「つい最近だ。

 ミハエルの奴が、お前が聖戦の情報を探っている形跡がある、って話を聞いてな…………。

 可能性の一つとして、あんたの記憶が戻ったんじゃないかと軽く予測していただけだ。

 まぁ、少なからず、確証はあったが…………」

「……………………私をどうしますか?」

 聖女様が不安げに問い掛けて来る。

 これはまた、お約束なパターンだな。

 まぁ、俺の答えは一つだけたから関係はない。

「どうもしねぇよ…………。

 ここにいたいなら、好きなだけいろ。

 出て行きたいなら、出て行け。

 それだけだ」

「…………良いん…………ですか…………?」

 俺の返答に思わず、目を見開く聖女。

 その姿があまりにも、新鮮で笑えてしまった。

「良いも、悪いもねぇよ。

 少なくとも、今のなら、問題はないだろうしな…………」

 あん頃のあんたらは色んな意味でムカついたし。

「だから、情報を流すなり、探すなりするんなら、でどうにかしろ…………。

 そんだけだ。

 もう下がって良いぞ?」

 俺はサンドイッチを一つ取り、咀嚼しながら、作業に戻った。

 聖女様は何も言わず、そのまま、部屋の外へと出て行こうとしている。

「そうだ。

 こいつをやるよ!」

 俺が無造作に、聖女の方へとあるものを放り投げると、危なげなく聖女がそれを受け取った。

「…………これは?」

「今のあんたには、きっと必要になるもんだ。

 黙って受け取っておけ…………」

 俺はそれ以上、聖女を相手にしなかった。

 しばし、聖女が俺の背を眺めた後、静かに部屋を去って行く。

 まぁ、頑張れ。

 聖女様-------------

 
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