白雪の巫女〜捨てられた私が手にしたのは女の子になるだけの役に立たない魔導書だった〜

役立たずの魔導書

役立たずの魔導書

　魔導書--------それはダンジョン内で極稀ごくまれに発見される高度な魔法が記された意思を持つ希少価値の高いアイテムだ。

　契約出来れば、それこそドラゴンといった神話級の魔物を一撃で討伐する程の強大な魔法や聖剣・魔剣などの伝説級の武器を召喚する魔法が手に入る。

　その反面、《屑くず》と呼ばれる全く役に立たない上、他の魔法を使えなくする呪いの類たぐいもある。



　私はこれで助かる、と思い何とか魔導書と契約を結ぶ事が出来た。

　出来たのだが、私は内容を知って、絶望した。

　何故なら、外れも外れ、屑中の屑魔導書だったからだ。

　魔法の内容はこうだ。

　《男から女の子に変身する魔法》

　女の子に変身するだけって…………。

　しかも、呪いまでついていた。

　内容は--------

　《契約後、魔導書の魔法以外は発動と効果を全て無効化する》

　《契約後、この契約は例え契約者が死亡しても破棄はきする事は出来ない》

　というものだった。


　もう他の魔法は使えない…………。

　手放す事も出来ない…………。


「これから、どうしよう………」

　そんな事言っても誰も答えてくれる訳がない。

　最後の最後まで私は運がない。

　運が無さ過ぎて思わず笑った。

　笑いまくった。

　でも、体はまだ正直だ。

　背後の方から足音が聞こえて来て、咄嗟とっさに駆け出していた。

　駆け出して、そして------------トラップが発動した。