白雪の巫女〜捨てられた私が手にしたのは女の子になるだけの役に立たない魔導書だった〜

水先 冬菜

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役立たずの魔導書

暖かな手と……

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 トラップが発動し、床の底が抜けたかと思うと辺り一面が光に包まれた。

 そして、気がついたら、何処か真っ白な部屋のベッドの上で寝転がっていた。

「目が覚めましたか?」

 意識が朦朧もうろうとする中、声がする方へと顔を向ける。

 すると、そこにはニコニコと微笑む一人の女性がいました。

 大体二十歳前後の大人びた感じの女性で、よく絵本で見た司祭のような格好をしている。

 両手で持ったお盆の上には、包帯や薬草などが見て取れる。

 どうやら、私は彼女に助けて貰ったみたいだ。

 色々と聞きたい事はあったが、空腹で数時間ダンジョン内を彷徨さまよっていた私は話す体力すらない程、肉体的にも精神的にも弱り切っていた。

 それを察してか、彼女は私に近寄ると「大丈夫だよ」と優しく微笑み、私の頭を撫でてくれた。

 私はその手の温もりを感じながら、まぶたが徐々に重くなっていき、私の意識は途切れた。


------------------------------------------


 一方、その頃------------

「そんな…………」

 
  某貴族の屋敷にて、一人の男が膝から崩れ落ちた。

 男の名はカズハ・ローエンハイツ。

 アスハの実父にして、ローエンハイツ家の当主だ。

 あの《疫病神》をダンジョン内に置き去りにしてから数日経った日の翌日。

 が我が家に訪れられて、開口一番に「ローエンハイツ家を国家反逆の罪により、取り潰す」と宣言なされた。

 もちろん、ローエンハイツ家当主であるカズハは、最初は意を唱えていたが、話を聞いていく内に、みるみる顔の色が青くなり、そして、真っ白になった。

 何とか弁明して、猶予ゆうよを与えて頂けたが、あまりにも時間がない。

 カズハはすぐに執事を呼びつけると、ローエンハイツ家の兵と冒険者を雇い、ダンジョン内を捜索するように命じた。

 だが、死傷者を増やすばかりで、ことごとく失敗し、期日を過ぎてしまった。

 結果、ローエンハイツ家は取り潰され、当主とその家族は罪を問われ、地位と財産の全てを失い、失意の中王国軍に連行されていった。

 世界をへと導いた大罪人として------------
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