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序章/裏切られた勇者は…
7.勇者は全てを知りました。でも…
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「け、けっこん?」
「は、はい。第一王子もいらっしゃいます」
精神に会心の一撃を受けたジークは膝を付く。
「……まあ、もっ、元々、二人は婚約者だったわけだし、そうなるよなぁ」
必死に取り繕うジーク。
いくら裏切られた上に15年も月日が経過いるので、その可能性は確実といっていい位に予想していたジークだが、やはりショックなものはショックだった。
「しかし、リュートが国王か…てっきりセルフィが女王になって統治してると思ってた」
エクセリア皇国には皇女が二人…代々の統治者が他国と比べても『女王』が多い皇国では世継ぎ問題に皇子がいなくても何ら問題にならなかった。
そんなことより問題になったのは、第一皇女であった。
第一皇女・ギネヴィアは正真正銘残念な皇女であった。
政治や治国の才は、どう低く見積もってもエクセリア皇国史上3本の指に入り、本気を出せばエクセリア皇国を更なる発展へと導くといわれていたが、自身の膨大な潜在魔力を知った時から、黒・白・青全ての研究・実践に没頭し、それ以外の殆どは自身の造った質の良過ぎる『魔法の絨毯』でグースカ寝ている。
『皇女だから好きな事だけして、寝て暮らした~い』
という、駄目人間丸出しの台詞を公言している。
歴史に残るの才覚は、世界一のぐうたらによって廃棄処分されていた。
というわけで、王臣達の期待は第二皇女セルフィリスへと向かった。
エクセリア皇国次代の統治者は責任感が強く、皇族の誇りを持っている心技体を重ね揃えた白百合の姫騎士・第二王女セルフィリス……と、いうのはジークがエクセリア皇国に『勇者』としてやって来た頃から王臣達どころか民達の認識だった。
リュートも王族の血を引く侯爵家の人間だが、当時の情勢しか知らないジークに取っては、彼が国王になった事は驚いている。
「リュート王は頻繁に自国や他国の式典や交流に積極的に出ていますの。その度に『聖剣の光』を放っていますの」
「よっぽど鬱憤が溜まっていたのだろうな。まあ、『勇者』の座をぽっと出の山暮らしの庶民に奪われたのならさもあらん」
「(心の擬音:グササッ)はぅっ!」
ジークの精神に会心の一撃が襲う。
「そうですの~。ブレイブハートと言えば、四つある侯爵家の中でも『大公』って呼ばれてますのよ~。その家の者が『勇者』の座を奪割れた上、そのぽっと出の山暮らしの庶民と一緒に旅をして散々実力差と勇者としての『格』を見せられ続ければ、もう拷問ですの~」
「(心の擬音:ザシュッ)ぐはっ!」
「言ってしまえば、あのスカした剣士にとって、ジークちゃんの存在が『悪』だったのよね」
「(心の擬音:ズドンッ)ぐっ!」
三人の言葉の刃にジークは膝が床に付く。
「…だ、だって仕方ないじゃん。選ばれたから頑張らなきゃな~、って思ったから頑張っただけじゃん。確かにリュートとは何度か衝突したけど、泣いてる人を放っておくわけにもいかないじゃん」
メンタルの防御力が低いジークはそのままいじけてしまいそうになる。
「ま、まぁ元気そうだから二人はもういいや。特に悪政を敷いているって訳でもないんでしょ?」
「ん~、まあ、軍の規模が年々大きくなっているっていう、ちょっと不穏な所はあるっちゃあるけれど、比較的善政よ。農地や鉱山の開拓よる生産性の向上、貧民や難民への食糧・医療援助、画家や文筆家への援助による文化貢献、歴史建造物の修復もやってるしね。反対意見も出てるだろうけど、筋が通っていればやっぱ世界を救った勇者の命令は逆らいにくいわよね」
「ふむ…」
話を聞く限り、問題はなさそうだ。
「最後に…リッカは?」
実は仲間の中でジークが今一番心配していたのはリッカだった。
「おっ、やっぱり気になっちゃう?自分の腕を直接切り落とした人間のことは?」
ジークは真剣な表情と射貫くような眼でルクを見る。
「ああっ、僕の腕を切り落として、彼女は…」
双女王の身が震える。
ジークは弓聖の事を…
「赤ちゃんは無事産まれたのか?」
「そこは大丈夫よ。神技の弓手・弓聖リッカは故郷に帰る時、赤ん坊を二人連れて帰ってるわ」
「そうか、良かった。それだけが心配だった」
先程の表情をケロッと変えて、息を吐く。
双女王もつられて息を吐く。
「もう、ジーク様ったら。自分の腕の事よりそっちが心配ですの?」
「当たり前ですよ。いつ身体の一部どころか、命をを失う事をしていた僕より、赤ちゃんの無事の方が大事ですよ。しっかし、双子かぁ…」
ジークはしみじみと…
「僕を殺しかけた事より、あんなに自分の事を好いていたリッカを捨てるなんて、リュートにはいつかその件でグーパンだ」
「まったく…まあ、捨てられてたって事はないんじゃないかの」
クローディアがリッカの故郷『森の民』の現状を説明をし始める。
リッカが帰った後、エクセリア皇国からの援助は凄まじいモノで、今まで狩猟や薬草売りでギリギリの暮らしをしていた『森の民』は『集落』から『街』になった。
生きる伝説の勇者の仲間がいるので、彼女に一目会う為の観光産業により、街はウハウハ。
それに彼女個人が生活の為に開いた弓矢教室は、五百メットル先の猪の目を射抜く神技を身に付けたくて、エクセリア皇国どころか各国の名家の少年少女も留学してくるらしい。
「今でもリュート王は個人的に援助を止めていないな」
「……まあ、あいつも本気でリッカが好きでしたからね。ちょっとは罪悪感持ってたんでしょう。さて…どうしようか…」
ジークは仲間達の現状を確認でき、想いを馳せる。
全員それぞれの道を歩いている。
良くも悪くも、生きている。
もう自分は…
「さて、どうするのジークちゃん。生き返っちゃった貴方はこれからどうするのかしら?」
「そうじゃ、エレンシアに来い。そして新婚生活を送るのじゃ」
「そうです。取り合えず私達とイヴ姫を相手に爛れた生活を送りましょう」
途轍もなく天国のような提案をされているが、ジークは首を振り、
「それはもうしばらく先で…」
双女王の瞳が『ギンッ!』と鋭くなる。
「と、取りあえず、行方不明になっているギネヴィアが心配です。寝てばかりいた身体の重みが取れたら、探しに行こうかと!」
「…まあよい、まさか結納を受け取って逃げはせんじゃろから」
「今さら何人増えようと気にしませんの」
何故か自分が途轍もない好色漢になっていくような気がしているジークは頭の中でこれからの事を考える。
(取りあえず、ギネヴィアを探さなきゃ。僕のせいで酷い目に合っているなら助けないと。ギネヴィアを見つけたらどうしよう…セレスティア様とクローディア様のご厚意に甘えて二人に何かあったら…)
ジークの心が冷めていく。
(僕は…死んだ方がよかったんじゃないか…?)
―― ひらひら… ――
「ん…?」
ジークの前にひらひら、と何か落ちてくる。
地面に辿り着いたそれは手紙のようだ。
そして表面に書いてある文字を見て、全員目を疑った。
『ジーくんへ 貴方のギネヴィアより』
勇者は全てを知りました。でも…仲間から連絡が来るとは思いませんでした。
「は、はい。第一王子もいらっしゃいます」
精神に会心の一撃を受けたジークは膝を付く。
「……まあ、もっ、元々、二人は婚約者だったわけだし、そうなるよなぁ」
必死に取り繕うジーク。
いくら裏切られた上に15年も月日が経過いるので、その可能性は確実といっていい位に予想していたジークだが、やはりショックなものはショックだった。
「しかし、リュートが国王か…てっきりセルフィが女王になって統治してると思ってた」
エクセリア皇国には皇女が二人…代々の統治者が他国と比べても『女王』が多い皇国では世継ぎ問題に皇子がいなくても何ら問題にならなかった。
そんなことより問題になったのは、第一皇女であった。
第一皇女・ギネヴィアは正真正銘残念な皇女であった。
政治や治国の才は、どう低く見積もってもエクセリア皇国史上3本の指に入り、本気を出せばエクセリア皇国を更なる発展へと導くといわれていたが、自身の膨大な潜在魔力を知った時から、黒・白・青全ての研究・実践に没頭し、それ以外の殆どは自身の造った質の良過ぎる『魔法の絨毯』でグースカ寝ている。
『皇女だから好きな事だけして、寝て暮らした~い』
という、駄目人間丸出しの台詞を公言している。
歴史に残るの才覚は、世界一のぐうたらによって廃棄処分されていた。
というわけで、王臣達の期待は第二皇女セルフィリスへと向かった。
エクセリア皇国次代の統治者は責任感が強く、皇族の誇りを持っている心技体を重ね揃えた白百合の姫騎士・第二王女セルフィリス……と、いうのはジークがエクセリア皇国に『勇者』としてやって来た頃から王臣達どころか民達の認識だった。
リュートも王族の血を引く侯爵家の人間だが、当時の情勢しか知らないジークに取っては、彼が国王になった事は驚いている。
「リュート王は頻繁に自国や他国の式典や交流に積極的に出ていますの。その度に『聖剣の光』を放っていますの」
「よっぽど鬱憤が溜まっていたのだろうな。まあ、『勇者』の座をぽっと出の山暮らしの庶民に奪われたのならさもあらん」
「(心の擬音:グササッ)はぅっ!」
ジークの精神に会心の一撃が襲う。
「そうですの~。ブレイブハートと言えば、四つある侯爵家の中でも『大公』って呼ばれてますのよ~。その家の者が『勇者』の座を奪割れた上、そのぽっと出の山暮らしの庶民と一緒に旅をして散々実力差と勇者としての『格』を見せられ続ければ、もう拷問ですの~」
「(心の擬音:ザシュッ)ぐはっ!」
「言ってしまえば、あのスカした剣士にとって、ジークちゃんの存在が『悪』だったのよね」
「(心の擬音:ズドンッ)ぐっ!」
三人の言葉の刃にジークは膝が床に付く。
「…だ、だって仕方ないじゃん。選ばれたから頑張らなきゃな~、って思ったから頑張っただけじゃん。確かにリュートとは何度か衝突したけど、泣いてる人を放っておくわけにもいかないじゃん」
メンタルの防御力が低いジークはそのままいじけてしまいそうになる。
「ま、まぁ元気そうだから二人はもういいや。特に悪政を敷いているって訳でもないんでしょ?」
「ん~、まあ、軍の規模が年々大きくなっているっていう、ちょっと不穏な所はあるっちゃあるけれど、比較的善政よ。農地や鉱山の開拓よる生産性の向上、貧民や難民への食糧・医療援助、画家や文筆家への援助による文化貢献、歴史建造物の修復もやってるしね。反対意見も出てるだろうけど、筋が通っていればやっぱ世界を救った勇者の命令は逆らいにくいわよね」
「ふむ…」
話を聞く限り、問題はなさそうだ。
「最後に…リッカは?」
実は仲間の中でジークが今一番心配していたのはリッカだった。
「おっ、やっぱり気になっちゃう?自分の腕を直接切り落とした人間のことは?」
ジークは真剣な表情と射貫くような眼でルクを見る。
「ああっ、僕の腕を切り落として、彼女は…」
双女王の身が震える。
ジークは弓聖の事を…
「赤ちゃんは無事産まれたのか?」
「そこは大丈夫よ。神技の弓手・弓聖リッカは故郷に帰る時、赤ん坊を二人連れて帰ってるわ」
「そうか、良かった。それだけが心配だった」
先程の表情をケロッと変えて、息を吐く。
双女王もつられて息を吐く。
「もう、ジーク様ったら。自分の腕の事よりそっちが心配ですの?」
「当たり前ですよ。いつ身体の一部どころか、命をを失う事をしていた僕より、赤ちゃんの無事の方が大事ですよ。しっかし、双子かぁ…」
ジークはしみじみと…
「僕を殺しかけた事より、あんなに自分の事を好いていたリッカを捨てるなんて、リュートにはいつかその件でグーパンだ」
「まったく…まあ、捨てられてたって事はないんじゃないかの」
クローディアがリッカの故郷『森の民』の現状を説明をし始める。
リッカが帰った後、エクセリア皇国からの援助は凄まじいモノで、今まで狩猟や薬草売りでギリギリの暮らしをしていた『森の民』は『集落』から『街』になった。
生きる伝説の勇者の仲間がいるので、彼女に一目会う為の観光産業により、街はウハウハ。
それに彼女個人が生活の為に開いた弓矢教室は、五百メットル先の猪の目を射抜く神技を身に付けたくて、エクセリア皇国どころか各国の名家の少年少女も留学してくるらしい。
「今でもリュート王は個人的に援助を止めていないな」
「……まあ、あいつも本気でリッカが好きでしたからね。ちょっとは罪悪感持ってたんでしょう。さて…どうしようか…」
ジークは仲間達の現状を確認でき、想いを馳せる。
全員それぞれの道を歩いている。
良くも悪くも、生きている。
もう自分は…
「さて、どうするのジークちゃん。生き返っちゃった貴方はこれからどうするのかしら?」
「そうじゃ、エレンシアに来い。そして新婚生活を送るのじゃ」
「そうです。取り合えず私達とイヴ姫を相手に爛れた生活を送りましょう」
途轍もなく天国のような提案をされているが、ジークは首を振り、
「それはもうしばらく先で…」
双女王の瞳が『ギンッ!』と鋭くなる。
「と、取りあえず、行方不明になっているギネヴィアが心配です。寝てばかりいた身体の重みが取れたら、探しに行こうかと!」
「…まあよい、まさか結納を受け取って逃げはせんじゃろから」
「今さら何人増えようと気にしませんの」
何故か自分が途轍もない好色漢になっていくような気がしているジークは頭の中でこれからの事を考える。
(取りあえず、ギネヴィアを探さなきゃ。僕のせいで酷い目に合っているなら助けないと。ギネヴィアを見つけたらどうしよう…セレスティア様とクローディア様のご厚意に甘えて二人に何かあったら…)
ジークの心が冷めていく。
(僕は…死んだ方がよかったんじゃないか…?)
―― ひらひら… ――
「ん…?」
ジークの前にひらひら、と何か落ちてくる。
地面に辿り着いたそれは手紙のようだ。
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