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本編
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しおりを挟む結果から言うと、彼女と令息は極刑に処された。曲がりなりにも王族を害そうとしたのだから仕方のないことだけど。
彼女の家は筆頭貴族であったこと、父親はまともな忠臣だったので、降格の処置で済んだ。
俺が証拠をすべて提出する前に簡単に審議が決まってしまい、少し肩透かしを食らった気分だったが、父上が相当お冠だということが実感できた。
これなら、きっと俺が想定している流れになるはずだ。
「ーーさて、テオン」
審議が決まり、泣き喚く2人を衛兵が引き摺っていき、彼女の父親も辞した後。父上はそう切り出した。
「お前には、私が自ら選んだなどと偉そうなことを言って当てがった令嬢があのような者だったことを、まず謝罪しよう。だが、それでも根気強く令嬢と向き合い、義務も礼儀も果たしながら、今回の件に至っても解決に向かって対応していたことは、学園の生徒、教師も認めている。一つ、私の出来る範囲で願いを叶えよう。申してみよ」
ーーきた。
責任感の強い貴方なら、そう言ってくれると思っていました。
「陛下…ありがとうございます。では、
私は王太子の位の返還を願います」
ざわり、と空気が揺れた。
俺の、思っても見なかったのだろう願いに、その場にいる貴族はもちろん、父上さえ、動揺していた。
そしてその動揺に畳み掛けるように俺は言葉を続けた。
「今回の件を経て、私には王太子として、ひいてはいずれ国王になる器ではないと確信致しました。陛下は私の言動を良いように取ってくださいましたが、言い換えれば、ここまで大事になる前に収拾がつけられなかったことは私の力不足に他なりません。きっと、サディアならもっと上手くやったことでしょう。……ですので、願いを叶えてくださるのなら王太子位の返還を」
ーーダン!
机を叩きつけるような音に言葉を遮られ、口をつぐんだ。
ざわついていた室内もいつの間にか静まり返っている。
音の発生源ーー父上の握りしめられた手のひらに目を向けながら、背中に冷や汗をかいた。
…もしかして、怒った?
「このことは一度保留だ。私の一存では決められない。………テオン、あとで私の執務室に来るように。そこでもう一度、話をしよう」
「………はい」
感情を削ぎ落としたような父上の真顔を見ながら、この計画を思いついた時のことを思い出して、覚悟を決め直した。
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