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第六章 メンバーの喧嘩編
第17話‐3 ナルキッソスとエコー
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エコー曰く、たまたまナルキッソスの姿を見かけたのでつい後を追ってしまったのだそうだ。
エコーはナルキッソスにずっと片思いしている女の子だった。
ナルキッソスのことをずっと探していて、最近音楽活動をしていることをネット番組を見て知ったらしい。それで居ても立っても居られなくなったそうだ。
エコーは言った。
自分は神ではなく精霊だと。
この天界にいる宇宙種族は神だけでなく、人間型の精霊や天使などの種族も共存している。
エコーはとてもおしゃべりな女の子だった。1人でずっとしゃべり続けていて、口を挟む隙がないほどだった。
(この子、すごく明るい子だな)
ヒュアキントスはそう思った。
アドニスは人懐こい調子で彼女に話しかけた。
「エコーちゃん、喋るの好きなんだな」
「うん!喋るのも好きだけど、歌うのも得意なの♪」
エコーはそう言って1フレーズ歌った。
ナルキッソス以外の3人はそれを聴いて驚いた。
(すごい上手!)
(え?これプロ並みじゃん)
(へー)
3人が驚いているのを見て、エコーは得意げに笑った。
「「「そうだ!」」」
3人は同時に同じことを思いついた。
「ねえ、エコー!ちょっとこの曲のコーラス部分を歌ってみてくれるかな?」
ガニュメデスが言った。どうやら彼も同じことを考えていたようだ。
そう、それは彼らが悩んでいた新曲のコーラスだ。
エコーはその曲を聴いて、見事にコーラスをハモらせた。それもとても綺麗なハーモニーを奏でたのだ!
「エコーちゃんすげー!!」
「ほんと、ばっちりだよ!」
ナルキッソスだけは、その展開を見てどんどん顔が青ざめていった。
「ねえ、エコー。僕達の新曲のコーラスを担当してくれないかな?」
「マスターはいいって言うかな?」
「大丈夫じゃね?作詞作曲も任せるくらいだし」
自分以外のメンバーが勝手に決めているのを見て、ナルキッソスは焦ったように立ち上がった。
「おい、ちょっと待て。冗談じゃない。こいつは僕のストーカーだぞ」
ナルキッソスは抵抗を露わにしたが、メンバー達は・・・
「ナルキッソス。君はもうちょっと女の子への態度も改善した方がいいよ。この機会に治したらどうかなあ?」
ヒュアキントスの言葉に他の2人もうんうんと頷いた。
「はあ!?ふざけるなよ!」
「ナル、俺もそう思うぜ。お前、自意識過剰なとこあるからな」
「うん。彼女がコーラス担当をしてくれれば良い曲になるし、君だってその方が都合がいいだろ?」
結局言いくるめられてしまうナルキッソスだった。
エコーは自分が協力できるのがとても嬉しそうだった。
「よーし!僕達5人で頑張ろうー!!!」
「頑張ろうー」
エコーも同じ言葉を繰り返した。誰かの言葉を繰り返すのは彼女の癖だった。
「最悪………」
ナルキッソスはそう呟き、しゃがみこんでしまった。
アドニスとガニュメデスは、笑いたいのを必死で堪え、そんな様子にお互いに気付いて目配せし合った。
そして彼らはお互いに気付いたのだった。
(こういうところは、気が合うな)とーーー
第18話に続く・・・
エコーはナルキッソスにずっと片思いしている女の子だった。
ナルキッソスのことをずっと探していて、最近音楽活動をしていることをネット番組を見て知ったらしい。それで居ても立っても居られなくなったそうだ。
エコーは言った。
自分は神ではなく精霊だと。
この天界にいる宇宙種族は神だけでなく、人間型の精霊や天使などの種族も共存している。
エコーはとてもおしゃべりな女の子だった。1人でずっとしゃべり続けていて、口を挟む隙がないほどだった。
(この子、すごく明るい子だな)
ヒュアキントスはそう思った。
アドニスは人懐こい調子で彼女に話しかけた。
「エコーちゃん、喋るの好きなんだな」
「うん!喋るのも好きだけど、歌うのも得意なの♪」
エコーはそう言って1フレーズ歌った。
ナルキッソス以外の3人はそれを聴いて驚いた。
(すごい上手!)
(え?これプロ並みじゃん)
(へー)
3人が驚いているのを見て、エコーは得意げに笑った。
「「「そうだ!」」」
3人は同時に同じことを思いついた。
「ねえ、エコー!ちょっとこの曲のコーラス部分を歌ってみてくれるかな?」
ガニュメデスが言った。どうやら彼も同じことを考えていたようだ。
そう、それは彼らが悩んでいた新曲のコーラスだ。
エコーはその曲を聴いて、見事にコーラスをハモらせた。それもとても綺麗なハーモニーを奏でたのだ!
「エコーちゃんすげー!!」
「ほんと、ばっちりだよ!」
ナルキッソスだけは、その展開を見てどんどん顔が青ざめていった。
「ねえ、エコー。僕達の新曲のコーラスを担当してくれないかな?」
「マスターはいいって言うかな?」
「大丈夫じゃね?作詞作曲も任せるくらいだし」
自分以外のメンバーが勝手に決めているのを見て、ナルキッソスは焦ったように立ち上がった。
「おい、ちょっと待て。冗談じゃない。こいつは僕のストーカーだぞ」
ナルキッソスは抵抗を露わにしたが、メンバー達は・・・
「ナルキッソス。君はもうちょっと女の子への態度も改善した方がいいよ。この機会に治したらどうかなあ?」
ヒュアキントスの言葉に他の2人もうんうんと頷いた。
「はあ!?ふざけるなよ!」
「ナル、俺もそう思うぜ。お前、自意識過剰なとこあるからな」
「うん。彼女がコーラス担当をしてくれれば良い曲になるし、君だってその方が都合がいいだろ?」
結局言いくるめられてしまうナルキッソスだった。
エコーは自分が協力できるのがとても嬉しそうだった。
「よーし!僕達5人で頑張ろうー!!!」
「頑張ろうー」
エコーも同じ言葉を繰り返した。誰かの言葉を繰り返すのは彼女の癖だった。
「最悪………」
ナルキッソスはそう呟き、しゃがみこんでしまった。
アドニスとガニュメデスは、笑いたいのを必死で堪え、そんな様子にお互いに気付いて目配せし合った。
そして彼らはお互いに気付いたのだった。
(こういうところは、気が合うな)とーーー
第18話に続く・・・
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