天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第九章 アンチ編

第26話‐1 アンチ問題勃発

第26話「アンチ問題勃発」

ある日の昼下がり。

ガニュメデスは美しい庭園である神とお茶を飲んでいた。
相手は、シリウス最高神である主神ゼウスだった。

「音楽活動の方はどうだ？楽しいかね？」
お茶を飲みながら彼は尋ねた。
それに対してガニュメデスは答えた。


「ええ。上手くいかないこともありますが、それも楽しいものですね」
それを聞いてゼウスは微笑んだ。

「この頃のお前は少し変わったな。前より楽しそうだ。他の少年達はどうだね？お前から見て」
「そうですね、彼らはよくやってると思います。思っていたより面白い子達ですよ」


そう言って彼は笑みを浮かべた。彼は何か考えているようだったーーー。


***

同じ頃、ヒュアキントスは葛藤を感じたままだった。
アンチからの批判と、純粋に音楽がしたくてアイドル活動をしているわけではないことへの自己嫌悪に悩まされていたのだ…。

(だけど何としてもやめるわけにはいかない。頑張るしかないんだ。仲間やファンのためにも・・・)

そう自らを奮起させるのだったーーー。


***


一方アポロンはヒュアキントスのことを考えていた。

（あの時…さすがに厳しく言い過ぎただろうか？気にしてないだろうか…)

彼が傷ついてないか気がかりだった。そんな時、ふとある考えが頭に浮かんだ。


（そうだ！私が直接会って話をしよう！それに……彼に会いたい！）
そう思ったら、いてもたってもいられなかった。

すぐに行動に移すことにした。

***

今日は久しぶりのオフの日だったので、ヒュアキントスは広場に来て楽器の練習に励んでいた。

「あれ？あの子、あの美少年グループの子じゃない？すごい、本物だ！」
デビュー曲発売以降、彼らは有名になっていたので、騒がれることも増えていた。だが・・・。


「あいつら、卑怯だよなー。俺が好きなアーティスト、あいつらのせいでランク落ちてたんだぜ」
アンチから聞こえるように嫌味を言われてしまうこともあった。


それでも構わず彼は練習を続けていた。


「やあ、久しぶりだね！君って楽器もするの？」
ふと、聞き覚えがある声が聞こえた。その声の主は狡知の神ロキだった。

「ロキ様！お久しぶりです。アポロン様に楽器を弾けるようにと言われているので練習してるんです」
「ふーん、大変だね」

そう言って彼は隣に座った。