天界アイドル~ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら~

B-pro@神話創作してます

文字の大きさ
127 / 295
第十四章 恋愛禁止編

第40話‐2 許されない恋

しおりを挟む
「・・・はい、もしもし」

電話口から聞こえてきた声に、胸が高鳴った。久しぶりに聞くその声はどこか懐かしく感じられた。


「あ、あの、僕です、ヒュアキントスです」
「ヒュアキントス。君と話したかったんだ。嬉しいよ。せっかくだから、顔を見て話さないか?」
「……。ごめんなさい。会うことはできないんです」
「だったら映像を出して話そう」


天界の携帯端末は、ビデオ通話機能もあるが、立体映像装置を備えている。

まるで本人がそこにいるかのような立体映像を出して通話することもできるのだ。

ちなみに、マスターがいつも美少年達に姿を現す時も、この立体映像装置を使っている。

アポロンの提案により、2人はお互いの姿を映しながら会話をすることになった。


アポロンの姿が映し出され、ヒュアキントスは胸が高鳴った。

まるで本人が前にいるかのようだが、映像なのでもちろん触れることはできない。それでも十分だった。


「ところで急にどうしたんだい?何か話したいことがあるのかな?」
「ええ、実はそのことでお話ししたいことがあって・・・」

そう言うと、ヒュアキントスは少し緊張しながらも、勇気を振り絞って口を開いた。



「アポロンさま。実は・・・・・」
ヒュアキントスは今日の出来事をアポロンに打ち明けた。

自分達は恋愛禁止であり、もう2人で会うことは叶わないということもーー




だが、アポロンは驚くことはなかった。


「……そうか。実は、私も君達の事務所に赴き、エロスが君達に関与していることを知ったんだ。エロスは天界において最高位の神の1人でもあり、この天界の法典…『銀河法典』の編纂者の1人でもある。そして彼は愛の神としてトップでもあり、愛に関する法や掟を作る権限も持っている。それゆえに法律を司る神としても崇められているんだよ」
「そうなんですか……」

「そのエロスが恋愛禁止を制定したとなると、解除は難しいだろう。だが私は君を諦めたくはない」
「え・・・!」

まさかの言葉に、ヒュアキントスは目を見開いた。

「私の想いは今も変わらないよ。君のことが好きだ。君の笑顔を見ていると幸せな気持ちになるし、君が他の誰かと楽しそうにしていると嫉妬してしまうくらい好きなんだ」

それはヒュアキントスも同じだった。自分の想いを改めて伝えると、彼もこう答えた。

「僕も同じ気持ちです。本当はあなたとずっと一緒に居たいし、あなたの恋人になりたいんです。だけど……」
「2人で一緒に乗り越えよう。恋愛を禁止するなど、本来はおかしな話だ。愛し合う権利は誰にもあるんだ」
「・・・・・・・・・」

アポロンに打ち明けなくてはならない。

これまでずっと隠してきた、誰にも言えなかった自分の秘密をーーー

打ち明けてしまえば、嫌われるかもしれない。
拒絶されるかもしれない。

それでも、打ち明けなくてはならないのだ。彼を愛しているからこそ・・・


ヒュアキントスは意を決して告白したのだった。

1万3千年前まで地球にいたことも。
1万3千年の時を経て、シリウスで目を覚ましたことも。

そして今は神格を失っていることも。

決して許されない罪を犯したこともーーー


 41話へ続く・・・ 
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

パンツを拾わされた男の子の災難?

ミクリ21
恋愛
パンツを拾わされた男の子の話。

処理中です...