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第十七章 グループの分裂編
第47話-2 ヘルメスの誘惑
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「なるほど。君はやはりいいね、筋を通す所、魅力的だよ。ますます気に入った!だがね。あのグループはガニュメデスで成り立っているようなものだ。確かに皆多くのファンはついているが、ガニュメデスはその中でも絶大な人気を誇っている」
一旦、そこで言葉を区切り、彼はさらに続けた。
「君はこの前のライブで覚醒したように私には見えた。君は、端にいるだけではもう満足できないのではないか?」
「………っ!」
ナルキッソスは痛いところを突かれたと思った。自分でも薄々気付いていたのだ。
ミニライブでセンターに立つ体験をし、その快感を味わってしまったのだ。
それが忘れられずにいる自分がいたことも確かだったのだ。
もっと目立ちたい、スポットライトを浴びたいという気持ちが強くなっているのを自覚していたのだった。
「残念だがガニュメデスからセンターを奪取することは難しいだろうね。ねえ想像してみて?もし君がソロとして活動したら、観客の注目を君だけに集めることもできるんだ。君の歌声だけを聴いてもらえるんだよ」
それはとても甘美な誘惑だった。
まるで悪魔の囁きのように心に響いてきたのだ。
ヘルメスは、ナルキッソスの手を握り、そっと顔を近づけた。
そして耳元でこう囁いたのだ。
「君が欲しいもの、私が全て与えてあげるよ」
まるで彼らのデビュー曲の歌詞のような台詞を、ヘルメスは口にしたのだった。
その言葉に心が揺れたのを感じた。 その時ーーー
「!!!???」
ヘルメスはそっと、唇を重ねてきたのだ。
突然の出来事に驚いてしまい、反応できなかった。抵抗することも忘れて呆然としていた。
ナルキッソスは自分しか愛せない呪いにかけられているせいもあり、他の者に触れられることを特段嫌っていた。
だが、彼に唇を奪われたにも関わらず、不思議と嫌な気持ちにならなかった。
むしろ心地良さを感じていたくらいだった。
(あれ?なんでだろう・・・)
不思議な感覚に戸惑いながらも、なぜか抵抗する気が起きなかった。
やがて唇が離れると、今度は優しく抱きしめられたのだ。彼の温もりに包まれていると安心感を覚えてしまい、思わず身を委ねてしまった。
だが、ふと正気に戻り、慌てて突き放そうとしたのだがーーー
「大丈夫。怖がらないで・・・」
そう言いながら再び口付けてきたのである。
やがてゆっくりと唇が離れていくと、彼は妖艶な笑みを浮かべながらこう言った。
「返事は急がないさ。でも考えておいてくれると嬉しいかな♪」
そう言うと彼は何事もなかったかのように立ち上がり、部屋を出て行ったのだった。
1人残されたナルキッソスはしばらくの間放心状態だった。
そしてようやく我に帰ると頭を抱えながらその場に蹲ったのであった。
(一体何だったんだあれは・・・?)
自分のファーストキスを奪った相手に対し、なぜか嫌悪感はなかった。
(え…?僕は、僕だけしか愛せないはずだ。なのになぜ、僕以外の相手からキスされても嫌じゃないんだろう?まさかーーー)
第48話に続く・・・
一旦、そこで言葉を区切り、彼はさらに続けた。
「君はこの前のライブで覚醒したように私には見えた。君は、端にいるだけではもう満足できないのではないか?」
「………っ!」
ナルキッソスは痛いところを突かれたと思った。自分でも薄々気付いていたのだ。
ミニライブでセンターに立つ体験をし、その快感を味わってしまったのだ。
それが忘れられずにいる自分がいたことも確かだったのだ。
もっと目立ちたい、スポットライトを浴びたいという気持ちが強くなっているのを自覚していたのだった。
「残念だがガニュメデスからセンターを奪取することは難しいだろうね。ねえ想像してみて?もし君がソロとして活動したら、観客の注目を君だけに集めることもできるんだ。君の歌声だけを聴いてもらえるんだよ」
それはとても甘美な誘惑だった。
まるで悪魔の囁きのように心に響いてきたのだ。
ヘルメスは、ナルキッソスの手を握り、そっと顔を近づけた。
そして耳元でこう囁いたのだ。
「君が欲しいもの、私が全て与えてあげるよ」
まるで彼らのデビュー曲の歌詞のような台詞を、ヘルメスは口にしたのだった。
その言葉に心が揺れたのを感じた。 その時ーーー
「!!!???」
ヘルメスはそっと、唇を重ねてきたのだ。
突然の出来事に驚いてしまい、反応できなかった。抵抗することも忘れて呆然としていた。
ナルキッソスは自分しか愛せない呪いにかけられているせいもあり、他の者に触れられることを特段嫌っていた。
だが、彼に唇を奪われたにも関わらず、不思議と嫌な気持ちにならなかった。
むしろ心地良さを感じていたくらいだった。
(あれ?なんでだろう・・・)
不思議な感覚に戸惑いながらも、なぜか抵抗する気が起きなかった。
やがて唇が離れると、今度は優しく抱きしめられたのだ。彼の温もりに包まれていると安心感を覚えてしまい、思わず身を委ねてしまった。
だが、ふと正気に戻り、慌てて突き放そうとしたのだがーーー
「大丈夫。怖がらないで・・・」
そう言いながら再び口付けてきたのである。
やがてゆっくりと唇が離れていくと、彼は妖艶な笑みを浮かべながらこう言った。
「返事は急がないさ。でも考えておいてくれると嬉しいかな♪」
そう言うと彼は何事もなかったかのように立ち上がり、部屋を出て行ったのだった。
1人残されたナルキッソスはしばらくの間放心状態だった。
そしてようやく我に帰ると頭を抱えながらその場に蹲ったのであった。
(一体何だったんだあれは・・・?)
自分のファーストキスを奪った相手に対し、なぜか嫌悪感はなかった。
(え…?僕は、僕だけしか愛せないはずだ。なのになぜ、僕以外の相手からキスされても嫌じゃないんだろう?まさかーーー)
第48話に続く・・・
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