天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十章 ユニット組分け編

第60話‐2 知恵の神エンキ

あの電撃的な記者会見の翌日からーー
美少年達B-PROJECTにおいて、ユニット対決をするという話題がネットやTVで騒がれていた。

彼らの話題でもちきりになるほどだった。

ユニット分けが決まった後も、どちらが勝つのか予想合戦があちこちで行われていた。
そして、ファン達はその勝負の行方に注目していたのだ。

ヘルメスの目論見通り、話題性としては十分だったと言えるだろう。
シリウス全体でこの話題が沸騰していると言っても過言ではなかった。

それはまさに熱狂の渦と化していたのだ。

そんな動向は、高位の神々達の耳にも届いていた。

高位の神々は基本的に高尚なものを好むため、お祭り騒ぎのようなことはあまり好まず、今回の対戦についても特に関心を示すことはなかったのだが……。

だがこの時にはまだ誰も知らなかった。

高位の神々の様々な思惑や因縁、派閥などが入り乱れて複雑怪奇な展開を見せることを……。

それは今回の発端を作ったロキやヘルメスでさえ予測していなかったのである。

これから起こる波乱に満ちた物語をーーーー 


***

ロキはその日、彼の先輩にあたる神の元を訪れていた。

「久しぶりだね、ロキ。知恵の神会では会っているけどね」
そう言ってにこやかに笑う青年。

「君が相談だなんて珍しいね。知恵の神としても優秀な君なら、大抵のことは自己解決できるからね」

穏やかに微笑むその姿はどこか優しげで安心感を覚えるような風貌だ。

彼は知恵の神としてロキの先輩でもあり、知恵の神々のリーダー的存在でもある神、エンキであった。

地球でいうメソポタミア神話に登場する神でもある。

温厚で人当たりの良い性格をしており、誰からも慕われる人格者でもあった。

「エンキ、聞いてよ～！」
そんな彼の元に駆け寄ると、興奮気味に話し始めるロキ。


「……というわけなんだよー！！」
事情を聞いたエンキは少し困ったような顔をした後、苦笑しながら言った。