天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十五章 再スポンサー編

第79話‐2 鍛冶の神ヘパイストス

後日、ヒュアキントスはゼピュロスに紹介された男神の元を訪ねていた。
そこはある工房であった。

中へ入ると、そこには様々な工具や部品などが所狭しと並んでいた。

作業台の上には、作りかけの機械や発明品らしきものなどが置かれているのが見えた。


（ここが例の方がいる工房か……）
そう思いながらキョロキョロしていると、奥から声が聞こえてきた。

「ふん。男なんぞに用はないが…まあ、いい。さっさと用件を言え」
高圧的な物言いをする男の声だった。


（こ、怖そうな人だなあ）

そう思いながらも、ヒュアキントスは勇気を出して話しかけた。


「あ、あの！初めまして、僕はヒュアキントスと申します」

(こいつが例の美少年グループの連中の1人か。そしてこいつは確か処罰を保留されてる身の奴だったはず)

その工房にいる男神ーーオリンポス12神の1人である鍛冶の神ヘパイストスはじろじろとヒュアキントスを見つめた。

ヒュアキントスはその不躾な視線に耐えながら、なんとか本題を切り出すことに成功した。

「えっと、今日はあなたにお願いがあって来ました」
「ほう。何だ？」
「僕達の支援者になっていただけないでしょうか？」
「断る」

ヒュアキントスの言葉が終わる前に、ヘパイストスは即座に断った。
しかし、ヒュアキントスも簡単に引き下がるような者ではない。


「お願いします。どうか、ご検討いただけませんか？」

(噂に聞いていてもロクに見たことがなかったが、女より綺麗な顔をしてやがる。惜しいな、女であれば迷わず採用していたんだが……）
ヘパイストスは心の中で舌打ちをした。

「ほう。そこまで言うなら、ここで踊ってみろ」
「え！？ここでですか？」
「そうだ。俺が満足するダンスができたら考えてやろう」
「わかりました」

ヒュアキントスは少し戸惑ったものの、すぐに覚悟を決めた。

そして、踊り始めた。
彼の華麗なステップを踏むたびに、ふわりとの裾が舞う。

その様子はまるで天使のように美しかった。
だが、それだけではなかった。
時折見せる流し目も艶めかしい雰囲気を漂わせている。

さらに、その表情はどこか妖艶であり、見る者を魅了していくのだった。


(へえ…思ってたよりやるんだな。だが俺は、お前らを認める気などさらさらない…！)

「いい、もうやめろ」
ヘパイストスは素っ気なく言い放った。その言葉を聞いた途端、ヒュアキントスの表情が曇った。

「やっぱりダメでしたか……」
残念そうに肩を落とすヒュアキントスを、ヘパイストスは興味なさそうに見ていた。

だが、次の瞬間、思いがけない言葉が返ってきたことに驚くことになる。
それは意外な言葉だったからだ。

なんと、ヒュアキントスの口から出た言葉は意外なものだったのだ。

彼は少し恥じらいながらもこう続けたのだ。
その言葉を聞くや否や、ヘパイストスの表情は一変した。
その顔は驚きに満ちていたのだ。