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第二十五章 再スポンサー編
第80話‐2 ヘパイストスの思い
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翌日、仕事やレッスンが終わった後にヘパイストスの工房を訪ねた。
「こんにちはー!」
中に入ると、作業台の上に出来上がった作品が並んでいた。
「おう、来たか」
ヘパイストスは手を止めて顔を上げた。
彼の周りにある作品はどれも素晴らしい出来栄えだった。
(すごい……)
思わず見惚れてしまうほどだった。
「あの、ヘパイストス様」
「何だ?」
「昨日はありがとうございます。素敵なペンダントをいただいて…」
ヒュアキントスは改めて礼を伝えたが、ヘパイストスは鼻白んだ様子だった。
「あれはただの試作だ。石も本物ではないおもちゃのような物だしな…。ああ、そうだ」
ヘパイストスはあることを思いつき、こう言った。
「あんな物ではなく本物の宝石がついたペンダントをやろう。手伝いに来てもらってる礼だ。昨日の物など捨てるが良い」
(ふん。改めて礼を言ってるがどうせ建前だろう。高価な物に釣られるに決まってる)
本心で嬉しい訳ではなく、媚びているだけだとヘパイストスは不信感を持っていた。なので試すつもりでそう言ってみたのだ。
(どうせ喜ぶんだろうがな……)
しかし、ヒュアキントスの反応は予想外のものだった。
「いえ!とても嬉しかったので捨てませんし、これからも大事にします!!」
「……何!?」
まさか本当に捨てられないとは思わず、驚きのあまり固まってしまった。
「あんなのは偽物の安物だぞ。子供のおもちゃと変わらないような物だ」
「そうだとしても、ヘパイストス様が初めて僕にくださった記念の物です。それに、僕は気に入ってるんです」
(……。くそっ!どうせ、媚びてそう言ってるんだろ…)
ヘパイストスは思惑が外れて心の中で舌打ちをした。
だが、ヒュアキントスの表情は真剣そのもので嘘偽りのない言葉だとわかったため、これ以上は何も言えなかった。
「……そうかよ」
ヒュアキントスのまっすぐな瞳に見つめられると、なぜか気まずくなってしまい視線を逸らしたのだった。
***
そんな中、美少年達B-PROJECTのユニット対決に新たな動きがあった。
先日のライブイベント対決に続き、第二弾となる対決が決定され、その内容が発表されることとなった。
「こんにちはー!」
中に入ると、作業台の上に出来上がった作品が並んでいた。
「おう、来たか」
ヘパイストスは手を止めて顔を上げた。
彼の周りにある作品はどれも素晴らしい出来栄えだった。
(すごい……)
思わず見惚れてしまうほどだった。
「あの、ヘパイストス様」
「何だ?」
「昨日はありがとうございます。素敵なペンダントをいただいて…」
ヒュアキントスは改めて礼を伝えたが、ヘパイストスは鼻白んだ様子だった。
「あれはただの試作だ。石も本物ではないおもちゃのような物だしな…。ああ、そうだ」
ヘパイストスはあることを思いつき、こう言った。
「あんな物ではなく本物の宝石がついたペンダントをやろう。手伝いに来てもらってる礼だ。昨日の物など捨てるが良い」
(ふん。改めて礼を言ってるがどうせ建前だろう。高価な物に釣られるに決まってる)
本心で嬉しい訳ではなく、媚びているだけだとヘパイストスは不信感を持っていた。なので試すつもりでそう言ってみたのだ。
(どうせ喜ぶんだろうがな……)
しかし、ヒュアキントスの反応は予想外のものだった。
「いえ!とても嬉しかったので捨てませんし、これからも大事にします!!」
「……何!?」
まさか本当に捨てられないとは思わず、驚きのあまり固まってしまった。
「あんなのは偽物の安物だぞ。子供のおもちゃと変わらないような物だ」
「そうだとしても、ヘパイストス様が初めて僕にくださった記念の物です。それに、僕は気に入ってるんです」
(……。くそっ!どうせ、媚びてそう言ってるんだろ…)
ヘパイストスは思惑が外れて心の中で舌打ちをした。
だが、ヒュアキントスの表情は真剣そのもので嘘偽りのない言葉だとわかったため、これ以上は何も言えなかった。
「……そうかよ」
ヒュアキントスのまっすぐな瞳に見つめられると、なぜか気まずくなってしまい視線を逸らしたのだった。
***
そんな中、美少年達B-PROJECTのユニット対決に新たな動きがあった。
先日のライブイベント対決に続き、第二弾となる対決が決定され、その内容が発表されることとなった。
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