天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十六章 ユニット対決第二弾前編

第83話‐1 ペルセポネの思惑

第83話「ペルセポネの思惑」


突然、ヒュアキントスとナルキッソス組の元を訪れたペルセポネは、彼らの支援者に立候補した。

「私、あなた達のファンになっちゃったのよ」

そう言って微笑むペルセポネの姿は、とても可憐だった。

「本当ですか！？嬉しいなぁ……！」
ヒュアキントスは嬉しそうに顔を綻ばせる。

「よろしくお願いしますね！ペルセポネ様」
「ええ、こちらこそよろしくね」

ペルセポネは内心、こう思っていた。

(本当はアドニス君を応援したいけど……あの女(アフロディーテ)の思い通りにさせない！）

アフロディーテを妨害するために、ライバルであるヒュアキントス組の味方になることを決意したのである。

そんな女神同士の水面下の争いがあることに、ヒュアキントスとナルキッソスは何も気づいていなかった。

***


一方、アドニスとガニュメデス組は支援者であるアフロディーテと打ち合わせをしていた。
アドニスは、先日アレスから実情を聞いて心穏やかではなかったが、アフロディーテと会えることに関しては楽しみでもあった。

アドニスは彼女に恋心を抱いていたからだ。
そしてそれはアフロディーテも同様であった。

美の業界の頂点に君臨する彼女は、ステージ衣装を始めとして華やかなステージの演出のプロデュースも担当することになった。

さらに、衣装の制作には知恵の女神アテナも協力することになっていた。
アテナは服飾にも携わる神であるため、彼女のセンスに期待が寄せられていた。

彼らのプロデューサーである狡知の神ロキは様子を見守りながら、満足そうに頷いていた。

「うん、なかなかいい仕上がりじゃないか。これなら、観客の心を鷲掴みにするに違いないな！」

衣装のデザイン案を見ながらロキは上機嫌でそう言った。

「ふふ、当然でしょ？私が手掛けたのだから」
アフロディーテは自信満々にそう答える。

(ふふふ…オリンポス12神から2人も味方に引き入れることができるとはな……！）

ゼウスを味方に引き入れることはできなかったが、それでもかなりの戦力アップになったことは間違いないだろう。

(だが油断はできない。ヒュアキントス君は高位の神に一番気に入られるタイプだし、あの子は神たらしだからな。それにヘルメス君がこのまま黙っているとも思えない……）

ロキは警戒心を強めながらも、これからの作戦について考えていた。


そんな中ガニュメデスは、1人あることを回想していた。
それはゼウス、そしてアポロンと3人で話し合ったときのことだった。