天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十六章 ユニット対決第二弾前編

第83話‐3 ペルセポネの思惑

「私は、どちらにも肩入れするつもりはない。私は君達の監督役であり仲間となった。君達は今は対決を余儀なくされ、一時的に分離しているが一丸とならなくてはならない。あくまで私は中立の立場を貫かせてもらう」

その言葉を聞いたガニュメデスは安心したように頷いた。

アポロンはヒュアキントスと恋仲であり、恋愛禁止令がなければ恋人の間柄のはずだ。
心情としてはヒュアキントスを応援したいが、彼と美少年達は運命を賭けた戦いをエロスとしているのだ。
彼らを指導する監督として、個人的な感情で動くわけにはいかないのだろう。


「現状の審判はどうなんですか？」

ガニュメデスの質問に、アポロンは答える。

「13人中11人が君達を認め、更生に賛成することが条件だが、現状は9人が賛成派だ。残り4人は反対派となっている。あと2人だが、厄介な者ばかりが残っていてね……」
「ヘラも融通が利かないところがあるからのう……」

ゼウスの言葉に、アポロンは頷く。


「ヘラ様は立場を重んじる方ですからね…。そしてアレスはアフロディーテの愛人で、アドニスに対して対抗心を燃やしているようです。そして特に厄介なのが、ポセイドン殿、そしてエロス……」
「エロスは何を考えておるか、よくわからんからな……何か策を弄しておるかもしれんぞ……？」

ゼウスは顎に手を当てて考え込む仕草をした。


(13人中11人というのも、中途半端な数字だな……。もしかしたら、裏で糸を引いている者がいるのかもしれないな……）

ガニュメデスは冷静に状況を分析していた。

***

「そうか、オリンポス12神も動き出すことになったか。我々の目論見は上手くいきそうだな」
ある男神は、愛の神エロスにそう話しかけた。

「さすがは知恵の神だね」
エロスは妖艶な笑みを浮かべながら言った。

「知恵の神……そして」

エロスは目の前の男神を挑戦的な目で見つめる。
男は不敵な笑みを浮かべた。

「地球人を作った神の1人……アヌンナキの一人、エンキよ」
この男は、かつて地球にいた『アヌンナキ』と呼ばれる神々の1人、エンキだったーーー

第84話に続く・・・