天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十七章 ユニット対決第二弾後編

第86話‐1 激戦の行方

第86話　激戦の行方


ついに始まったユニット対決第二弾「クリエイティブ対決」

アドニスとガニュメデス組が先行をきり、審査員も高評価を出さざるを得ない完成度の高さを見せつけていた。

本人達の実力や魅力もさながら、ステージと演出効果の力も大きく、スポンサーの力も大きいと言えるだろう。
やはり元々コネクションに強かったガニュメデスが優勢なのは否めず、またオリンポス12神であるアフロディーテやアテナの支援を得たことは強力すぎるとも言えるだろう。


しかし、そんな強敵に対してもヒュアキントスとナルキッソスは怯むことなく立ち向かおうとしていた。


そんな2人は、アドニス組にも負けず劣らずの豪華なステージと演出を作り上げていた。

今回のテーマは、「神秘性」である。
舞台上には、様々な幻想的な風景が描かれた絵画や、不思議なオブジェなどが並べられており、それらの存在感を強調するような照明の当て方がなされていた。

観客たちはすっかりその神秘的な世界観に惹き込まれてしまっていた。
まるで別世界に迷い込んだかのような錯覚を覚えるほどである。

順調に進行していく中、ヒュアキントスとナルキッソスは大胆な行動に出た。
なんと突然服を脱ぎだしてしまったのだ！

会場からはどよめきの声が上がると同時に、一部で歓喜の声も多く聞こえてきたという。

（え……？ちょっと待ってくれ、ダメだヒュアキントス…！！）

ヒュアキントスと恋仲であるアポロンはパニック状態になりそうになった。
自分が愛する相手がこんな大勢の前で裸を晒すなど言語道断だと考えたからだ。

だがーーー

彼らは裸を晒したのではなかった。

そう、彼らの身体から現れたのは眩いばかりの美しさを持つ美少年の身体ではなく、無数の小さな花々だったのだ！ それらは次々と開花していき、見るものを圧倒する光景を作り出していく。

さらに、それらが全て光り輝く宝石へと変わっていく様は、もはやこの世のものとは思えないほどの荘厳さを感じさせたのである。

「わあ、魔法みたい…！」
「どんな仕掛け……？」
観客席からも驚きと感動が入り混じったような声が上がる。

これは彼らが開発したマジックショーであったのだ。

この演目は事前に打ち合わせをしており、あらかじめ準備を済ませておいたものである。
これにより、彼らがただの露出狂のような真似をしたわけではないことが証明されたわけだ。
こうしてなんとか事なきを得ることができたのだが、もし仮に失敗していたらと思うとゾッとするところだ。


彼らのステージを、一番の支援者と言って過言でない、オリンポス12神のヘパイストスが見守っていた。
そしてその隣にはプロデューサーであるヘルメス、そして支援者の1人ペルセポネがいた。

(さすがのステージの完成度だ…。何と言ってもあのヘパイストスが手掛けたのだからな…)

ヘルメスは心の中で感嘆の言葉を漏らしていた。