天界アイドル~ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら~

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第二十九章 最終章①ライブ開催編

第93話‐1 ライブ開催

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第93話「ライブ開催」

美少年達初の本格的ライブの開催が数日前に迫っていた頃。

アレスはヒュアキントスとアドニスのかつての罪をスキャンダルとして暴露しようとしていた。
そしてそれはいよいよ数時間前にまで迫っていたのである。


「おい、準備はいいんだろうな?」
「はい。記事も完成してますし、あとは時間になればアップする予定です」
「よし、それでいい」

アレスの指示を受けた部下らしき男は、パソコンを操作しながら返事をした。

「あの……本当に大丈夫なんでしょうか……?」
「何がだ?」
「いえ……何でもないです」

不安そうに尋ねる男を、アレスは睨み返した。

「アレス様。来客が来ています」
「誰だ?断れ」
「それが…ヘルメス様なんです」
「なんだと?」

さすがに無視をするわけにはいかず、仕方なく面会することにした。

「やあ、久しぶりだね」
「何の用だ」
「貴方こそ、ここで何をしているんだい?」

ヘルメスは相変わらず爽やかな笑顔で応対していたが、どこか威圧感を感じる声色をしていた。

「お前こそ何をしに来たんだ」
「アレス。わかっているんだろう?私がここに来た理由が」
「何だと?」

ヘルメスは普段とは違う鋭い目つきでアレスを見つめた。



「悪いが調べさせてもらったよ。貴方が不穏な動きをしているという情報が入ったんでね」
「!!」
「私は伝令の神だから伝手も多くてね。貴方の企みはすぐにわかったよ」
「……」
「まさかここまで愚かなことをするなんてね……」

ヘルメスの言葉に動揺したアレスは何も言い返せなかった。

「即刻中止してください。今ならまだ間に合う」
「何だと…!なぜお前の言うことを聞かなければならないのだ!」

アレスは逆上して怒鳴り散らした。

「これ以上勝手な真似をするとどうなるかわからないよ?……貴方にはもう後がないのだから」
「……くっ……!」

アレスにはもうどうすることもできなかった。

「さすがにやりすぎだ。このまま進めれば、我々の問題になる。秘密事項を勝手に漏洩したとなれば貴方の立場も危うくなるでしょう」
「……」

アレスは黙って俯いていた。
その様子を見て、ヘルメスは少し口調を和らげた。

「反省してくれればいいんだよ。私もそこまで鬼じゃないからね」

そう言って優しく微笑んだ。

「………済まない。お前の言う通りだ」
「いえ、いいんです」

(ナルキッソス君。君が気付いてくれたおかげだよ。そして私に頼ってくれてありがとう)
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