天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十九章 最終章①ライブ開催編

第93話‐2 ライブ開催

ヘルメスの機転により、最悪の事態を免れることができたのだった。

最後の追い込みをする美少年達だが数日はあっという間に過ぎ、いよいよライブ当日となった。

(ついに…これで、神格を取り戻せるか決まるんだ・・・)

ヒュアキントスはこれまでのことを思い浮かべ、感慨深げに思った。
いつの間にかアドニスが隣に来ていた。

「ここまで来たんだな」
「ああ……そうだね」
「正直言ってさ、最初は不安だったんだ。俺達なんかにできるのかってな」

アドニスは苦笑しながら言った。

「うん、僕もだよ。でも、僕達だけの力じゃきっと無理だった。ガニュメデスやナルキッソス。マスター、ヘルメス様やゼピュロス様、そしてアポロン様……。他にもたくさんの神々、それに応援してくれたファンのみんな。みんなの助けがあったからこそ成し遂げられたんだと思う」
「ああ、そうだな。助けや応援がないと無理だった」

自分達だけの力などではなく、多くの助けや応援があったから、ここまで来ることができたのだと2人は実感していた。

やがて、リハーサルが始まった。
舞台裏では大勢のスタッフが慌ただしく動いていた。

「皆さん、今日はよろしくお願いします！最高のパフォーマンスを披露しましょう！」
『はい！』

スタッフの一人が大きな声で呼びかけると、全員が一斉に返事をした。

***

開演時間が迫り、会場には続々とお客さんが集まり始めた。
満員御礼となり、熱気に包まれている。

「そろそろだね……」

緊張のあまり、心臓がバクバクしているのがわかるほど鼓動が激しくなっていた。

これまでの会場より遥かに大きいので尚更である。

「みんな。ここまで来たらとことん楽しもう！最後まで突っ走るぞー！」

ヒュアキントスの言葉によってメンバー達の士気が上がったのか、皆の表情からは自信が溢れていた。

「成長した僕達なら、絶対に大丈夫さ」

ガニュメデスはそう言ってウィンクをした。
そんな仕草すら絵になってしまうくらい彼は美しかった。

「やっぱりこの4人じゃないと決まらないな！」

アドニスも盛り上げるように言った。

ヒュアキントス達はお互いに顔を見合わせると頷き合った。
4人の結束力は以前より格段に強くなっているように感じられた。