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監禁前夜
一話・思い出の中にあるモノ①
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夢を見ているのだと気付いた。
木の葉が擦れ合う音、桜吹雪の舞踏。
見覚えのある景色の中でアイネは一人ぽつりと立っていた。
『アイネー! こっちこっちー!』
ふいに声が聞こえた。目の前の桜の木からだ。
見上げてみれば、幼い少年が木の上からこちらを呼んでいる。
夢中にあれど、アイネにはそれが誰なのか手に取るようにわかっていた。
だって、こんな風に自分を呼んでくれる人なんて一人しか居ないのだから。
『まって、メア!』
足元を何かが過ぎていった。
それは、彼と同じ年頃の少年だった。
まだ穢れを知らない瞳はくるりとまあるく、
育ちきっていない掌は柔くふっくらとした赤子の名残を残して、
その小さな手で木の幹を掴むと器用にするすると登っていく。
(……この後、先生にめちゃくちゃ怒られるんだよな。「桜の木は傷みやすいんだから!」って。……確か、本当に次の年から咲かなくなって、ショックでメアと二人で泣いたんだ……。それからは、桜ではもう木登りしないでいようって決めて他の遊びを探したっけ……)
思い出の中にある彼の印象は、いつでも優しく柔らかかった。
そよぐ風と桜並木と艶やかな烏の濡れ羽色。
春になると、必ずといっていいほど
幼稚園に植えられた木々に登っていたあの姿。
女の子顔負けな愛らしい容姿をしていながら、
誰よりもワンパク坊主で、
いつも先生たちを困らせていた彼。
そんな彼がアイネは好きだった。
そんな彼だから……
「そんな俺だから、汚したくなかったんだよね?」
「?!」
気が付くと世界は常闇の中だった。
されど、いまだ夢を見ていることだけは確かに理解できた。
これは夢だ。夢ではあるのだが……
「あ、やぁっ、やだ、ぁ、あぁぁっ…!」
後ろから、誰かに犯されている。
ベッドの上で、腰を高く持ち上げられて、
誰かのソレを呑み込まされている。
腹の中に感じる熱と腰を掴んで離さない力強く大きな手。
腰使いは乱暴だというのに、アイネの特に感じる部分は覚えたと言わんばかりに切先が何度も抉った。
否応なしに快楽を引っ張り出され、感じたくもないのに身体は震え高められる。
蜜壺からはとぷとぷと止めどなく蜜が溢れ、内股を伝い落ちていった。
肌を這う感覚はやけにリアルだ。
縋りついた枕の隙間から漏れる嬌声と軋むベッドの音が淫猥に混じり合う。
「でも、大丈夫だよ。アイネ」
「俺はもうずーっと一緒だから」
「これからはもう誰にも近付けさせない。触れさせない」
「アイネは何も心配いらないんだよ」
知っている、この言葉を。
最近、……いや、ほんの数時間前に聞いたような……。
――「大丈夫、俺がずっと愛してあげる」
その言葉にアイネはハッとした。
思いだした。思いだしてしまった。
今自身を抱いているのが誰なのかも、聞こえてくる声が誰のものかも。
そうだ、これは思い出と呼ぶにはまだ早い――
「やぁ、やだぁっ、やめ、やめてぇ…っ」
「あはは、だーめ。これはバツなんだから。でも、安心して。それは今日だけだから」
「んぅぅっ、や、あ、むりぃ、も、イケな、あ、あぁぁっ~~~~」
ガクン、身体が震えて内部が収縮する。
夢の中である筈なのに絶頂の余韻ははっきりとしていた。
チカチカ瞬いて、白んで、息が詰まって、ゾクゾクとキモチイイ。
実際イっているかのような感覚に呑み込まれる。
少し遅れてから小さく呻くような声があがる。
びゅくっと勢いよく迸り、
たっぷりと白濁が注ぎ込まれ胎を満たした。
「これからは俺がずっと一緒に居るからね」
「ぁ、ぁぁ……は、…もうやめ、……やめて、やだ、……メア…」
(……なんで? なんでなんだよ、メア……。……どうして、こんなことに……)
愛おしく大切だった筈の春の思い出は
生々しくて汚らわしい淫らな夢に犯された。
思い出の中の愛おしい濡れ羽色は
白色の欲望の中で溶けて跡形もなく消え去った。
木の葉が擦れ合う音、桜吹雪の舞踏。
見覚えのある景色の中でアイネは一人ぽつりと立っていた。
『アイネー! こっちこっちー!』
ふいに声が聞こえた。目の前の桜の木からだ。
見上げてみれば、幼い少年が木の上からこちらを呼んでいる。
夢中にあれど、アイネにはそれが誰なのか手に取るようにわかっていた。
だって、こんな風に自分を呼んでくれる人なんて一人しか居ないのだから。
『まって、メア!』
足元を何かが過ぎていった。
それは、彼と同じ年頃の少年だった。
まだ穢れを知らない瞳はくるりとまあるく、
育ちきっていない掌は柔くふっくらとした赤子の名残を残して、
その小さな手で木の幹を掴むと器用にするすると登っていく。
(……この後、先生にめちゃくちゃ怒られるんだよな。「桜の木は傷みやすいんだから!」って。……確か、本当に次の年から咲かなくなって、ショックでメアと二人で泣いたんだ……。それからは、桜ではもう木登りしないでいようって決めて他の遊びを探したっけ……)
思い出の中にある彼の印象は、いつでも優しく柔らかかった。
そよぐ風と桜並木と艶やかな烏の濡れ羽色。
春になると、必ずといっていいほど
幼稚園に植えられた木々に登っていたあの姿。
女の子顔負けな愛らしい容姿をしていながら、
誰よりもワンパク坊主で、
いつも先生たちを困らせていた彼。
そんな彼がアイネは好きだった。
そんな彼だから……
「そんな俺だから、汚したくなかったんだよね?」
「?!」
気が付くと世界は常闇の中だった。
されど、いまだ夢を見ていることだけは確かに理解できた。
これは夢だ。夢ではあるのだが……
「あ、やぁっ、やだ、ぁ、あぁぁっ…!」
後ろから、誰かに犯されている。
ベッドの上で、腰を高く持ち上げられて、
誰かのソレを呑み込まされている。
腹の中に感じる熱と腰を掴んで離さない力強く大きな手。
腰使いは乱暴だというのに、アイネの特に感じる部分は覚えたと言わんばかりに切先が何度も抉った。
否応なしに快楽を引っ張り出され、感じたくもないのに身体は震え高められる。
蜜壺からはとぷとぷと止めどなく蜜が溢れ、内股を伝い落ちていった。
肌を這う感覚はやけにリアルだ。
縋りついた枕の隙間から漏れる嬌声と軋むベッドの音が淫猥に混じり合う。
「でも、大丈夫だよ。アイネ」
「俺はもうずーっと一緒だから」
「これからはもう誰にも近付けさせない。触れさせない」
「アイネは何も心配いらないんだよ」
知っている、この言葉を。
最近、……いや、ほんの数時間前に聞いたような……。
――「大丈夫、俺がずっと愛してあげる」
その言葉にアイネはハッとした。
思いだした。思いだしてしまった。
今自身を抱いているのが誰なのかも、聞こえてくる声が誰のものかも。
そうだ、これは思い出と呼ぶにはまだ早い――
「やぁ、やだぁっ、やめ、やめてぇ…っ」
「あはは、だーめ。これはバツなんだから。でも、安心して。それは今日だけだから」
「んぅぅっ、や、あ、むりぃ、も、イケな、あ、あぁぁっ~~~~」
ガクン、身体が震えて内部が収縮する。
夢の中である筈なのに絶頂の余韻ははっきりとしていた。
チカチカ瞬いて、白んで、息が詰まって、ゾクゾクとキモチイイ。
実際イっているかのような感覚に呑み込まれる。
少し遅れてから小さく呻くような声があがる。
びゅくっと勢いよく迸り、
たっぷりと白濁が注ぎ込まれ胎を満たした。
「これからは俺がずっと一緒に居るからね」
「ぁ、ぁぁ……は、…もうやめ、……やめて、やだ、……メア…」
(……なんで? なんでなんだよ、メア……。……どうして、こんなことに……)
愛おしく大切だった筈の春の思い出は
生々しくて汚らわしい淫らな夢に犯された。
思い出の中の愛おしい濡れ羽色は
白色の欲望の中で溶けて跡形もなく消え去った。
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