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1章:冒険の終わりと物語の始まり
始まりの呪い
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クロウは一瞬目を見開いたが、すぐに平静さを取り繕うと
「呪い?何のことだよ」
とすっとぼけた。しかし、アリスは意に返さず
「おいおい、ここまで来てとぼけることはないんじゃないかい?私が君の素性を知っている時点でね」
といった。そういう彼女の翠色の瞳は不自然なほど透き通っていた。そしてクロウは不思議と彼女が嘘を言っていないではないかと思えた。その考えは彼自身バカな考えであるとわかっていた。しかしそれでも、彼女にならば話していいのではないかという気になった。クロウは、はぁとため息を吐くと
「どういうわけかお前はもうわかってるようだけど、俺は20数年前に魔王を倒した。その時に呪いをかけられたんだ。俺と仲良くした人間が死ぬ呪と不死の呪をな」
と話した。彼女はふむ・・と考えるそぶりを見せ
「・・・どうして、呪いがその2種類だとわかったんだい?」
と問いかけた。、クロウは一呼吸おくと覚悟を決め、あの時に起こったすべてのことを話した。話すほどにあの日を思い出し、額から冷や汗がにじみだしてきた。しかし、それでもクロウは最期の最後まで、そのすべてを語った。
「まぁそれを全部加味すると、さっき言った2つの呪をかけられた可能性が高いということが分かったんだ」
アリスはなるほどねとうなずいた。
「だから、もしこの呪いについて何か知っていることがあるなら教えてくれ。そして悪いが、明日になったら出て行ってくれ。一日程度じゃ別に呪いが発動することはないとは思うが、俺とはできるだけかかわらないほうがいい」
「ん?あぁそれなら心配ないさ。私が君の呪いにかかって死ぬことはないよ」
とアリスはこともなげに言った。
「おい、それはどういうことだ、何か知っているのか!?もしかしてもう俺への呪いはもう解けて・・」
とクロウは、かすかに希望がにじんだ声音で彼女ににじり寄った。
「いや、おそらく君にかけられた呪いは半永久的なものだろう。私が死なないといったいみは・・そうだな、まず呪いの詳細から教えるとしよう。そもそも人というのは皆、体の中に門の様なものがあるんだ。そして、相手に心を許しているとき、その門は開く。魔法の精神攻撃系の魔法の多くはこの門を無理やりあけることによりその効果を発動させる。それで君にかけられた呪いはだね、君側と相手方の門その両方が開いているときに発動するもので、すごくわかりやすく言うと相手から生気を吸い取ってしまう呪なんだ。まぁ厳密にいうと生気ではなく生命エネルギーっていうんだけれどね」
生命エネルギーとは何ぞやというのが顔に出ていたのか、アリスは続けて言った。
「生命エネルギーっていうのは簡単に言うと寿命の長さを決めるものさ。そのエネルギーは1分1秒を生きるごとに消費され、それが尽きた時その生物は死ぬ。その生命エネルギーを過剰に持っていると老いなかったり、人間離れした回復能力を持っていたりするんだ。」
「じゃ、じゃあまさか俺には不死の呪なんかはかけられていなくて、俺が死ねないのはあいつら――俺が死なせちまったみんなの生命エネルギーのせいだっていうのか?」
「おそらくそうだろうね。君の話だと君に呪いを二つもかけられるような時間はなかった。それに呪いは、その原理からほぼ同時に異なる種類の呪いを重ねがけ出来るようにはできていないんだよ。おや、よくわからないって顔をしているね。ええとだね、魔法っていうのは単に魔力を形に変えて放つものなんだけどね、呪いはそれとは違う。呪いを発動させるには3つの要素、つまり魔力・恨みなどの強い感情・生命エネルギーが必要なんだよ。魔力ならともかく感情を半分ずつにして2つの呪いに振り分けるっていうことができないのは人間の君にもわかるだろう。だからおそらく君にかけられた呪いはさっき私が言ったものである可能性が高いというわけさ。」
そこまで聞いて、今まで疑問だったことが解けた。本当に不老不死なら空腹になったりだとか排泄だとかする必要がないはずである。つまりクロウは治癒能力が異常に高い人間であるということである。しかし、そこで新たな疑問がクロウの頭に浮上してきた。
「ん?でも今の説明で、なんでお前が死なないってことになるんだ?」
「あぁ、この呪はほかの呪いと比べても特殊なものなんだ。普通の精神系の呪であれば門をこじ開けるような作用があるんだが、君にかけられた呪いには門をこじ開けるような作用はないんだ。自分対手の門が開いていたときのみ生命エネルギーの流入が起こる。」
「なんでこの呪だけ門を開ける力がないんだ?」
「あぁそれはだね、多分この呪がこの世界に初めて生まれた、不完全な呪いだからだよ。いまこの世界に広がる呪いの多くはこの呪を解析して造られた呪いなんだ。そして門をこじ開けるという効果は呪いを改良していく過程で生まれたものなんだ、だからこの呪いにはその作用はないんだよ。君にかけられた呪いは原初の呪いと呼ばれているよ。」
なるほど、とクロウは朧気ではあるが理解した。
「そして、この原初の呪は魔族間では使用されることはないんだ。なぜだかわかるかい?」
そんなこといきなり言われても全くわからないという表情でクロウはポカーンとしていると、アリスはあきれ顔で話し始めた。
「答えはだね、効かないんだよ魔族には。呪自体は発動しているのだけれど、他者の生命エネルギーを吸い取ることができないんだよ。その原因はだね、魔族にのみ存在する二つ目の門のせいなのさ。この門は何のために存在しているかいまだにわかっていないのだが、この門は魔法や相手に心を開いたからと言って開かないんだ。今のところ門を開けるすべは発見されていない。この門は魔族特有の臓器である怨器由来のものだ」
クロウはそんな臓器今まで生きてきたが一度も聞いたことがなかった。
「あぁ、君が知らないのも無理はない、これは人間には存在しない臓器だからね。怨器の主だった役割は魔力のコントロールをすることで、その門については研究しているものもほとんどいないしね」
「なんで研究している奴がいないんだ?その門を開けられる魔法ができれば相当役立つだろうに」
「あぁ、精神支配系の魔法はその門を開ける必要がないんだ。ヒトにもある方の門さえ開ければ精神支配はできるからね。ただ、生命エネルギーを引っ張り出そうとするとその門を開けないといけないんだ。魔族のその門は決してあくことがない、だから魔族にはその呪いの影響はないんだ。」
「おい・・・まてよ、今の話が本当の話だとすると」
「あぁ、私は魔族だよ。だから君の呪では死なないんだよ」
クロウはアリスの澄んだ翠色の瞳を数秒見ると、軽く息をつき、そうかといった。
「・・・よかった、君が私を魔族だと知ったら戦闘になるかと思ってひやひやしたよ」
そう言ってアリスは少し笑った。
「…まぁ確かに最初は警戒はしたけど、どうやらお前は別に悪い奴じゃあなさそうだしな。魔人って言っても悪い奴ばっかりってわけじゃあないんだな」
「君は何を当たり前のことを言っているんだい。人間だって悪人もいれば善人もいるだろう?それと同じだよ、種族だけでその性質がすべて決まるわけじゃないんだ」
クロウは今まで、魔人を敵としか認識していなかったが、その話を聞いてそんな当たり前の事実に今更に気が付いた。
「確かにその通りだな、俺の国じゃあ魔族は敵だって教えられるからそんなこと考えもしなかったよ・・・。話を戻すけど、俺に不死の呪いがかかってないとするとその生命エネルギーってやつが尽きるまで死に続けると、最終的に俺は死ねるってことか?」
そう聞くと、アリスは眉をひそめて
「そうなるが、まさか君死ぬまで死に続けるつもりじゃないだろうね?」
となぜだか少し不安そうに、そう聞いてきた。クロウはふっと笑って、かぶりを振った。
「いや、この俺が今も生きている命がみんなの命が合わさってできたものだっていうなら、そんな命を無駄にするわけにはいかないだろ。この命の使い道っていうのを考えていくさ。あ、あと一つだけ聞いてよいか?俺にかけられた呪いは解くことができるのか?もし解けるなら俺の中の生命エネルギーを使って死んだ人間を生き返らせることはできないのか?」
「残念ながら無理だね。呪術は発動するのに様々な条件がいるのがネックだが、発動したらそれを無効化するのはほぼ不可能だ。さらに、人を生き返らせることは今の魔術では不可能だよ。」
なんとなく分かってはいたが、面と向かって不可能と言われると落胆を隠せなかった。
「・・まぁしょうがねーさ。いつの日か死ねる日が来るってわかっただけでも十分ありがたいさ」
部屋に気まずい沈黙が訪れる。クロウははいたたまれなくなりアリスに
「今日はもう遅いし疲れただろ、とりあえず寝ようぜ」
アリスは部屋を見回し
「寝るって見たところわらのベッドが一つしかないが」
「あぁ、俺は別に床でも寝れるから大丈夫だ」
そう言ってクロウは床に寝転がった。
「いや、君は一応家主だろう。私が床に寝るよ」
「余計な気使わなくて大丈夫だ、疲れてんだろ」
そう言って俺はアリスが反論するのを無視しランプに灯った明かりを消した。アリスもしばらくはうるさくわめいていたが、あきらめたのかわらのベッドに入った。暗闇の中、クロウは自分の心臓に手を当てた。心臓はクロウを勇気づけるようにとても力強く拍動していた。
「呪い?何のことだよ」
とすっとぼけた。しかし、アリスは意に返さず
「おいおい、ここまで来てとぼけることはないんじゃないかい?私が君の素性を知っている時点でね」
といった。そういう彼女の翠色の瞳は不自然なほど透き通っていた。そしてクロウは不思議と彼女が嘘を言っていないではないかと思えた。その考えは彼自身バカな考えであるとわかっていた。しかしそれでも、彼女にならば話していいのではないかという気になった。クロウは、はぁとため息を吐くと
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「・・・どうして、呪いがその2種類だとわかったんだい?」
と問いかけた。、クロウは一呼吸おくと覚悟を決め、あの時に起こったすべてのことを話した。話すほどにあの日を思い出し、額から冷や汗がにじみだしてきた。しかし、それでもクロウは最期の最後まで、そのすべてを語った。
「まぁそれを全部加味すると、さっき言った2つの呪をかけられた可能性が高いということが分かったんだ」
アリスはなるほどねとうなずいた。
「だから、もしこの呪いについて何か知っていることがあるなら教えてくれ。そして悪いが、明日になったら出て行ってくれ。一日程度じゃ別に呪いが発動することはないとは思うが、俺とはできるだけかかわらないほうがいい」
「ん?あぁそれなら心配ないさ。私が君の呪いにかかって死ぬことはないよ」
とアリスはこともなげに言った。
「おい、それはどういうことだ、何か知っているのか!?もしかしてもう俺への呪いはもう解けて・・」
とクロウは、かすかに希望がにじんだ声音で彼女ににじり寄った。
「いや、おそらく君にかけられた呪いは半永久的なものだろう。私が死なないといったいみは・・そうだな、まず呪いの詳細から教えるとしよう。そもそも人というのは皆、体の中に門の様なものがあるんだ。そして、相手に心を許しているとき、その門は開く。魔法の精神攻撃系の魔法の多くはこの門を無理やりあけることによりその効果を発動させる。それで君にかけられた呪いはだね、君側と相手方の門その両方が開いているときに発動するもので、すごくわかりやすく言うと相手から生気を吸い取ってしまう呪なんだ。まぁ厳密にいうと生気ではなく生命エネルギーっていうんだけれどね」
生命エネルギーとは何ぞやというのが顔に出ていたのか、アリスは続けて言った。
「生命エネルギーっていうのは簡単に言うと寿命の長さを決めるものさ。そのエネルギーは1分1秒を生きるごとに消費され、それが尽きた時その生物は死ぬ。その生命エネルギーを過剰に持っていると老いなかったり、人間離れした回復能力を持っていたりするんだ。」
「じゃ、じゃあまさか俺には不死の呪なんかはかけられていなくて、俺が死ねないのはあいつら――俺が死なせちまったみんなの生命エネルギーのせいだっていうのか?」
「おそらくそうだろうね。君の話だと君に呪いを二つもかけられるような時間はなかった。それに呪いは、その原理からほぼ同時に異なる種類の呪いを重ねがけ出来るようにはできていないんだよ。おや、よくわからないって顔をしているね。ええとだね、魔法っていうのは単に魔力を形に変えて放つものなんだけどね、呪いはそれとは違う。呪いを発動させるには3つの要素、つまり魔力・恨みなどの強い感情・生命エネルギーが必要なんだよ。魔力ならともかく感情を半分ずつにして2つの呪いに振り分けるっていうことができないのは人間の君にもわかるだろう。だからおそらく君にかけられた呪いはさっき私が言ったものである可能性が高いというわけさ。」
そこまで聞いて、今まで疑問だったことが解けた。本当に不老不死なら空腹になったりだとか排泄だとかする必要がないはずである。つまりクロウは治癒能力が異常に高い人間であるということである。しかし、そこで新たな疑問がクロウの頭に浮上してきた。
「ん?でも今の説明で、なんでお前が死なないってことになるんだ?」
「あぁ、この呪はほかの呪いと比べても特殊なものなんだ。普通の精神系の呪であれば門をこじ開けるような作用があるんだが、君にかけられた呪いには門をこじ開けるような作用はないんだ。自分対手の門が開いていたときのみ生命エネルギーの流入が起こる。」
「なんでこの呪だけ門を開ける力がないんだ?」
「あぁそれはだね、多分この呪がこの世界に初めて生まれた、不完全な呪いだからだよ。いまこの世界に広がる呪いの多くはこの呪を解析して造られた呪いなんだ。そして門をこじ開けるという効果は呪いを改良していく過程で生まれたものなんだ、だからこの呪いにはその作用はないんだよ。君にかけられた呪いは原初の呪いと呼ばれているよ。」
なるほど、とクロウは朧気ではあるが理解した。
「そして、この原初の呪は魔族間では使用されることはないんだ。なぜだかわかるかい?」
そんなこといきなり言われても全くわからないという表情でクロウはポカーンとしていると、アリスはあきれ顔で話し始めた。
「答えはだね、効かないんだよ魔族には。呪自体は発動しているのだけれど、他者の生命エネルギーを吸い取ることができないんだよ。その原因はだね、魔族にのみ存在する二つ目の門のせいなのさ。この門は何のために存在しているかいまだにわかっていないのだが、この門は魔法や相手に心を開いたからと言って開かないんだ。今のところ門を開けるすべは発見されていない。この門は魔族特有の臓器である怨器由来のものだ」
クロウはそんな臓器今まで生きてきたが一度も聞いたことがなかった。
「あぁ、君が知らないのも無理はない、これは人間には存在しない臓器だからね。怨器の主だった役割は魔力のコントロールをすることで、その門については研究しているものもほとんどいないしね」
「なんで研究している奴がいないんだ?その門を開けられる魔法ができれば相当役立つだろうに」
「あぁ、精神支配系の魔法はその門を開ける必要がないんだ。ヒトにもある方の門さえ開ければ精神支配はできるからね。ただ、生命エネルギーを引っ張り出そうとするとその門を開けないといけないんだ。魔族のその門は決してあくことがない、だから魔族にはその呪いの影響はないんだ。」
「おい・・・まてよ、今の話が本当の話だとすると」
「あぁ、私は魔族だよ。だから君の呪では死なないんだよ」
クロウはアリスの澄んだ翠色の瞳を数秒見ると、軽く息をつき、そうかといった。
「・・・よかった、君が私を魔族だと知ったら戦闘になるかと思ってひやひやしたよ」
そう言ってアリスは少し笑った。
「…まぁ確かに最初は警戒はしたけど、どうやらお前は別に悪い奴じゃあなさそうだしな。魔人って言っても悪い奴ばっかりってわけじゃあないんだな」
「君は何を当たり前のことを言っているんだい。人間だって悪人もいれば善人もいるだろう?それと同じだよ、種族だけでその性質がすべて決まるわけじゃないんだ」
クロウは今まで、魔人を敵としか認識していなかったが、その話を聞いてそんな当たり前の事実に今更に気が付いた。
「確かにその通りだな、俺の国じゃあ魔族は敵だって教えられるからそんなこと考えもしなかったよ・・・。話を戻すけど、俺に不死の呪いがかかってないとするとその生命エネルギーってやつが尽きるまで死に続けると、最終的に俺は死ねるってことか?」
そう聞くと、アリスは眉をひそめて
「そうなるが、まさか君死ぬまで死に続けるつもりじゃないだろうね?」
となぜだか少し不安そうに、そう聞いてきた。クロウはふっと笑って、かぶりを振った。
「いや、この俺が今も生きている命がみんなの命が合わさってできたものだっていうなら、そんな命を無駄にするわけにはいかないだろ。この命の使い道っていうのを考えていくさ。あ、あと一つだけ聞いてよいか?俺にかけられた呪いは解くことができるのか?もし解けるなら俺の中の生命エネルギーを使って死んだ人間を生き返らせることはできないのか?」
「残念ながら無理だね。呪術は発動するのに様々な条件がいるのがネックだが、発動したらそれを無効化するのはほぼ不可能だ。さらに、人を生き返らせることは今の魔術では不可能だよ。」
なんとなく分かってはいたが、面と向かって不可能と言われると落胆を隠せなかった。
「・・まぁしょうがねーさ。いつの日か死ねる日が来るってわかっただけでも十分ありがたいさ」
部屋に気まずい沈黙が訪れる。クロウははいたたまれなくなりアリスに
「今日はもう遅いし疲れただろ、とりあえず寝ようぜ」
アリスは部屋を見回し
「寝るって見たところわらのベッドが一つしかないが」
「あぁ、俺は別に床でも寝れるから大丈夫だ」
そう言ってクロウは床に寝転がった。
「いや、君は一応家主だろう。私が床に寝るよ」
「余計な気使わなくて大丈夫だ、疲れてんだろ」
そう言って俺はアリスが反論するのを無視しランプに灯った明かりを消した。アリスもしばらくはうるさくわめいていたが、あきらめたのかわらのベッドに入った。暗闇の中、クロウは自分の心臓に手を当てた。心臓はクロウを勇気づけるようにとても力強く拍動していた。
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