AR Chronicle

黒鳥カラス

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第1章―放課後のログイン―

リザルトと違和感

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 スライムが光の粒子となって消えた瞬間、三人の目の前に半透明のウィンドウが浮かび上がった。

——【バトル終了】
——【獲得経験値:+10】
——【銅貨+3】
——【新スキル獲得:条件達成】

「……うわ、本当にリザルト画面だ」
 陽斗は目を輝かせてウィンドウを操作する。
 「EXPゲージ」には確かに光が溜まり、少しだけレベルバーが伸びていた。

「俺の大剣スキルが《パワースラッシュ》になった! なんか必殺技っぽいぞ!」
 嬉々とした声に、美咲も画面を確認する。

「……わたし、《ライトヒール》が強化されてる。次からは少し大きな回復ができるみたい」
 胸に小さな誇らしさが芽生える。それと同時に、得体の知れない感情が喉の奥に詰まっていた。

(スキル……。ゲームみたいに文字で出るけど……今の“光”は確かに私の手から生まれて、陽斗くんを癒した。幻じゃない……)

 彼女の指先はまだ、暖かな余韻を残していた。

 一方、蓮の画面には見慣れない文字が並んでいた。

——【新スキル:《戦況解析》】
——【味方の行動傾向を可視化し、次の最適解を提示します】

「……俺は“解析”が進化したみたいだ」
 蓮は冷静に告げる。しかしその内心では、小さな震えを抑えきれなかった。
 仲間の動きが矢印や予測ラインとして視界に浮かび上がる。未来を覗き見るような感覚。

「なあ、これ……本当にゲームなのか?」
 陽斗が不意に口にする。その声は、戦闘前よりもずっと低かった。

「ゲームなら……痛みは感じないはずだよな。さっき、スライムに絡まれたとき、ちゃんと重さも、冷たさも、気持ち悪さもあった」

「……うん。私も……。ヒールを唱えたとき、心臓がすごく熱くなった。まるで自分の命を削ってるみたいに」
 美咲の言葉は震えていた。

 蓮は拳を握りしめ、仲間を見渡した。
 陽斗の興奮の奥に潜む恐怖も、美咲の不安も、すべて感じ取れていた。

「少なくとも……ただのゲームじゃない。ここは俺たちが“生きてる”世界だ」

 その瞬間、三人のウィンドウが同時に震え、次の文字が浮かんだ。

——【クエスト解放:序章ミッション《部室からの帰還》】

「……帰還?」
 陽斗が首を傾げる。

「つまり、この世界から“元の学校”に戻れるってこと……?」
 美咲の声には安堵がにじんだ。

 しかし蓮は、画面をじっと見つめたまま眉をひそめた。
 《帰還》の文字の隣には、小さく注意書きがあったのだ。

——【帰還条件:次の試練を突破すること】

「……簡単には戻れないみたいだな」

 三人の胸に、再び重苦しい沈黙が落ちた。
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