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214.誘拐された新婚夫婦(後編)

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ============== 主な登場人物 ================
 大文字伝子・・・主人公。翻訳家。DDリーダー。EITOではアンバサダーまたは行動隊長と呼ばれている。。
 大文字(高遠)学・・・伝子の、大学翻訳部の3年後輩。伝子の婿養子。小説家。EITOのアナザー・インテリジェンスと呼ばれている。
 一ノ瀬(橘)なぎさ一等陸佐・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「一佐」または副隊長と呼ばれている。EITO副隊長。
 久保田(渡辺)あつこ警視・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。皆には「警視」と呼ばれている。EITO副隊長。
 増田はるか3等海尉・・・海自からのEITO出向。副隊長補佐。
 馬場(金森)和子二尉・・・空自からのEITO出向。副隊長補佐。
 高木(日向)さやか一佐・・・空自からのEITO出向。
 高木貢一曹・・・陸自からのEITO出向。EITOボーイズに参加。
 馬越友理奈二曹・・・空自からのEITO出向。
 大町恵津子一曹・・・陸自からのEITO出向。
 田坂ちえみ一曹・・・陸自からのEITO出向。
 浜田なお三曹・・・空自からのEITO出向。
 新町あかり巡査・・・みちるの後輩。丸髷署からの出向。副隊長補佐。
 結城たまき警部・・・警視庁捜査一課からの出向。
 安藤詩三曹・・・海自からのEITO出向。
 稲森花純一曹・・・海自からのEITO出向。
 愛川静音(しずね)・・・ある事件で、伝子に炎の中から救われる。EITOに就職。
 工藤由香・・・元白バイ隊隊長。警視庁からEITO出向の巡査部長。。
 伊知地満子二曹・・空自からのEITO出向。ブーメランが得意。伝子の影武者担当。
 葉月玲奈二曹・・・海自からのEITO出向。
 越後網子二曹・・・陸自からのEITO出向。
 小坂雅巡査・・・元高速エリア署勤務。警視庁から出向。
 飯星満里奈・・・元陸自看護官。EITOに就職。
 財前直巳一曹・・・財前一郎の姪。空自からのEITO出向。
 仁礼らいむ一曹・・・仁礼海将の大姪。海自からのEITO出向。
 井関五郎・・・鑑識の井関の息子。EITOの爆発物処理担当。
 渡伸也一曹・・・EITOの自衛官チーム。GPSほか自衛隊のシステム担当。
 草薙あきら・・・EITOの警察官チーム。特別事務官。ホワイトハッカーの異名を持つ。
 久保田嘉三管理官・・・警視庁管理官。伝子をEITOにスカウトした。EITO前司令官。
 愛宕(白藤)みちる警部補・・・ある事件をきっかけにEITOに参加。伝子を「おねえさま」と呼んでいる。愛宕の妻。EITO副隊長。
 愛宕寛治警部・・・伝子の中学の書道部の後輩。丸髷警察署の生活安全課刑事。
 斉藤理事官・・・EITO司令官。EITO創設者。
 夏目警視正・・・EITO副司令官。夏目リサーチを経営している。EITO副司令官。
 河野事務官・・・EITOの警視庁担当事務官。
 筒井隆昭・・・伝子の大学時代の同級生。警視庁からEITO出向の警部。伝子の同級生。
 依田俊介・・・伝子の大学の翻訳部の後輩。高遠学と同学年。あだ名は「ヨーダ」。宅配便ドライバーをしていたが、やすらぎほのかホテル東京の支配人になった。
 大文字綾子・・・伝子の母。介護士をしている。
 内藤久女(ないとうひさめ)・・・ウーマン銭湯の客。
 橘陸将・・・陸自の、上から2番目に偉い人。なぎさの叔父。
 池上葉子・・・池上病院院長。亡き息子彰の先輩で、卓球の指導に来ていた高遠を息子のように大事に扱う。
 田尾美緒子・・・白バイ隊隊長。巡査部長。

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 ==EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す==
 ==エマージェンシーガールズとは、女性だけのEITO本部の精鋭部隊である。==

 1月3日。午前10時。EITO本部。会議室。
 隊員達は、次々と支度し、出て行った。
 マルチディスプレイに、橘陸将が映った。
「理事官。話は聞いた。確認したいんだが、今回の日向・高木隊員を襲ったのは、コンティニューじゃないんだね。」
「恐らくは。先日本日新聞社会長室から飛び降りた連中の仲間ではないか、と。」
「理事官。コンティニューがBase bookにアップロードしました。」と、草薙が言った。
「よし。画面に出してみろ。」今回はリール動画のみだった。草薙は再生した。
 《
 警察の人、いや、EITOの人。ナゾナゾは解けたかな?簡単だよね。チョロいよね。
 アタイも、エーアイほど賢かったらなあ。1ヶ月も考えちゃったよね。問題作りに。
 明日だからね。『ほかの問題』は先にやっつけちゃってよ。応援は出さないよ。こっちも忙しいからね。あ?しつこい?いかりマークが付くと、爆発しちゃうから、気を付けましょう。
 》
「なんだ?今のは。」と陸将が唸ると、「詰まり、今回の事件は、明日の取引、というか対決とは無関係。別の組織で、味方はしない、という意味だと思います。それと、爆発物を臭わせていましたね。」と、夏目警視正は応えた。
「分かった。渡。大文字君に爆発物の事を伝えるんだ。河野君。川崎元大使の件は?」
「国賓館からSPを増員して明日待機する、という返信が返ってきています。」「了解した。」
 午前11時。晴海埠頭。
 オスプレイが降り、エマージェンシーガールズが姿を現わした。
 敵は男3人。女1人。そして、日向と高木。
 女と両隊員は後ろ手で縛られていて、猿ぐつわをされている。
 なぎさは、両者の中間地点にジュラルミンケースを置きに行き、戻ってきた。
 敵の1人が、ケースまでやって来て、中身を確認した。
 敵の内2人の男がケースまで日向と高木を連れて来た。
 そして、交換にケースを持って、元の場所に戻った。
「もう1人の人質は?」と、なぎさが言った時、リーダーらしき男がスイッチを押した。
 異変に気づいた、あつこは日向と高木を確認した。腹にダイナマイトと時限装置を抱いている。あつこはDDバッジを押した。DDバッジとは、追跡装置の補助具で現在位置をEITOで把握出来るが、臨時の通信装置にもなる。
 ホバーバイクで、井関がやって来た。ホバーバイクとは、民間開発の『宙に浮くバイク』で、EITOが採用し改造し、戦闘及び運搬に使っている。
「もう1人の人質って、アタシのこと?」女は高らかに笑った。
 リーダーらしき男は「そうだよ。バイトは、もう終わりだ。後金は払わないでいいよな。死ぬんだから。」
 女は恐怖を感じて、海側へ走った。だが、女は海に辿り着くことは出来なかった。リーダーらしき男がスイッチを押したからだ。そして、他の男達はライターを取り出して、火を点けた。
「何だ、エマージェンシーガールズって、その程度か。」と、リーダーらしき男は言ったが、バイクの爆音が聞こえてきた。
 バイクを運転してきた、エマージェンシーガールズ姿の伝子はバイクを脚で挟み込み、『立った』。
 そして、両手を腰に廻し、ブーメランを2つ投げた。男達が持った、ライターを跳ね飛ばした。
 伝子は、バイクのシートにすぐに座った。そして、男達の1メートル手前でアクセルターンをした。その時、あかりが、フリーズガンで冷凍弾を男達の胸目がけて放った。
 フリーズ弾は、文字通り凍らせる武器で、ダイナマイトでも発火しにくくなる。
 飯星が、リーダーらしき男をプロレスのスリーパーホールドで落した。
 あつこ達の必死の解体作業で日向・高木は開放された。大空、七尾はストレッチャーを運んできた。仁礼と財前が手伝って、オスプレイに運んだ。
 増田は、池上病院に連絡を入れた。
 みちるは、日向と高木に言った。「貴方たちの衣類は自衛隊から届いているわ。」
 金森は日向に、馬場は高木に言った。明日の決戦は欠席するように、と。
 なぎさは、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛に似た笛で、作戦終了を報せる場合が多い。
 やがて、通称『片付け隊』がやって来た。やすらぎほのかホテルの送迎バスも来た。そして、白バイ隊がやって来た。
 田尾が工藤に挨拶をした。「先輩。VIPの先導をさせて頂きます。光栄です。」
「よろしくね。」工藤は田尾にハグして、離れた。
 ぽかんとしている小坂や越後、葉月、伊地知に工藤は「知らなかった?私達はレズよ。」と言い、ウインクした。
 静音は、あかりに言った。「先輩、カッコ良かったです。」
「新町は変化球の名手だからな。」と結城が言うと、「そうそう。私達2軍じゃ無理だから。」と大町が言い、「あら、一緒にしないでよ。私は裁縫が得意よ。」と馬越が言った。
「私は、冗談が得意よ。翻訳すると、こうなる。」
 増田が『ドヤ顔』で言った。
 愛宕と橋爪警部補は笑いながら、お助け隊を指揮している。
 伝子は咳払いをして言った。
「今、話した所だが、日向と高木は、当面は休暇。オスプレイで運び、池上病院で治療する。今、バスに来て貰ったが、ダミー輸送だ。その為に白バイ隊にも協力要請した。代わりと言ってはなんだが、明日の闘いには青山と江南も参加する。皆、心して休め。」
 皆がオスプレイに移動した後、筒井がホバーバイクで現れた。
「異常なし。まあ、ダークレインボーじゃないが。明日はそうはいかんかもな。今日は本部基地に泊まるよ。連絡付きにくい状況があったら、俺に連絡してくれ。」「了解した。」「じゃな。」
 午後3時。伝子のマンション。
 伝子は仮眠から目を覚ました。
 高遠がPCで何か調べている。「何、調べてるの、ダーリン。」
「何調べてるの、ダーリン。こんな甘い声も出るようになったんだ。」綾子が入って来た。
「チャイム鳴らせよ、クソババア。」「鳴らしたわよ。今自分眠るから聞こえなかったんでしょ?」
 高遠は、親子喧嘩が聞こえなかったかのように、言った。「川崎大師って広いよー。」
 その時、久保田管理官用のPCが起動した。
「残念なお知らせだ。逮捕連行した、3人の男は、黙秘権を行使していたが、突然苦しみだし、絶命した。」そう言った久保田管理官に続いて、「今解剖の途中ですが、『薬の時限装置』ではないかと解剖医は言っています。つまり、時間が来たら毒が回る。爆死しなくても死ぬ予定だった、のではないかと。」と、久保田警部補は言った。
「枝山事務官によると、『死が前提』となると、那珂国マフィアでなく、アイラブ系のテロ組織ではないか、という事だ。」と、久保田管理官は再び言った。
「コンティニューが嫌がる訳ですね。反社風に言うと、『ショバアラシ』が始まっている。以前、新聞記者がホテルから不審な墜落死をしたのも、同じ組織かも知れません。とにかく、失敗すると死。失敗を免れた場合、何らかの延命処置。まるで道具だ。」
 高遠は大いに憤慨した。
 午後4時。依田から、Linenのテレビ電話があった。伝子はスピーカーをオンにした。
「不審な問い合わせ電話がありました。一応録音とってありますが。」
「2人の安否か?それで、惚けておきました。責任者が休暇を取っているので、よく分かりません。」
 3人は爆笑した。
 爆笑しながらも、伝子と高遠は明日の決戦のことを考えていた。まだ明日までは8時間。いや、闘いまで後20数時間か。
 ―完―
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