大姪と私

クライングフリーマン

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26.新住人

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 ==== この物語はあくまでもフィクションです =========
 私の名前は野本由起夫。姪の名前は如月来夢(らむ)。
 私は、脊柱管狭窄症が進み、車椅子生活になった。私と大姪との同居生活が始まったのだ。
 母が亡くなった後、私は徹底して『終活片づけ』をしていたので、大姪(妹の孫)は2階に居住した。
 私が母と同居していた時の名残の『ナースコール』を復活して、私は必要時に大姪を呼ぶことになった。

 夕方。大姪は帰ってきた。
「ただいまー。売り出し中の看板無くなってる。」
「ああ。内装工事始まったね。売れたんだろう。」
「変形のウチでも売れるんだ。」
「予算と折り合えつけば売れるさ。」
「どんな人来るかな?」
「案外、新婚さんかも。子供が大きくなると手狭になるからね。」
「回覧板、一回得するね。」
「得かどうかは分からないが、持ち回りだから、その家がはす向かいの家の次の当番だね。回覧板、嫌なのかい?」
「そうでもない。ご近所とのコミュニケーションだよね。」
「うん。大昔はなかった習慣らしい。班組や回覧板はあったけど、町内会長みたいに選挙していた。公平じゃないから、って持ち回りになったんだ。留守しがちの家は、なかなか町内会費集められないからね。」
「いつも言われるよ。お爺ちゃん孝行ね、って。」
「違うって、言わないの?」
「面倒だから、笑って誤魔化す。覚えてくれないんだもの。幾ら説明しても。」
「まあ。法律に触れることやってないからなあ。」
「法律に触れることって?」
「昔、何度かあったんだ。誘拐してきた子供を同居させて。」
「学校は?」「行けないよね。何年まえだったかな。漸く逃げ出して、助けられて。所謂PTSD。頭おかしくなるよね。」
「この頃、色んな犯罪増えてるからね。」
「今日、ひいおばあちゃんの誕生日って、知ってる?」
「たこ焼き買って来たから、お供えした。」
「はっぴだってつーゆー、はっぴだってつーゆー♫」
「きゃはは。何、それ?」
「ひいおばあちゃんは覚え違いしていたんだよ。まあ、そう聞こえなくはないよね。」
「もっと長生きして欲しかったな。生きていたら何歳?」
「99歳。惜しい!!」
「惜しいね。100歳になれば区役所の区長さんがプレゼント持ってくるのに。賞状と一緒に。」
 夕飯の途中だったが、大姪は車椅子ごと私を仏間に運んだ。
「はっぴだってつーゆー、はっぴだってつーゆー。」
 夕飯を食べるのを忘れて、しばし、2人で歌った。
 お陰で今日は「反応した?」は無かった。
 翌日、聞かれたが。

 ―完―
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