君に二度、恋をした。

春夜夢

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第22話 「これからも、ずっと、俺のとなりにいてくれ」

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その日は、偶然にもふたりが“再会”した日と、同じ日だった。

 「……ちょっと付き合ってほしい場所がある」

 遥は、仕事終わりの俺を待ち伏せて、そう言った。

 

 連れてこられたのは、あのビルの屋上だった。
 十年前の別れを、ずっと引きずっていた俺にとって、決して忘れられない場所。

 そして――
 あの再会の、始まりの場所でもあった。

 

 「……なんで、またここに」

 「ここで、ちゃんと君に“さよなら”も“好き”も言えなかったから。
  だから今度こそ、“ちゃんと伝えたい”んだ」

 

 夜景を背に、遥が胸ポケットに手を入れた。

 そして、小さな黒い箱を――差し出した。

 

 「春翔」

 

 その名を呼ぶ声は、あの時とまったく同じで。
 でも、強くて、あたたかくて、誠実な大人の男の声だった。

 

 「これからも、ずっと、俺のとなりにいてくれ」

 

 静かに、指輪の入った箱が開かれた。
 シンプルで、飾り気のないリング。だけど、遥らしい優しさが詰まっていた。

 

 「……びっくりした」

 「うん。驚かせたかった」

 「ずるい」

 

 そう言いながら、胸の奥が熱くなる。

 あの日、何も言えずに泣いた少年の俺は、もうここにはいない。
 今は、ちゃんと自分の言葉で、“この人を選べる”自分がいる。

 

 「……ああ。俺も、ずっとお前の隣にいる」

 

 答えたその瞬間、遥が俺を強く抱きしめた。

 

 「ありがとう。……春翔、愛してる」

 「……俺も。大好きだ」

 

 ビルの屋上、夜景の真ん中で、ふたりの時間が静かに止まった。

 あの日すれ違った“好き”が、
 ようやく“確かな未来”へと変わった瞬間だった。
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