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4. 3-3 裏側エピソード その1
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お湯から解放された彼は、よろよろと体をふらつかせて部屋を出た。その矢先、下級の魔族達と鉢合わせし、神輿のように担がれて書斎に運ばれた。
誰もいない水槽を横に倒し、水に戻ってしまった血色のお湯を抜く。
「で、あの茶番劇はなんだ?」
全く同じ声に、猫の姿をした魔神がぴたりと止まる。
くるりと振り返る。来訪者を見て顔を顰める。
「見てないで手伝え!!」
「そっちかよ!!」
同じ声によるやり取りは、どこかコミカルさがあった。
訪問者がわざとらしく咳払いをした。
「ゴホン。・・・・・・あれ、汚染が再開されてね? 今のうちに殺した方がいいんじゃない?」
猫の姿をした魔神は、水槽の拭き掃除を始める。
「そっちの監督不行きが原因だろ?」
「その件は終わった。捨てたゴミがどうなろうが知ったこっちゃねぇ」
「ゴミの処理すらできないから、こうなっちまったんだろう?」
「拾わなきゃ済んだ。そんな話だ。だいだいゴミ拾うなんて幼稚がすることだ。恥ずかしくないのかねぇ~?」
「え? それ言ったら、俺らから見たこの世の人間は全員幼稚だろ?」
「ヤメロぉ!! それ言ったらキリがねぇ!!」
即座に、そして責めるような強い口調で、訪問者は無意味なこの話を終止させた。
「・・・・・・本体の俺経由で共有したことだが、暴力や暴言などを含めた非人道的で悪辣な環境にいたせいか自己肯定感と自己評価が最低ライン以下。受けた仕打ちは正当なものと誤認して、何かある度に過去の出来事を持ち出して自分を卑下して自信を失う悪循環を起こす。人間限定で他者と関わりに恐怖すらある。そもそも、暗くて淀んだ空気の中で毎日魔物殺すだけを強要されたら精神歪むわ。善悪の判断やこの大陸における社会的模範意識はあるが、自身の考えや行動は消極的。言われた通りに動く人形みたいな感じだな。──そんな奴にゴミを拾うことが恥ずかしいって言っても理解するワケねぇだろ・・・・・・まぁ。この大陸の教育機関が不十分なのが1番の問題だけどな~。こっちも知識や社交性など必要なことは教えているが、1年じゃさすがにムリ!」
猫の姿の魔神は、訪問者に理解してもらうために長々と話をした。
「そんな奴がこれやりたいって思っても上手くいくワケがね~っての」
「それには同感。ただの皆殺しなんてナンセンスだ」
「その器の復讐の美学と一緒にするなよ。だからややこしくなる・・・・・・って、そんな会話している場合じゃない。──あれ、持ってきたんだろ?」
肉球を見せるかのように、掌を上にしてくいくいと動かして催促する。
訪問者は、台紙に巻き付けた黒いリボンを放り投げた。
「サンキュー!!」
「・・・・・・共有されてないついでに聞くが、なんで本体はあいつを監禁するのをやめた? 眷族の話を持ち出したお前なら知ってるだろ?」
「生憎だが、この俺も知らん。引っ込まされたからな。そもそも、本体を補佐する役割である俺らが知る権利ないだろ?」
「知る権利ないから興味持つなってか?」
「・・・・・・ピエロの俺」
「なんだ?」
「おまえ。あっち側に意識取られてないよな?」
訪問者は、何も答えずに立ち去った。
本来の入り口から入ってきた下級の魔族3体が、猫の姿をした魔神を見て首を傾げた。
誰もいない水槽を横に倒し、水に戻ってしまった血色のお湯を抜く。
「で、あの茶番劇はなんだ?」
全く同じ声に、猫の姿をした魔神がぴたりと止まる。
くるりと振り返る。来訪者を見て顔を顰める。
「見てないで手伝え!!」
「そっちかよ!!」
同じ声によるやり取りは、どこかコミカルさがあった。
訪問者がわざとらしく咳払いをした。
「ゴホン。・・・・・・あれ、汚染が再開されてね? 今のうちに殺した方がいいんじゃない?」
猫の姿をした魔神は、水槽の拭き掃除を始める。
「そっちの監督不行きが原因だろ?」
「その件は終わった。捨てたゴミがどうなろうが知ったこっちゃねぇ」
「ゴミの処理すらできないから、こうなっちまったんだろう?」
「拾わなきゃ済んだ。そんな話だ。だいだいゴミ拾うなんて幼稚がすることだ。恥ずかしくないのかねぇ~?」
「え? それ言ったら、俺らから見たこの世の人間は全員幼稚だろ?」
「ヤメロぉ!! それ言ったらキリがねぇ!!」
即座に、そして責めるような強い口調で、訪問者は無意味なこの話を終止させた。
「・・・・・・本体の俺経由で共有したことだが、暴力や暴言などを含めた非人道的で悪辣な環境にいたせいか自己肯定感と自己評価が最低ライン以下。受けた仕打ちは正当なものと誤認して、何かある度に過去の出来事を持ち出して自分を卑下して自信を失う悪循環を起こす。人間限定で他者と関わりに恐怖すらある。そもそも、暗くて淀んだ空気の中で毎日魔物殺すだけを強要されたら精神歪むわ。善悪の判断やこの大陸における社会的模範意識はあるが、自身の考えや行動は消極的。言われた通りに動く人形みたいな感じだな。──そんな奴にゴミを拾うことが恥ずかしいって言っても理解するワケねぇだろ・・・・・・まぁ。この大陸の教育機関が不十分なのが1番の問題だけどな~。こっちも知識や社交性など必要なことは教えているが、1年じゃさすがにムリ!」
猫の姿の魔神は、訪問者に理解してもらうために長々と話をした。
「そんな奴がこれやりたいって思っても上手くいくワケがね~っての」
「それには同感。ただの皆殺しなんてナンセンスだ」
「その器の復讐の美学と一緒にするなよ。だからややこしくなる・・・・・・って、そんな会話している場合じゃない。──あれ、持ってきたんだろ?」
肉球を見せるかのように、掌を上にしてくいくいと動かして催促する。
訪問者は、台紙に巻き付けた黒いリボンを放り投げた。
「サンキュー!!」
「・・・・・・共有されてないついでに聞くが、なんで本体はあいつを監禁するのをやめた? 眷族の話を持ち出したお前なら知ってるだろ?」
「生憎だが、この俺も知らん。引っ込まされたからな。そもそも、本体を補佐する役割である俺らが知る権利ないだろ?」
「知る権利ないから興味持つなってか?」
「・・・・・・ピエロの俺」
「なんだ?」
「おまえ。あっち側に意識取られてないよな?」
訪問者は、何も答えずに立ち去った。
本来の入り口から入ってきた下級の魔族3体が、猫の姿をした魔神を見て首を傾げた。
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