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二章 新しい使用人

9 責任をとって喰われた

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 アズールとレーンは押しかけ使用人だが、グラミー商会から来ただけあって母様をよく助けていた。爵位会から帰宅した父様を出迎えタイミングよくお茶を出し、夕飯は兄様が帰るとすぐに出された。うわ、めっちゃ有能で、僕はやることないんだけど。

 給仕をする必要が無くなった母様は、家族ゆっくり食事をして久々に安物だけどワインも嗜んでいた。片付けはレーンがすると話していたから僕も手伝うつもりで立ち上がると、アズールが湯を沸かしたから入るように言われて、久しぶりに一階にある浴室のバスタブに湯が張られ入った。

 父様と母様の部屋には狭いけれど浴室とトイレがあるが、子供部屋には付いていない。兄様は後から入ると話していて僕は本当に久しぶりの湯に浸かる。

「は……気持ちいい……」

 温泉に入りたいなあ。魔の森の温泉気持ちよかったなあ……。アズールとレーンの赤毛を見ていてふと思い出した。記憶があるのは、温泉までだ。あの後オーガスタは死んだとしたらあの小さな二人の淫魔はどうなったのだろうか。オーガスタとのくびきが外され、自由に生きてくれていればいい。妖魔は魔獣よりもマナが強く知恵もある。

 よし、大丈夫。

 僕は考えるのをやめて、香油の入った湯を堪能してからタオルで身体を拭いて、用意されていたドレスシャツと下着をつけてサンダルをはいて二階に戻る。するとレーンが兄様の部屋の前にいて、僕が出たから湯を沸かし直すがそれはしなくてもいいと話していたのが聞こえた。

 僕はベッドに腰掛けるとふーっと息を吐いて寝転んだ。料理もどこか懐かしい味がしたし、お風呂も気持ちよかった。アズールとレーンが甲斐甲斐しくまめまめしく働き、ツェッペリン家はやっと貴族らしい姿になったような気がする。

「失礼します。坊ちゃん、お水をお持ちしました」

 しばらく国政についての本を読んでいたが、ランプのオイルがもったいなくて消したところだった。湯に入ったから喉が渇いたと思ったのか、レーンが蝋燭を持って入ってきた。

「ありがとう、レーン」

 僕は自分の中ではなかなかいいと思う愛想笑いを浮かべてレーンを見た。ふわふわの赤毛は左右に横のひとつまみを上げてへッドドレスをセットしているレーンは、グラスに水を入れて僕に渡してくれた。

 水を飲んでいるとドアがノックされ、

「大坊ちゃんも湯浴みを終わられ眠りにつかれました」

とアズールも入ってくる。兄様が寝た?もうそんな時間なんだとグラスをレーンに手渡しすると、アズールとレーンが片膝をついて僕に礼を取る。

「よくお戻りくださいました、マスター」

 ーーーーえ?

 僕は今、オーガスタと全く違う子供だ。何を言っている。

「前に何があったのか、なぜ我々から身を隠したか、それはおいおい聞きまが、あの時の約束を覚えていますか、マスター?」

 僕は表情を固めた。

「い、嫌だなあ。僕はノリン・ツェッペリンだよ。オーガスタなんて知らないし……」

 アズールとレーンが温度を上げた微笑を見せる。

「私たちはマスターの名前を話してはいません」

「ーーひょっ……!」

「確か、金髪碧眼の美少年になったら抱かせてやるーーでしたね。我ら淫魔インキュバスを幾年も待たせたのですから、たっぷりといただきます」

「妖魔に嘘は通じませんよ。マスター、いただきまーす」

 どこか少年じみたレーンの声が部屋に響いて、僕は反駁反論も出来ず顔を覆って項垂れた。僕、名付けをして再び従獣ティムしていたらしい……。






「大丈夫ですか、マスター」

 僕はベッドの中でレーンから再び水をもらい、でもグラスを受け取る体力もなくて、結局アズールに口に抱き上げてもらい唇につけてもらったグラスから水を飲んだ。

 まるで打ち上げられた魚だ。ぜいぜいと息を吐き、アズールの細い癖に筋肉のある胸に頭を預けている。

「大丈夫……じゃない」

「そーですよねー、結腸と尿道同時に責められて、トんでからイきっぱなしでしたからねー。尿道ちゅるちゅるして、結腸くぽくぽ抜くの気持ちよかったですよね」

 レーンが女の子じゃないの聞いてないし、淫魔の性器が自由自在に大きさを変えられるなんて聞いていない。

「私は気持ちよかったですよ。マスターの結腸に入って抜く時に口が窄まりきゅうきゅう舐められて、思わず大量の淫魔液を出してしまいました。おや。今も甘イキが続いていますね」

 そんな事はないと言いたい気持ちを堪えて、僕はアズールの身体を支えにしてなんとか座っている。

「尿道に淫魔液をたっぷり流し込んでからの押し出し逆噴射気持ちよかったですよねー。次は僕が結腸抜きます!結腸気持ちイイを言わせます、任せてください!」

「次があんのかよ……」

 思わずひどい声で下町言葉が飛び出てしまう。

「ふふ……ああ、マスターだ……」

 アズールの甘い声に少し上を向くと、アズールに唇を塞がれた。少しずらして下からレーンの舌が入ってきてニ人の舌が口の中でしっとりと合わさる。

「マスター、えへへ……僕嬉しくて」

 オーガスタが発した言葉通りの美少年に転生した今、親友に会ってバレたらどうなるのか、目に見えて分かる気がした。

「全く……」

 信じられないが淫魔のアズールとレーンは何も変わっていなかった。

「淫魔液は人には疲労回復になります。ゆっくり寝てください。マスターが担っていた夜の仕事は私たちが引き継ぎます」

 妖魔は基本睡眠を取ることはない。実は僕は魔の森からやってくるはぐれ妖魔や魔獣から村を守ってマナを張り巡らせている。だから常に眠りは浅い。でも今日は疲労困憊だ。

「おやすみなさい、マスター」

「マスター、明日ねー」

 僕はアズールの腕の中で深い眠りについてしまった。

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