4 / 30
木蓮の花咲く頃1
しおりを挟む
千屋の勤める、そして俺がよくお世話になっている出版社の50周年記念パーティー。
こういうパーティーは苦手だけれど、デビュー作以来一番俺の作品を出版してくれている出版社なので顔を出さないといけない。
社長の挨拶から始まり、順に社長に挨拶をしていく。もちろん俺も挨拶をする。
「50周年おめでとうございます」
「あぁ、都谷先生。ありがとうございます。まだまだ50年ですからね。明日からもまた頑張りますよ。先生にもお願いするかと思いますが、よろしくお願いします」
「こちらこそいつもありがとうございます。少しでもお役にたてるよう頑張ります」
一言二言話しをすると社長への挨拶は終わる。社長とは数回会っただけなので緊張した。
小さく息を吐くと、都谷先生、と呼ぶ声が聞こえる。声の方へと目をやると久我編集長がいた。
「社長に挨拶されましたか」
「ええ。緊張しました」
「はは。あまり顔あわさないですもんね。あ、それは俺も変わりないか。こっちとしてはよく読ませて頂いているので親近感はあるんですけどね」
「いつもありがとうございます」
「もうすぐ締め切りのものがあったと思うんですが、よろしくお願いしますね」
「締め切りには間に合うかと。千屋が煩いので」
編集長は俺と千屋が親しいことを知っている。だから、千屋呼びにしても問題はない。
「先生はあいつが何も言わなくても締め切りが過ぎるっていうことはないでしょう」
それは確かだ。自分で言うのもなんだけど締め切りは守っている。1度だけ数日遅れたことがあるけれど、そのときの千屋はほんとに煩かった。それ以来、千屋のお小言を食らいたくなくて数日徹夜をしても絶対に締め切りにはあげるようにしている。そのおかげか、編集長の覚えはめでたい。
「今度、今書いて頂いているミステリー作家によるアンソロジーですが、売上次第では第二弾を出す計画もあるんですよ。そのときにはまた都谷先生にもお願いします」
「あの企画ですね。書かせて貰っていますが、実は読者として楽しみなんですよ。他の先生方の作品が1冊で楽しめるんですから。それの第二弾も書かせて貰えるんですか?」
「もちろんですよ。長生先生や、今泉先生なんかにも声をかけさせて頂いているんですよ。多分、千屋が後で先生に伝えると思いますけどね。俺の方が先に先生に会ってしまったから順番が逆になってしまいましたが。詳細は千屋から聞いてください」
「はい。そうします」
「挿絵は今人気の画家の薬井直人先生にお願いしてあるんですよ」
「薬井、直人……」
「はい。次の先生の本の表紙を薬井先生にお願いするって千屋が言っていたけど」
「ああ、はい。直接会ったことはないけれど画集は見せて貰いました。ご本人には今日挨拶を予定してあるんですが」
「そうですか。画集とはまた違った魅力があるんですよ、イラストでは。うちでは長生先生の本の表紙を描いて貰っています」
それはそう思った。
画集を見た後、本屋で長生先生の本の表紙を見て、画家として描く絵とはまた違うなと思ったものだ。
「うちではこれからも薬井先生には描いて貰うつもりなので、都谷先生のも今後また回ってくると思います」
「そうですか」
そうなると、あっちが会いたいと言わなくても会った方がいい相手だな、と思う。
そう考えていると編集長は、他の先生を見つけたらしい。
「綾本先生! それでは都谷先生、よろしくお願いしますね」
「はい」
そう言うと編集長は綾本えり先生の方へと行った。
こういうパーティーは苦手だけれど、デビュー作以来一番俺の作品を出版してくれている出版社なので顔を出さないといけない。
社長の挨拶から始まり、順に社長に挨拶をしていく。もちろん俺も挨拶をする。
「50周年おめでとうございます」
「あぁ、都谷先生。ありがとうございます。まだまだ50年ですからね。明日からもまた頑張りますよ。先生にもお願いするかと思いますが、よろしくお願いします」
「こちらこそいつもありがとうございます。少しでもお役にたてるよう頑張ります」
一言二言話しをすると社長への挨拶は終わる。社長とは数回会っただけなので緊張した。
小さく息を吐くと、都谷先生、と呼ぶ声が聞こえる。声の方へと目をやると久我編集長がいた。
「社長に挨拶されましたか」
「ええ。緊張しました」
「はは。あまり顔あわさないですもんね。あ、それは俺も変わりないか。こっちとしてはよく読ませて頂いているので親近感はあるんですけどね」
「いつもありがとうございます」
「もうすぐ締め切りのものがあったと思うんですが、よろしくお願いしますね」
「締め切りには間に合うかと。千屋が煩いので」
編集長は俺と千屋が親しいことを知っている。だから、千屋呼びにしても問題はない。
「先生はあいつが何も言わなくても締め切りが過ぎるっていうことはないでしょう」
それは確かだ。自分で言うのもなんだけど締め切りは守っている。1度だけ数日遅れたことがあるけれど、そのときの千屋はほんとに煩かった。それ以来、千屋のお小言を食らいたくなくて数日徹夜をしても絶対に締め切りにはあげるようにしている。そのおかげか、編集長の覚えはめでたい。
「今度、今書いて頂いているミステリー作家によるアンソロジーですが、売上次第では第二弾を出す計画もあるんですよ。そのときにはまた都谷先生にもお願いします」
「あの企画ですね。書かせて貰っていますが、実は読者として楽しみなんですよ。他の先生方の作品が1冊で楽しめるんですから。それの第二弾も書かせて貰えるんですか?」
「もちろんですよ。長生先生や、今泉先生なんかにも声をかけさせて頂いているんですよ。多分、千屋が後で先生に伝えると思いますけどね。俺の方が先に先生に会ってしまったから順番が逆になってしまいましたが。詳細は千屋から聞いてください」
「はい。そうします」
「挿絵は今人気の画家の薬井直人先生にお願いしてあるんですよ」
「薬井、直人……」
「はい。次の先生の本の表紙を薬井先生にお願いするって千屋が言っていたけど」
「ああ、はい。直接会ったことはないけれど画集は見せて貰いました。ご本人には今日挨拶を予定してあるんですが」
「そうですか。画集とはまた違った魅力があるんですよ、イラストでは。うちでは長生先生の本の表紙を描いて貰っています」
それはそう思った。
画集を見た後、本屋で長生先生の本の表紙を見て、画家として描く絵とはまた違うなと思ったものだ。
「うちではこれからも薬井先生には描いて貰うつもりなので、都谷先生のも今後また回ってくると思います」
「そうですか」
そうなると、あっちが会いたいと言わなくても会った方がいい相手だな、と思う。
そう考えていると編集長は、他の先生を見つけたらしい。
「綾本先生! それでは都谷先生、よろしくお願いしますね」
「はい」
そう言うと編集長は綾本えり先生の方へと行った。
6
あなたにおすすめの小説
ふつつかものですが鬼上司に溺愛されてます
松本尚生
BL
「お早うございます!」
「何だ、その斬新な髪型は!」
翔太の席の向こうから鋭い声が飛んできた。係長の西川行人だ。
慌てん坊でうっかりミスの多い「俺」は、今日も時間ギリギリに職場に滑り込むと、寝グセが跳ねているのを鬼上司に厳しく叱責されてーー。新人営業をビシビシしごき倒す係長は、ひと足先に事務所を出ると、俺の部屋で飯を作って俺の帰りを待っている。鬼上司に甘々に溺愛される日々。「俺」は幸せになれるのか!?
俺―翔太と、鬼上司―ユキさんと、彼らを取り巻くクセの強い面々。斜陽企業の生き残りを賭けて駆け回る、「俺」たちの働きぶりにも注目してください。
悋気応変!
七賀ごふん
BL
激務のイベント会社に勤める弦美(つるみ)は、他人の“焼きもち”を感じ取ると反射的に号泣してしまう。
厄介な体質に苦しんできたものの、感情を表に出さないクールな幼なじみ、友悠(ともひさ)の存在にいつも救われていたが…。
──────────
クール&独占欲強め×前向き&不幸体質。
◇BLove様 主催コンテスト 猫野まりこ先生賞受賞作。
◇プロローグ漫画も公開中です。
表紙:七賀ごふん
沼
田原摩耶
BL
雀荘でバイトをする大学生デビュー陰キャ・大好(おおよし)には推しがいた。
バイト先の向かい側の花屋で働く名前も知らない年上の店員を日々目の保養としていた受けが突然沼に巻き込まれてジタバタしてるお話です。
見た目誠実そうな花屋の店長(?)×恋愛免疫ゼロ中身陰キャ大学デビュー雀荘スタッフ
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました【完結】
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
双葉の恋 -crossroads of fate-
真田晃
BL
バイト先である、小さな喫茶店。
いつもの席でいつもの珈琲を注文する営業マンの彼に、僕は淡い想いを寄せていた。
しかし、恋人に酷い捨てられ方をされた過去があり、その傷が未だ癒えずにいる。
営業マンの彼、誠のと距離が縮まる中、僕を捨てた元彼、悠と突然の再会。
僕を捨てた筈なのに。変わらぬ態度と初めて見る殆さに、無下に突き放す事が出来ずにいた。
誠との関係が進展していく中、悠と過ごす内に次第に明らかになっていくあの日の『真実』。
それは余りに残酷な運命で、僕の想像を遥かに越えるものだった──
※これは、フィクションです。
想像で描かれたものであり、現実とは異なります。
**
旧概要
バイト先の喫茶店にいつも来る
スーツ姿の気になる彼。
僕をこの道に引き込んでおきながら
結婚してしまった元彼。
その間で悪戯に揺れ動く、僕の運命のお話。
僕たちの行く末は、なんと、お題次第!?
(お題次第で話が進みますので、詳細に書けなかったり、飛んだり、やきもきする所があるかと思います…ご了承を)
*ブログにて、キャライメージ画を載せております。(メーカーで作成)
もしご興味がありましたら、見てやって下さい。
あるアプリでお題小説チャレンジをしています
毎日チームリーダーが3つのお題を出し、それを全て使ってSSを作ります
その中で生まれたお話
何だか勿体ないので上げる事にしました
見切り発車で始まった為、どうなるか作者もわかりません…
毎日更新出来るように頑張ります!
注:タイトルにあるのがお題です
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる