3 / 17
出会い3
しおりを挟む
ピザを食べ終わった後リビングに来客用の布団を敷き、俺はシャワーを浴びた。
短い時間だけど律くんは最初の頃よりしっかりとした声を出しているし、纏う空気も柔らかくなった。怪しい人間ではないと信頼して貰えたのだろうか。そうだと嬉しい。
そして俺はそんな律くんが気になる。それは単なる初対面の相手だからなのか、それともそれ以上のものなのか自分でもわからない。わからないけど、律くんの笑顔には見惚れてしまった。
律くんは色の白いノーブルな顔立ちをしている。綺麗、という言葉がピッタリだ。男としたら嬉しくない形容詞なのかもしれないけれど、綺麗という言葉しか出てこないのだ。
そんな律くんだから気になるのか。それは気になるが、あまり気にしてはいけないような気がした。だって今日出会ったばかりで、怪我が心配で湿布を貼るという名目で誘ったのだ。決して下心はなかった。
確かに元彼と別れて2ヶ月になるけれど、そんなに急いで次の彼氏を作ろうとも思っていない。こればかりは縁だから、縁があれば出会うだろうしそういう関係にもなるだろう。だから流れに任せているといったところだ。
もちろんゲイだから出会うとすれば、ゲイバーか出会い系になるけれど、まだ積極的に出会おうとはしていない。
正直言ってしまうと、元彼のわがままに疲れてしまって今は1人ゆっくりとしたいといったところだ。
だから今は律くんに対して気になるというのがどういう意味かだなんて考えなくていい。
シャワーを浴びてリビングに行くと、布団の上に座っている律くんがいた。
「先に寝ていて良かったのに。電気が嫌だった?」
「いえ。電気は大丈夫です。」
「そう?今日は疲れたでしょう。ゆっくり寝るといいよ」
「はい」
「じゃあ電気消すよ。おやすみ」
「おやすみなさい」
そう言ってリビングの電気を消すと、律くんが布団に入るのが見えた。俺も早く寝よう。明日は律くんが朝には帰るのかどうなのかわからないから、1日の予定がいつも通りになるのかはわからなない。
もし帰るようならいつも通りの週末のパターンで。もし昼過ぎまでいるようであればそのとき考えよう。
そう考えて俺もベッドに入った。
翌朝、目が覚めてリビングへ行くと律くんは既に起きていて布団を畳んでいた。
「寝れた?」
「あ、はい。おかげさまで寝れました。あの......」
「ん? 連絡あった?」
「はい。ちょっと前に」
「そっか。じゃあ朝食は食べないで帰る?」
「はい」
そうやって返事をする律くんは申し訳なさそうな顔をしていた。
「気にしないでいいよ。朝になると連絡あるって聞いてたしね。それよりもう帰った方がいいんじゃない? また暴力振るわれたら大変だよ」
「あ、はい。あの、昨夜は本当にご迷惑をおかけしました。ピザと湿布代持って来ますから」
「そんなの気にしないでいいよ。こっちこそ、1人で食べられないからって勝手にピザに付き合わせちゃったから」
「そんな。俺も久しぶりに食べてすっごく美味しかったし」
「うん。その言葉だけで十分だよ。それよりさ。もしまた暴力振るわれたらネカフェとかじゃなくてうちにおいで。湿布くらいは貼ってあげられるから」
「そんなに迷惑をかけるわけには......」
「迷惑なんかじゃないよ。俺が心配なだけだから」
「......じゃあ、そのときは。でも! 疲れてたりしたら追い払っていいですから」
「追い払ったりしないよ。だから安心して」
「ありがとうございます」
律くんはとっても真面目な子なんだということが、この短いやり取りでもよくわかる。
「あの、じゃあ俺帰ります」
「うん。またね。って暴力はない方がいいんだけどね」
そう言うと律くんは困ったように小さく笑い帰っていった。
ドアがパタンを完全に閉まるまで俺は玄関をじっと見ていた。
律くんがもう暴力を振るわれるようなことがなければいいと思う。でも、そうすると律くんには会えなくなるんじゃないかと思うと寂しい。また律くんに会いたいと思っている俺がいた。
短い時間だけど律くんは最初の頃よりしっかりとした声を出しているし、纏う空気も柔らかくなった。怪しい人間ではないと信頼して貰えたのだろうか。そうだと嬉しい。
そして俺はそんな律くんが気になる。それは単なる初対面の相手だからなのか、それともそれ以上のものなのか自分でもわからない。わからないけど、律くんの笑顔には見惚れてしまった。
律くんは色の白いノーブルな顔立ちをしている。綺麗、という言葉がピッタリだ。男としたら嬉しくない形容詞なのかもしれないけれど、綺麗という言葉しか出てこないのだ。
そんな律くんだから気になるのか。それは気になるが、あまり気にしてはいけないような気がした。だって今日出会ったばかりで、怪我が心配で湿布を貼るという名目で誘ったのだ。決して下心はなかった。
確かに元彼と別れて2ヶ月になるけれど、そんなに急いで次の彼氏を作ろうとも思っていない。こればかりは縁だから、縁があれば出会うだろうしそういう関係にもなるだろう。だから流れに任せているといったところだ。
もちろんゲイだから出会うとすれば、ゲイバーか出会い系になるけれど、まだ積極的に出会おうとはしていない。
正直言ってしまうと、元彼のわがままに疲れてしまって今は1人ゆっくりとしたいといったところだ。
だから今は律くんに対して気になるというのがどういう意味かだなんて考えなくていい。
シャワーを浴びてリビングに行くと、布団の上に座っている律くんがいた。
「先に寝ていて良かったのに。電気が嫌だった?」
「いえ。電気は大丈夫です。」
「そう?今日は疲れたでしょう。ゆっくり寝るといいよ」
「はい」
「じゃあ電気消すよ。おやすみ」
「おやすみなさい」
そう言ってリビングの電気を消すと、律くんが布団に入るのが見えた。俺も早く寝よう。明日は律くんが朝には帰るのかどうなのかわからないから、1日の予定がいつも通りになるのかはわからなない。
もし帰るようならいつも通りの週末のパターンで。もし昼過ぎまでいるようであればそのとき考えよう。
そう考えて俺もベッドに入った。
翌朝、目が覚めてリビングへ行くと律くんは既に起きていて布団を畳んでいた。
「寝れた?」
「あ、はい。おかげさまで寝れました。あの......」
「ん? 連絡あった?」
「はい。ちょっと前に」
「そっか。じゃあ朝食は食べないで帰る?」
「はい」
そうやって返事をする律くんは申し訳なさそうな顔をしていた。
「気にしないでいいよ。朝になると連絡あるって聞いてたしね。それよりもう帰った方がいいんじゃない? また暴力振るわれたら大変だよ」
「あ、はい。あの、昨夜は本当にご迷惑をおかけしました。ピザと湿布代持って来ますから」
「そんなの気にしないでいいよ。こっちこそ、1人で食べられないからって勝手にピザに付き合わせちゃったから」
「そんな。俺も久しぶりに食べてすっごく美味しかったし」
「うん。その言葉だけで十分だよ。それよりさ。もしまた暴力振るわれたらネカフェとかじゃなくてうちにおいで。湿布くらいは貼ってあげられるから」
「そんなに迷惑をかけるわけには......」
「迷惑なんかじゃないよ。俺が心配なだけだから」
「......じゃあ、そのときは。でも! 疲れてたりしたら追い払っていいですから」
「追い払ったりしないよ。だから安心して」
「ありがとうございます」
律くんはとっても真面目な子なんだということが、この短いやり取りでもよくわかる。
「あの、じゃあ俺帰ります」
「うん。またね。って暴力はない方がいいんだけどね」
そう言うと律くんは困ったように小さく笑い帰っていった。
ドアがパタンを完全に閉まるまで俺は玄関をじっと見ていた。
律くんがもう暴力を振るわれるようなことがなければいいと思う。でも、そうすると律くんには会えなくなるんじゃないかと思うと寂しい。また律くんに会いたいと思っている俺がいた。
37
あなたにおすすめの小説
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
僕の幸せは
春夏
BL
【完結しました】
【エールいただきました。ありがとうございます】
【たくさんの“いいね”ありがとうございます】
【たくさんの方々に読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございます!】
恋人に捨てられた悠の心情。
話は別れから始まります。全編が悠の視点です。
【8話完結】どんな姿でも、あなたを愛している。
キノア9g
BL
かつて世界を救った英雄は、なぜその輝きを失ったのか。そして、ただ一人、彼を探し続けた王子の、ひたむきな愛が、その閉ざされた心に光を灯す。
声は届かず、触れることもできない。意識だけが深い闇に囚われ、絶望に沈む英雄の前に現れたのは、かつて彼が命を救った幼い王子だった。成長した王子は、すべてを捨て、十五年もの歳月をかけて英雄を探し続けていたのだ。
「あなたを死なせないことしか、できなかった……非力な私を……許してください……」
ひたすらに寄り添い続ける王子の深い愛情が、英雄の心を少しずつ、しかし確かに温めていく。それは、常識では測れない、静かで確かな繋がりだった。
失われた時間、そして失われた光。これは、英雄が再びこの世界で、愛する人と共に未来を紡ぐ物語。
全8話
僕の彼氏は僕のことを好きじゃないⅠ/Ⅱ
MITARASI_
BL
I
彼氏に愛されているはずなのに、どうしてこんなに苦しいんだろう。
「好き」と言ってほしくて、でも返ってくるのは沈黙ばかり。
揺れる心を支えてくれたのは、ずっと隣にいた幼なじみだった――。
不器用な彼氏とのすれ違い、そして幼なじみの静かな想い。
すべてを失ったときに初めて気づく、本当に欲しかった温もりとは。
切なくて、やさしくて、最後には救いに包まれる救済BLストーリー。
Ⅱ
高校を卒業し、同じ大学へ進学した陸と颯馬。
別々の学部に進みながらも支え合い、やがて同棲を始めた二人は、通学の疲れや家事の分担といった小さな現実に向き合いながら、少しずつ【これから】を形にしていく。
未来の旅行を計画し、バイトを始め、日常を重ねていく日々。
恋人として選び合った関係は、穏やかに、けれど確かに深まっていく。
そんな中、陸の前に思いがけない再会をする。
過去と現在が交差するその瞬間が、二人の日常に小さな影を落としていく。
不安も、すれ違いも、言葉にできない想いも抱えながら。
それでも陸と颯馬は、互いの手を離さずに進もうとする。
高校編のその先を描く大学生活編。
選び続けることの意味を問いかける、二人の新たな物語。
続編執筆中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる