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~向日葵の日~
-番外-哀しみの夏。
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俺がひまわり畑を弟と眺めていた時だった。
「ねぇ!りお!みて!この花僕より大っきいよ!」
弟が俺の名前を呼び、向日葵と自分の身長の差を見せつける。
「ひまわりより大きくなれたら、褒めてやるよ!」
ふざけながら、言うと。
「むぅ。なれるよ!ばかにするなー!」
無邪気な弟は、純粋で、優しい。
「僕はりおより、大きくなって、りおを よしよしするんだ!」
「ふふっ。じゃあ待ってるわ。」
何気ない日常の会話が、弟と過ごすこの時間が俺には幸福だ。
「僕、ひまわり畑の中に入ってくるね!」
「おう。いなくなんなよ?俺はこの坂の上にいるから。」
うん!と元気よく返事をした、弟は、タッタッと向日葵畑に入っていった。
坂の上にあるベンチに腰を掛けて、風に揺れる向日葵を眺める。平和。
その刹那。ドサッと音がした。振り向くと白いワンピースを着たショートヘアの少女が倒れていた。
「っ!あんた!大丈夫か!?」
急いで少女に寄り添う。
意識があるか確認する。
「あ、ぁあっ。お姉ちゃんがっ、車に…ひかれ…てっ」
どうやら姉が事故をおこしたらしい。
息をするたびヒュー、ヒューと音が聞こえる。痛々しい。
「助け…られなか…った。」
助けようとしたのか。
ポロポロと少女から、大粒の涙が零れ落ちる。
「……っ」
くそっ。この少女はなく理由がない。痛々しく、死ぬのか。
「………」
ヒュー、ヒューという音しか聞こえなくなった。ギリギリ生きている。瀕死
「……俺の命。やるよ。」
「……え。そんなっ…こと…できる…の?」
こうするしかない。俺には弟がいるが。こうするしかないんだ。
「ちょっと、待ってろ。」
彼女の額に自分の額を当てる。
ピリッと電気のような感覚の物が頭に流れる。
意識が遠くなる。体のあちこちが痛い。彼女の状態を俺がもらった。
寝そべっていた彼女は、元気よく起き上がった。
「うそ!いや!なんで?!なんで…私なんかの為に貴方の命をっ」
「なんか…痛々しく、なっちまってな。」
そんな、なんで、うそ、この言葉ばかり繰り返している彼女を宥める。
「大丈夫だ…っ だけど……条件がある。」
「じ、条件?わかりました!」
「あんたは今、生き返ったわけじゃない。生きている状態になっただけだ。」
身体が痛むのを我慢しながら、俺は彼女に言う。
「あんたは…この向日葵と同じ…っ」
「ひ、ひまわりと?」
「ここの、向日葵が全て枯れて、なくなったら。あんたの命、いや、あんたは生きている状態ではなくなる。」
痛む。ギンギンととても痛い。彼女を焦らせないように我慢する。
「っ。わかりました…。」
「ごめんな。こんなっ…力…しか…な…く…て…」
「そんな!やめてください!そんなこと言わないで下さいっ。」
また大粒の涙が零れ落ちる。俺の顔に落ちる。
「あんたは…優しいんだな…っ。」
頭を横に振る彼女はこれ以上何も言わなかった。ただただ、哭くだけだった。
「じゃあな…ゆう…」
「俺は…もうっ…ダメだ…っ楽しかったぜ…優雨…。」
完全に俺の意識がなくなった。
最期に彼女が泣き叫ぶ声だけが聞こえた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
お兄ちゃんがいない。坂の上に居るって言ったのに。
いるのはすごく泣いてる女の人だけだ。すーごく泣いてるから、僕は声をかけたんだ。お兄ちゃんが人には親切にしろって言ってたから!
「だいじょーぶ?」
「ぅうっ。ああっ。」
泣き止まない。泣き虫さんなのかな?
「だいじょーぶだよ。僕のお兄ちゃんもいないけど、ぼくなかないよ!」
「お兄ちゃん?うっ。き、君、名前…は?」
震えた声でお姉さんは僕に聞いた。
「うん!お兄ちゃん! 僕の名前はゆう!やさしいあめに、優雨! 知らない人に名前言うなってお兄ちゃん言ってたけど、お姉さんは悪い匂いがしないから!」
僕の名前を聞くと、お姉さんはもっともっと泣いちゃった。
「ごめんね…っ ごめん。優雨くん。ごめんごめん…」
お姉さんはずぅっと、謝って、泣いちゃった。
「お姉さん、お名前は?」
「あ、あおい…」
「あおいちゃん!泣かないで?」
あおいちゃんは、泣き止まなかった。お兄ちゃんを探すより、あおいちゃんを先に泣き止ませなきゃ。
「ねぇ!りお!みて!この花僕より大っきいよ!」
弟が俺の名前を呼び、向日葵と自分の身長の差を見せつける。
「ひまわりより大きくなれたら、褒めてやるよ!」
ふざけながら、言うと。
「むぅ。なれるよ!ばかにするなー!」
無邪気な弟は、純粋で、優しい。
「僕はりおより、大きくなって、りおを よしよしするんだ!」
「ふふっ。じゃあ待ってるわ。」
何気ない日常の会話が、弟と過ごすこの時間が俺には幸福だ。
「僕、ひまわり畑の中に入ってくるね!」
「おう。いなくなんなよ?俺はこの坂の上にいるから。」
うん!と元気よく返事をした、弟は、タッタッと向日葵畑に入っていった。
坂の上にあるベンチに腰を掛けて、風に揺れる向日葵を眺める。平和。
その刹那。ドサッと音がした。振り向くと白いワンピースを着たショートヘアの少女が倒れていた。
「っ!あんた!大丈夫か!?」
急いで少女に寄り添う。
意識があるか確認する。
「あ、ぁあっ。お姉ちゃんがっ、車に…ひかれ…てっ」
どうやら姉が事故をおこしたらしい。
息をするたびヒュー、ヒューと音が聞こえる。痛々しい。
「助け…られなか…った。」
助けようとしたのか。
ポロポロと少女から、大粒の涙が零れ落ちる。
「……っ」
くそっ。この少女はなく理由がない。痛々しく、死ぬのか。
「………」
ヒュー、ヒューという音しか聞こえなくなった。ギリギリ生きている。瀕死
「……俺の命。やるよ。」
「……え。そんなっ…こと…できる…の?」
こうするしかない。俺には弟がいるが。こうするしかないんだ。
「ちょっと、待ってろ。」
彼女の額に自分の額を当てる。
ピリッと電気のような感覚の物が頭に流れる。
意識が遠くなる。体のあちこちが痛い。彼女の状態を俺がもらった。
寝そべっていた彼女は、元気よく起き上がった。
「うそ!いや!なんで?!なんで…私なんかの為に貴方の命をっ」
「なんか…痛々しく、なっちまってな。」
そんな、なんで、うそ、この言葉ばかり繰り返している彼女を宥める。
「大丈夫だ…っ だけど……条件がある。」
「じ、条件?わかりました!」
「あんたは今、生き返ったわけじゃない。生きている状態になっただけだ。」
身体が痛むのを我慢しながら、俺は彼女に言う。
「あんたは…この向日葵と同じ…っ」
「ひ、ひまわりと?」
「ここの、向日葵が全て枯れて、なくなったら。あんたの命、いや、あんたは生きている状態ではなくなる。」
痛む。ギンギンととても痛い。彼女を焦らせないように我慢する。
「っ。わかりました…。」
「ごめんな。こんなっ…力…しか…な…く…て…」
「そんな!やめてください!そんなこと言わないで下さいっ。」
また大粒の涙が零れ落ちる。俺の顔に落ちる。
「あんたは…優しいんだな…っ。」
頭を横に振る彼女はこれ以上何も言わなかった。ただただ、哭くだけだった。
「じゃあな…ゆう…」
「俺は…もうっ…ダメだ…っ楽しかったぜ…優雨…。」
完全に俺の意識がなくなった。
最期に彼女が泣き叫ぶ声だけが聞こえた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
お兄ちゃんがいない。坂の上に居るって言ったのに。
いるのはすごく泣いてる女の人だけだ。すーごく泣いてるから、僕は声をかけたんだ。お兄ちゃんが人には親切にしろって言ってたから!
「だいじょーぶ?」
「ぅうっ。ああっ。」
泣き止まない。泣き虫さんなのかな?
「だいじょーぶだよ。僕のお兄ちゃんもいないけど、ぼくなかないよ!」
「お兄ちゃん?うっ。き、君、名前…は?」
震えた声でお姉さんは僕に聞いた。
「うん!お兄ちゃん! 僕の名前はゆう!やさしいあめに、優雨! 知らない人に名前言うなってお兄ちゃん言ってたけど、お姉さんは悪い匂いがしないから!」
僕の名前を聞くと、お姉さんはもっともっと泣いちゃった。
「ごめんね…っ ごめん。優雨くん。ごめんごめん…」
お姉さんはずぅっと、謝って、泣いちゃった。
「お姉さん、お名前は?」
「あ、あおい…」
「あおいちゃん!泣かないで?」
あおいちゃんは、泣き止まなかった。お兄ちゃんを探すより、あおいちゃんを先に泣き止ませなきゃ。
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