俺の可愛いお嬢さまを離さない

真風月花

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二章

15、夜の間は

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 静生の手であちこちを触れられ、わたくしは押し寄せてくる甘美な感覚に溺れそうになりました。
 自分の奥からはしたない音が聞こえて……でも、それを引き出したのは静生の指なのだと思うと。
 とても恥ずかしいのに、それなのに嬉しくて。

「静生……離さないで」

 朝までではなく、ずっと。あなたの腕に閉じ込められていたいの。

「朝までは離しませんよ」

 本当は一生、離してほしくないわ。でもそんな我儘はもう言えないから。

 静生と初めて出会った時は、怖い人だと思いました。けれど日々を季節を年を重ねて。本当に愛しい人になったの。

 死にたくないと、切実に願ったのは生まれて初めてのことです。
 けれど、わたくしが生きることを望めば、多くの人の命が奪われる。
 生贄の話を聞かされた時は、頭が混乱したけれど。そのお話を拒絶できなかったのは、お父さまもお母さまも泣いていらしたのと、この地の惨状を見てしまったから。

 朝まであとどれくらいの時間があるのでしょう。
 時計もなく、分厚い雲から絶え間なく雨が落ちてくるから、夜明けまでどれくらいなのか分かりません。

 わたくしは、のしかかってくる静生の乱れた前髪を手で整えました。
 こうした方が、いつものあなたみたい。

「お嬢さん……」
「ね、冨貴子って呼んで?」

 そう願うと、静生は痛みを堪えるように眉根を寄せました。そしてわたくしの頬にくちづけた後で、耳に唇を寄せたの。

「愛している、冨貴子さん」

 ああ、初めて。軍服姿の静生に恐れを抱いて、父さまの背中に隠れたあの遠い日から、ようやくわたくしの名を呼んでくれたのね。

「綺麗ですよ、冨貴子さん。あんなに幼かったのに、本当に大人になりましたね」
「静生に相応しい女性になれて?」

 静生は優しい笑みをたたえました。

「俺には勿体ないほどです。でも、俺だけの冨貴子さんで居てほしいですね」

 わたくしは、寝間着姿の静生の背に素肌をさらした両腕をまわしました。

 静生のくちづけは終わりません。唇にも首筋にも、そして胸にも。
 大きな手で膝を掴まれ、両足の間に静生の頭が見えます。それが何を意味するのか、今から何をされるのか恥ずかしくて……熱く、真っ赤になっているであろう自分の顔を、両手で覆いました。

「見ていなさい、俺に愛されているところを」
「……恥ずかしいの」
「本当はちゃんと冨貴子さんが欲しい……けれど、それは我慢します。なので、せめて見ていてほしいんです」

 秘された部分を広げられ、静生の舌がそこをちろりと舐めます。

「ひ……っ」と、声にならない悲鳴を上げてしまいました。
 彼が与える初めての快感は、強くそして弱く、いつまでも終わることがなくて。
 ぴちゃ……と聞こえる水音が、とてもとても淫らで。
 でも、見ているように命じられたから。

「あ……ぁ、だめ……ぇ、くる、し」
「そういう時は『駄目』ではなく『いい』と言うものですよ」

 そんな所で喋らないで……そう言いたいのに。わたくしの口から出てくるのは、溢れるような喘ぎ声だけでした。

「ちゃんと言えますか?」
「む、無理……だから」
「では、言えるまで終わりませんよ」

 静生の硬い髪に手を差し入れて、彼の頭を離そうとしたけれど。わたくしの非力な力ではどうにもならず。
 さらに深いところに舌を挿し入れられて。
 わたくしはただ、身をよじらせることしかできませんでした。
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