俺の可愛いお嬢さまを離さない

真風月花

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二章

25、大好きよ【4】

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 静生に腰を掴まれているから、わたくしは身動きが出来ません。
 彼が侵入してくると、とても苦しくて。
 わたくしは静生の背に爪を立てそうになって、はっとしました。
 指先に触れたのは、彼の肌ではなく包帯でしたから。

「いいんですよ。ちょっとくらい傷が開いても」

 わたくしは、ふるふると首を振りました。
 
「ゆっくりと動いて。無理はしないで」
「そっちの方が無理ですね」
「え?」

 静生をいたわって掛けた言葉なのに。すでに中に入っている彼が、さらに奥深く進みます。
 隘路を裂くように抉られて、わたくしは声を噛み殺しました。

「済みません。お嬢さん……いえ、冨貴子さんの言うことは今は聞けません」

 耳の側で低く濡れた声で囁かれます。次の瞬間、わたくしの視界は激しくぶれました。

「や、あっ、なに?」

 それまで静かだった室内に、肌を打つ音が響きます。それと連動して、奥まで穿たれ。
 気づけば、膝の裏に手を入れられて、片足を上げさせられていました。

「ん……ぁ、ああっ、だ、めぇ」
「冨貴子さん」

 苦しそうに名を呼ばれて、でもそれは傷の痛みの所為ではないと分かり。わたくしは彼を受け入れていました。

 深いところを何度も穿たれ、痛みと同時に強烈な悦楽に襲われます。
 わたくしは敷布に爪を立てて、それを引き寄せました。

「あ、あぁ……ん、あ……っ」

 目眩がしそう。頬が紅潮しているのが、自分でも分かります。全身が脈打っているようで、そして抗う事の出来ない快感に溺れていきます。

「だめ、いっちゃ……う」

 無我夢中で静生にしがみつくと、包帯がずれてしまいました。でも、それに気づく余裕もありません。
 私の中に、彼を受け入れ。静生もまた達したのが分かりました。

「お嬢さん……」
「冨貴子よ」

 そう呼んでと言った筈よ、とわたくしは汗ばんだ静生の前髪をかきわけます。
 彼はわたくしに何度もくちづけをくれました。
 
 子どもの頃から、あなたが大好きで。ずっと追いかけて、心配もかけたくて。
 
 ふと、視界に白い物が入り、わたくしははっとしました。

「ごめんなさい。包帯が解けてしまったわ」
「ああ、そうですね」

 静生は苦笑しながら、包帯などどうでもいいという風にわたくしの頬にくちづけます。

「まぁ、邪魔になるからいっそ全部取った方がええかもしれません」
「邪魔って?」
「まだ終わってませんよ」
「え?」
「これで終わりやと思たんですか? いったい俺が、何年間あなたのことを想っていたか」

 突然の発表、いえ申告? 告白? 何かは分からないくらいに、わたくしは混乱してしまいました。

 静生は、もどかしそうに包帯を剥ぎとります。角燈の明かりに照らされたその表情には、色気が滲んでいて。
 いつまでも終わりそうにないその行為が怖くもあるのに、彼に魅入られてしまい。逃れることが出来ません。

「夜はまだまだ長いんです。大丈夫、大事なお嬢さんです。抱き潰すような馬鹿な真似はしませんから」
「ま、待って」

 わたくしの抗議は、くちづけに消されてしまいました。
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